2025-03-05
ヴェネツィア貴族ペーザロ家の邸宅として建設されたバロック様式の美しい宮殿「カ・ペーザロ」。現在は国際近代美術館となっています。
1659年に建設が始まって1710年に完成し、カナル・グランデに面したファサードには、古典様式風の巨大な飾り柱を伴うアーチが並ぶロッジアを用いた宮殿です。内部には現代美術館や東洋美術館が入り、膨大な展示品だけでなく、建物自体の天井装飾なども見逃せない観光スポットです。
国際近代美術館が入る宮殿「カ・ペーザロ」は、ペーザロ家(※)の依頼により、当時ヴェネツィアのバロック様式最大の建築家だったバルダッサーレ・ロンゲーナが設計。1659年から建設が始まり、陸地側の建物は1676年に完成。カナル・グランデに面するファサードはロンゲーナが亡くなった後も未完で、ペーザロ家が後にジャン・アントニオ・ガスパリに完成を託して1710年に完成しました。
バロック建築を元に、古典様式風の巨大な飾り柱を伴う連続アーチのロッジアをファサードに用いた美しい宮殿となっています。
※13世紀〜18世紀にかけてヴェネツィアに大きな影響を与えた、富と権力を兼ね添えた貴族。
入り口は陸側の建物にあり、宮殿の西側を流れる細い運河沿いから入ることになります。
入り口から入った所には中庭があります。中央の彫刻装飾のある古井戸の周りを、大理石でできた手すりの美しいロッジアのある、1676年までに完成した建物が取り囲んでいます。
チケット売り場から建物内に入るとカフェやショップの入る広いホールになっており、すでに素晴らしい展示が見られることを予感させる彫刻やレリーフが見られます。
展示室に入ってすぐの所では『カレーの市民』の彫刻がお出迎えしてくれます。
『カレーの市民』はオーギュスト・ロダン作の著名な彫刻のひとつ。百年戦争時(1347年)、イギリス海峡においてフランス側の重要な港だったカレーが、一年以上もの間イギリス軍に包囲されていたというカレー包囲戦の出来事が基になって造られ、1888年に完成。
ロダンの死後この作品は12点鋳造され、カレー市庁舎をはじめ ロンドンのウェストミンスター宮殿のヴィクトリア・タワー・ガーデンやパリのロダン美術館、バーゼルのバーゼル市立美術館などに設置されています。
続く展示室ではたくさんのメダルド・ロッソらの彫刻やフランツ・フォン・シュトゥックやフェルナンド・クノップフ、ガストーネ・ノヴェッリらの絵画に交じって、こちらにもオーギュスト・ロダンの有名な『考える人』が壁際でひっそり佇んでいます。
続く展示室には絵画がズラリと並びます。アルベルト・デラ・ラジョーネ、ピエトロ・フェロルディ、実業家のカルロ・フルア・デ・アンジェリ、出版社で評論家のジャンピエロ・ジャーニなどイタリア芸術の有名かつ重要なコレクションです。
ひときわ大きくて目を惹くのは、フェリーチェ・カソラティの『若い女性たち』。ウンベルト・ボッチョーニ『読書の姉妹の肖像』やジョルジョ・モランディ『花瓶とボトル』、マッシモ・カンピッリ『アマゾン』、マリオ・シローニ『パンドラ』なども必見です。
中でもグスタフ・クリムトの『ユディット二世(サロメ)』は重要作品の一つ。他にもジャコモ・バッラ、アドルフォ・ヴィルト、アルトゥーロ・マルティーニ、ジーノ・ロッシなどの芸術家の作品が展示されています。
さらに、20世紀の主なイタリア人作家による32点の作品なども展示されています。
これらはイタリアの巨匠のひとりオットーネ・ローザイやカルロ・カッラ、ジャコモ・マンス、シピオーネ、マリオ・シローニなど、イタリア芸術において有名かつ重要なコレクションです。
展示されている作品だけでなく、建物自体の装飾も目を瞠るばかりの宮殿です。
展示室の天井には、バンビーニ、ピットーニ、クロサト、トレヴィサーニ、ブルサフェッロなどといった後期バロックに活躍したヴェネツィア出身の画家たちのフレスコ画と油彩の装飾が施されていて、首が痛くなるまで見上げてしまうほど見事な美しい天井となっています。
写真の天井装飾はベネチアングラスの収集コーナーのある展示室。主にムラーノガラスが収められたショーケースと数点の彫刻、簡素な応接セットが置かれたコーナーがあり、床の大理石のモザイクが美しい部屋です。
続く展示室でも中央のフレスコ画やその周りを飾る装飾の美しさが各部屋ごとに違っていて、見比べながら回るのも興味深いものとなります。
最上階は、30,000点ほど所有の東洋美術作品の一部が展示されるフロアになっていて、日本の鈴木春信、葛飾北斎、礒田湖龍斎たちの作品を中心に、中国やインドネシアの作品がたくさん展示されています。
これらはバルディ伯爵のヘンリー・オブ・ブルボンが1887年〜1889年にかけて極東を旅行した際に収集した品物で、ガラスケースの中に鎧兜をはじめ日本刀・槍・脇差・陣羽織・馬具などがたくさん収められています。
貴重な漆塗りの器の数もたくさんあり、茶器、急須、掛け軸、浮世絵、手洗い桶、将棋盤や双六盤・囲碁盤に碁石など幅広い品物がたくさんショーケースの中に収められています。
漆塗りの重箱や小皿、印籠、茶箪笥などもあり、その幅の広さに加え膨大な数にも驚かされる東洋博物館となっています。
カ・ペーザロはカナル・グランデ沿いの見どころをはじめ、サン・マルコ広場周辺やムラーノ島・ブラーノ島などでの観光スポットや教会にも利用できる「ヴェネツィア・ウニカ」という観光パスを利用すると、無料で入館でき、さらにいちいちチケット売り場でお支払いする手間も省けて大変お得です。たくさん見所を観光する予定の方はぜひご利用くださいね。
住所:Calle del Tentor,2076,30135 Venezia VE
電話番号:+39-041-721127
開館時間:10:00〜17:00
休館日:月曜日
2025年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
カ・ペーザロ(外部リンク)
https://capesaro.visitmuve.it/
ヴェネツィアで優雅に!「ホテル ドナ パレス」滞在で観光満喫
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【トラベルjp・ナビゲーター】
Hiroko Oji
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