2025-04-10
奈良県に「川西町(かわにしちょう)」という町があること、ご存知ですか?奈良盆地の中央部に位置する川西町は、数多くの世界遺産を有する奈良市や飛鳥時代に都の置かれていた明日香村、橿原市などに比べると一般の知名度は高くはありません。しかし、町内には全国有数の規模を誇る古墳のほか、能楽発祥の地であることを示す史跡などがあり、意外な歴史を有する町なのです。今回はそんな川西町の観光スポットをご紹介しましょう。
奈良県磯城郡川西町は、奈良盆地の中央部に位置する東西3.4キロメートル、南北1.9キロメートルの小さな町。人口も7600人あまりと小規模ですが、その歴史は古代から連綿と続いています。
そんな川西町を散策する際に出発地点となるのが、近鉄橿原線の「結崎駅(ゆうざきえき)」。川西町の特産品である「結崎ネブカ」の名にもなっている駅名です。
川西町がいかに豊かな歴史を持つ町であるかは、結崎駅の駅前広場に早くも見出せます。写真はその駅前広場を撮影した一枚ですが、ベンチの向こうに見える芝生、実は「佐々木塚古墳」と呼ばれる古墳なのです。現在の佐々木塚古墳は一辺が30メートル、高さ2メートルほどの方形に近い形をしていますが、もとは円墳であった可能性が高いとされています。
駅前に、早速、古墳があるという光景からも、川西町の歴史が古墳時代までさかのぼることがわかりますね。
<近鉄結崎駅・佐々木塚古墳の基本情報>
住所:奈良県磯城郡川西町結崎出屋敷
アクセス:近鉄橿原線「結崎駅」よりすぐ
しかし、川西町の古墳は佐々木塚古墳だけではありません。川西町を代表する古墳といえば、こちらの「島の山古墳」を挙げないわけにはまいりません。広大な周濠をめぐらせた島の山古墳は、全国第36位の規模を誇る大型の前方後円墳。現在は国の史跡になっています。
発掘調査の結果、前方部の埋葬施設(粘土槨)からは、車輪石や鍬形石、石釧、合子、銅鏡、玉類などが大量に発見されており、それらは国の重要文化財となっています。島の山古墳が奈良盆地を流れくだってきた複数の河川の合流ポイントに築かれていることから、被葬者は大和川水系の水利権を掌握していた人物ではなかったかと考えられています。
島の山古墳の場合、後円部の埋葬施設は盗掘されていました。しかし、調査の結果、竪穴式石室が設けられていたと推定されています。現在、石室を構成していた天井石の一つは、島の山古墳の西隣にあるこちらの比賣久波神社の境内に置かれています。
写真は拝殿(右側)と本殿とのあいだに置かれた石。これらが天井石の一部と考えられています。
<島の山古墳の基本情報>
住所:奈良県磯城郡川西町唐院
アクセス:近鉄橿原線「結崎駅」より徒歩約20分
川西町を代表する神社として、ここでは「糸井神社」を挙げておきます。祭神は豊鋤入姫命。「糸井」の名のとおり、古代、織物技術に関連した一族が自分たちの氏神としてまつった神社であるとされています。
糸井神社でぜひ拝観していただきたいのは、拝殿にまつられた2枚の絵馬。一枚は1868年(慶応4)に制作された「おかげ踊り絵馬」。幕末に大流行した「おかげ踊り」を描いた絵馬です。もう一枚は、1842年(天保13)に制作された「太鼓踊り絵馬」。
写真はその「太鼓踊り絵馬」ですが、糸井神社の北側にかつて存在していた神宮寺の僧侶と思しき人物が燈籠に火をつけたり、スイカを振る舞ったりしている様子が描かれています。いずれも奈良県指定の文化財となっている貴重な絵馬です。
道路をはさんで糸井神社の向井には、薬師堂があります。堂内には大きな薬師如来坐像などがまつられています。
<糸井神社・薬師堂の基本情報>
住所:奈良県磯城郡川西町結崎68
アクセス:近鉄橿原線「結崎駅」より徒歩約15分
「面塚」と刻まれた石碑があるのは、寺川沿いにある「結崎面塚公園」。「面塚」の名称や、右奥に建立されている石碑に「観世発祥之地」と刻まれていることからもわかるように、当地は現在も残る能楽の流派の一つ「観世流」の発祥の地であり、結崎面塚公園はそれを記念して作られた公園なのです。
観世流の流祖・観阿弥三郎清次の出自には諸説がありますが、後年、大和猿楽四座の一つ「結崎座」に加わり、活躍しはじめました。そして、息子の世阿弥とともにそれまでおこなわれていた猿楽を能楽へと大成させ、観阿弥率いる観世座は足利幕府のお抱え的な芸能集団へと発展していったのです。
能楽(観世流)の源流が川西町にあったこと、ご存知でしたか?
したがって、「結崎面塚公園」と刻まれた壁にはめ込まれた透かし彫りのレリーフも能の演者をモチーフにしたものとなっているのです。
<結崎面塚公園の基本情報>
住所:奈良県磯城郡川西町結崎
アクセス:近鉄橿原線「結崎駅」より徒歩約15分
川西町が、古代以来、いかに豊かな歴史を有する町であるか、おわかりいただけたでしょうか。古墳から神社、能楽まで、さまざまな魅力をたたえる川西町を訪れ、ご自身の足でその歴史をご堪能ください。
2025年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
■関連MEMO
川西町観光ガイド―奈良県川西町公式ホームページ(外部リンク)
https://www.town.nara-kawanishi.lg.jp/0000001803.html
【トラベルjp・ナビゲーター】
乾口 達司
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