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ヴェネツィア総督邸&政庁舎「ドゥカーレ宮殿」は豪華絢爛だけじゃない!

2025-01-29

イタリア北部ベネト州の州都ヴェネツィアは、アドリア海のラグーンに浮かび、カナルグランデなど運河沿いにルネッサンス様式やゴシック様式の宮殿が並ぶ世界遺産の町。
この町で最大の見所となるのがサン・マルコ広場に隣接する「ドゥカーレ宮殿」。ヴェネツィア共和国の総督邸兼政庁舎として8世紀に建設され、現在の姿になったのは16世紀。外観や豪華絢爛な部屋は壮観!陰のシークレット部分にも注目です。

繊細で美しい外観。サン・マルコ寺院の姿も

写真:Hiroko Oji

アドリア海の女王ヴェネツィアの中心地サン・マルコ広場は、常に観光客であふれる石畳で覆われた広々とした空間。正面にビザンティン建築を代表するサン・マルコ寺院が建ち、右側に隣接するのが8世紀創建の「ドゥカーレ宮殿」。何度か火災にあって14世紀から15世紀にかけて改築が行われ、現在の姿になったのは16世紀。ドゥカーレとは、イタリア語で最高権力者「総督」を意味しており、元々要塞としての役割が多かった宮殿ですがヴェネツィア共和国時代には総督の官邸として使われていました。
外壁上部は白とピンクの大理石が模様を描くように配置され、下半分にはイスラム建築の影響を受けるアーチ型の列柱がずらりと並んでおり、繊細で美しい眺めです。

写真:Hiroko Oji

ゴシック様式とルネサンス様式の建物で囲まれた中庭の眺めも素晴らしく、隣のサン・マルコ寺院の姿も同時に見ることができます。
中庭の中央には、16世紀半ばにさかのぼる巨大で華やかなレリーフが施されたブロンズ製の2つの井戸があります。北側に面した時計のある小さな大理石のファサードは1615年の改修のもの。すぐそばの大理石の階段は1550年に完成した「巨人の階段」と呼ばれるものです。
階段の両脇には、共和国の陸と海の支配を象徴する火星とネプチューンの巨像が並んでおり、新ドゥカーレの戴冠式がこの階段の頂上にあるギャラリーで行われました。

写真:Hiroko Oji

ドゥカーレ宮殿へと誘う大階段は「黄金の階段」と呼ばれ、金箔と漆喰でできた煌びやかなドーム状の天井をもつ階段。16世紀半ばに芸術家を集めて造られた見応えのある場所です。
当時は議員や貴族、外国からの客人など限られたVIPしか通ることのできない特別な階段でした。

思わず見惚れるばかりの絢爛豪華な天井&壁面の装飾

写真:Hiroko Oji

宮殿内で最も権威のある公共スペースの1つがホール・オブ・ザ・フォー・ドアーズ。この部屋からは、大評議会の間、上院の間、元老院の間、十人評議会の間というヴェネツィア共和国で最も影響力をもった政治団体がかつて集まった絢爛豪華な部屋にアクセスできます。
中でも見逃せないのは大評議会の間。柱が一本もなく、1200〜2000人を収容できる広い部屋です。全ヴェネツィア貴族が議会を行う場所として造られました。
壁面にはまるで美術館のようにヴェネツィアに関する絵画が並んでいます。特に有名なのは、正面にあるティントレット作の『天国』。この作品は8年かけて描かれた、世界有数の大きな油絵といわれています。

写真:Hiroko Oji

上院の間の天井にもティントレットの素晴らしい『ヴェネツィアの勝利』をはじめたくさんのフレスコ画が施されています。天井だけでなく壁面を飾る装飾にも注目です。

写真:Hiroko Oji

縦に細長いお部屋は元老院の間。中央の楕円形の絵画をはじめT字型やL字型の8枚のパネルはヴェロネーゼの素晴らしい作品。煌びやかな天井装飾に、首が痛くなるほど見惚れてしまいます。
他にも陰謀者たちを裁くための部屋として設立された十人評議会の間の天井装飾も、神々の像や寓話が彫刻と金箔で飾られた壮麗なもの。宮殿内ではどの部屋に入ってもうっとりしてしまうほど。

武器庫に並ぶ武器の数々

写真:Hiroko Oji

絢爛豪華な部屋とは対照的に、武器庫は質素な造りの部屋が連なります。現在、さまざまな起源の武器と弾薬の貴重な博物館となっていて、宮殿警備の兵士たちが容易に使用できる2000をも超える戦争機器が並びます。

