2024-10-26
オーストリアの古都ザルツブルグの郊外にあるオーベルンドルフは、ドイツとの国境があるザルツァッハ川沿いに位置し、長閑な家並みが魅力の小さな村。この村が知られるのは、世界的に有名なクリスマスキャロルとして謳われている『きよしこの夜』が誕生した礼拝堂がある村だから!
年末になると、礼拝堂の周りにクリスマスマーケットの屋台が軒を並べます。派手さはないけれど温かい雰囲気で盛り上がり、寒さも吹っ飛びます。
旧市街そのものが世界遺産というオーストリアの古都ザルツブルグ。この街から列車で北北西に向かって約30分のロケーションにあるのがオーベルンドルフです。
オーベルンドルフは、ドイツとの国境があるザルツァッハ川が大きく湾曲する外側に広がるのどかな村。対岸に見えるのはドイツのラウフェン村と教会です。このラウフェンとオーベルンドルフは1816年までは一つの村でした。川を利用した塩運搬業の要所となる村で、人々は橋を使って自由に行き来していたのです。ところが1799年に始まったナポレオン戦争によって、引き裂かれてしまったという歴史があります。
ザルツァッハ川沿いの堤防をおりると物静かな家並みが広がります。鉄道駅から車道沿いに歩いても15分くらいで到着します。
村のどこからも目立つ存在が、Wasserturmという塔。1540年建造の文化遺産とされている給水塔です。
その給水塔の向かい、少し盛り土をした上に建てられている可愛らしい六角形の礼拝堂が、クリスマス・キャロルとして世界的に有名な『きよしこの夜』が生まれたところなのです。
1818年のクリスマスが近いある日のこと、当時、ここには聖ニコラウス教会が建っていて、教会のオルガンがネズミにかじられて壊れてしまいました。修理が間に合いそうにないので、教会の神父ヨゼフ・モールは歌詞を大急ぎで書き上げ、村の音楽教師でオルガン奏者のフランツ・グルーバーに、ギターで伴奏できる讃美歌を作曲するよう依頼。急遽完成させたのが『きよしこの夜』でした。
1818年12月24日の夜には、グルーバーのギター演奏によってここで歌われました。この時たまたまオーベンドルフを訪問していたオルガン職人により、この曲はドイツ各地に広まり、その後世界中で愛唱されるようになりました。
当時の聖ニコラウス教会はザルツァッハ川の洪水で被害を受けて取り壊され、鉄道駅の反対側に移転。1937年、跡地に建てられたのが、現在の「きよしこの夜礼拝堂」です。
礼拝堂内の正面には、キリストの生誕シーンの素朴な木彫りの祭壇があり、座席は12席ほど。『きよしこの夜』の生みの親となった二人の顔や教会が、主祭壇の左右に色鮮やかなステンドグラスとなって飾られています。
さらに壁面には彼らの肖像画や譜面も掲げられ、当時の誕生秘話を今に伝えています。また、ヨゼフ・モールの唯一現存するオリジナルの原稿は、ザルツブルグ博物館に所蔵されています。
オーベルンドルフ村でのクリスマスマーケットは、礼拝堂周りで開かれます。ザルツブルグのような大きな街とは違ってこぢんまりとしたものですが、地元の人たちも観光で訪れた人々もとても和やかでほのぼのとした雰囲気!
木造の屋台が軒を並べる中、店頭にはクリスマスツリーや窓辺を飾るオーナメントやキャンドルホルダー、カード、彩りや形の可愛いお菓子などが並びクリスマスムードを盛り上げます。
給水塔の隣に仮設ステージも設置され、夜になるとここでコンサートが始まります。
屋根付きの飲食スペースでは温かみのある木製のテーブルとベンチが設置され、ほっこりできる飲み物や食べ物が用意されています。
人気があるのはやはりグリューワイン!クリスマスらしい絵柄の入った赤やブルーのマグカップで、初めて会った人とも笑顔でカンパイしあう様子はとても心が温かくなります。
礼拝堂の裏手には博物館が併設され、世界中から観光客が訪れます。
このピンク色の博物館では、『きよしこの夜』の歌詞、誕生ストーリーや村の歴史、オーベルンドルフの人々の暮らしや水運業についての展示を見ることができます。
オーベルンドルフ村は、横を流れるザルツァッハ川を南下すると鉱脈・岩塩鉱床という豊富な資源を持つザルツブルクに至るロケーション。また、川を挟んで対岸に位置するラウフェンはザルツブルクにとって重要な輸送拠点として、中世から18世紀末まで水運業で栄えていました。しかし、のちにはナポレオン戦争による損害とフランスの支配下になったりバイエルン王国領となったりした状況下で、両方の村人たちは厳しい生活を送っていました。
そのころの様子や人々の生活を、衣装や家具・絵図・道具などで分かりやすく展示し、丁寧な説明も掲示されています。
最上階では、郵便博物館のようになっており、歴代の切手やスタンプ、直筆の手紙や封筒などがたくさん展示されています。また礼拝堂そのものを切手やスタンプにしたものも多種類あって、見ごたえある展示内容になっています。
オーベルンドルフは、ザルツブルグからローカル線S1の列車で30分もかからずに訪問できるロケーションです。
大きな街のザルツブルグから日帰り訪問も可能ですが、村のほのぼのとした雰囲気を楽しんだり、ちょっと足を延ばしてドイツ領に入ったり、また年末であれば、夜の温かなムードで満たされたクリスマスマーケットをたっぷり楽しむためにも、オーベルンドルフでの宿泊をお薦めします。
宿泊の場合は、関連MEMOに挙げるホテルも参考にしてみてください。
2024年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
オーストリア国鉄時刻検索(外部リンク)
https://fahrplan.oebb.at/bin/query.exe/en?
ザルツブルグ郊外「Hotel Gleiserei」は名曲誕生の礼拝堂訪問におすすめホテル
https://www.travel.co.jp/guide/article/48483/
【トラベルjp・ナビゲーター】
Hiroko Oji
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