2024-07-23
高級絹織物の産地として有名な西陣の北に位置する「今宮(いまみや)神社」は、平安時代に疫病退散を願って創建された由緒ある神社です。さらに縁結びや技芸上達にもご利益があることから、多くの人々が参拝するパワースポットとしても知られます。今回の記事では今宮神社の成り立ちとご利益について解説するので、ぜひ実際に足を運んでみてください。
今宮神社は、疫病を鎮めるために正暦5年(994年)に行われた御霊会(ごりょうえ)が起源だとされています。医学の知識に乏しかった平安時代は疫病が流行すると、その原因は怨霊の祟りだと信じられていました。そのため、怨霊を神として祀り悪疫を鎮める儀式である御霊会が行われました。
平安時代の御霊会の風習は、今でも今宮神社の「やすらい祭」や「今宮祭」として受け継がれています。なかでも京都三奇祭の1つのやすらい祭りは、桜や椿で飾った花傘を中心に、赤毛や黒毛の鬼達がお囃子に合わせて踊る姿が人気で、多くの観光客が見物に訪れます。
桜の散り始める旧暦の3月に疫病が流行したため、花とともに飛び散る悪疫を花傘に宿らせ鎮めるという目的のやすらい祭は、観光客でも花傘の中に入ることができ、一年間無病息災で過ごせるという言い伝えがあります。
今宮神社は厄除けや健康祈願だけではなく、縁結びの神社としても知られています。その由来は江戸時代に八百屋の娘として生まれ、三代将軍の徳川家光の側室となった「お玉さん」が生まれた場所だからです。西陣の八百屋の娘からシンデレラストーリーのように将軍の妻となったため、「玉の輿」の語源になったとも言われています。
今宮神社には摂社や末社が数多くあり、霊験あらたかな神々を祭神として祀っています。織姫社(おりひめしゃ)には、七夕の故事で知られる織姫に機織りを教えたとされる拷幡千千姫命(たくはたちぢひめのみこと)が祀られています。高級絹織物の産地として有名な西陣に近いことから、江戸時代に機織りを営んでいた氏子が創建しました。
織姫社には技芸上達のために訪れる参拝客が多く、灯篭の形が糸を織り込むのに使う杼(ひ)の形をしているのも興味深いポイントです。
今宮神社の東門参道に向かい合うように「一文字屋和輔」(いちもんじやわすけ)と「かざりや」という2軒のあぶり餅の店が建っています。もともと厄除けに神前に供えた餅を持ち帰って食べたのがあぶり餅の起源だとされ、「一文字屋和輔」は平安時代後期、「かざりや」は江戸時代初期創業の非常に長い歴史を有する和菓子屋です。
あぶり餅は親指大にちぎった餅にきな粉をまぶし、竹串にさして炭であぶり、最後に白味噌ベースのタレをつけて作られます。焦げ目がしっかり付いたお餅と上品な京都の白味噌ダレとの相性が抜群で、1皿だけではなく2皿以上食べる人も多いです。京都の白味噌に上品な甘みを感じるのは米麹の割合が高いためで、思わずお皿に残ったタレをなめたくなるほど癖になる美味しさがあります。
住所:京都市北区紫野今宮町21
料金:無料
拝観時間:境内自由(社務所は9:00〜17:00)
アクセス:市バス「今宮神社前」下車すぐ
2024年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
今宮神社公式サイト(外部リンク)
http://www.imamiyajinja.org/
京都観光オフィシャルサイト「京都観光Navi」今宮神社ページ(外部リンク)
https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=7&tourism_id=496
【トラベルjp・ナビゲーター】
島塚 渓
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