写真:Hiroko Oji

精巧な鎧に馬や徒歩での戦闘で使用された武器が展示された部屋をはじめ、どの武器庫にもたくさんの16世紀〜17世紀の手斧や銃器、機関銃の祖先となる火縄銃などがずらりと並びます。拷問の道具、貞操帯、一連の武器などが展示されている部屋も続きます。

写真:Hiroko Oji

武器庫の第3室には提督フランチェスコ・モロシーニの胸像が置かれており、部屋に彼の名前が付けられています。
提督は、1684年〜1688年のトルコとの戦争中にヴェネツィア艦隊の最高司令官に任命され、ペロポネソス半島を再征服し、1688年に総督となった人。刻印または塗装されたイニシャルCXを冠した多数の剣、槍、矢筒、クロスボウ(西洋で用いられた弓の一種)、鎧などが収蔵され、16世紀半ばの小さな大砲であるコルブリーナも展示されています。

溜息橋と先に続く牢獄

写真:Hiroko Oji

ドゥカーレ宮殿の豪華な部屋が並ぶ建物から質素な尋問室と牢獄が並ぶ建物内へと移動する時に渡るのが「溜息橋」。
この橋は、16世紀に架けられたヴェネツィアの運河に架かる橋のひとつで、白の大理石で造られており、石でできた格子窓が付けられています。

写真:Hiroko Oji

その格子窓の内側から眺めるとこのような眺め。かつて牢獄に向かう囚人が「この橋を渡れば二度と戻ってこれない」、「これが最後に見るヴェネツィアの眺めだ」と世に別れを惜しみながらため息をついたことから、この名前で呼ばれるようになりました。
ただ悲しいだけでなくロマンティックな伝説も残されています。それは、恋人同士が日没時にゴンドラに乗ってこの橋の下でキスをすると、永遠の愛が約束されるといわれているもの。この伝説が映画にも使われたこともあります。

写真:Hiroko Oji

溜息橋の先に続くのは、狭くて薄暗い迷路のような石肌が露呈する通路。その通路の両側にあるのは、重くてどっしりとした木製の扉の奥にある牢獄室の数々です。
天井が低くて狭い独房に置かれているのは土台の石の上に置かれたベッドとなる木の板のみ。あの煌びやかな宮殿の部屋とはまるで別世界!質素で暗くて狭いひんやりとした空間です。また、ロープが吊るされた拷問室を見ることもできます。

オペラ博物館

写真:Hiroko Oji

中庭に面してもう一つ入り口があるのがオペラ博物館。ファブリチェリア(工事事務所)またはプロキュラトリエ(検察庁)としても知られ、宮殿の維持管理を担当する事務所的な役割を担っていたところで、活動の経緯や文書を保存していました。
近代の最も重要な修復計画は1875年に開始されたもの。宮殿のファサードや一階の柱廊玄関、ロッジアの古代の柱頭を含んでいました。特に古いもの、貴重なもの、壊れやすいもの42個が複製に置き換えられ、オリジナルは宮殿の一階に保管されています。

写真:Hiroko Oji

奥に進むと宮殿の中世のファサードを飾っていた数多くの彫刻やレリーフが並びます。
柱廊玄関の柱頭と装飾のレリーフのこれらは、1340年に始まった建物の最も古い彫刻装飾の一部。ソロモンと7人の賢者を表していたり、植物がモチーフの柱頭装飾もあります。他にも6室に分かれて展示されているのが、16世紀後半の柱廊玄関のアーチ、さまざまな人種の男性頭部の彫刻、宮殿の南正面にあるバルコニーのニッチと棚に置かれていた彫像などです。

写真:Hiroko Oji

オペラ博物館前のアーケード部分にはかつてのゴンドラも展示されています。
煌びやかで絢爛豪華なホールが続く宮殿部分と、かつては囚人たちにとってはこの世との永遠の別れとなる橋の先に続く牢獄や尋問室との対照的な内部が同時に見られるのが「ドゥカーレ宮殿」です。
特に14世紀〜15世紀に活躍した画家たちによって描かれた美しい天井画や壁絵で装飾されたホールは、現在でも観光客には目玉の観光スポットとなっており、サン・マルコ広場共通チケットでコッレール博物館や考古学博物館、マルチャーナ図書館と合わせて入館できます。どれも貴重で膨大な展示品が並びますので、ぜひ時間にゆとりをもってご訪問くださいね。

ドゥカーレ宮殿の基本情報

住所:P.za San Marco,1,30124 Venezia VE
電話番号:+39-041-271-5911
開館時間:9:00〜18:00
2025年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
ドゥカーレ宮殿(外部リンク)
https://palazzoducale.visitmuve.it/en/home/
ヴェネツィア「ホテル・リアルト」リアルト橋袂でアクセス至便
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【トラベルjp・ナビゲーター】
Hiroko Oji

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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