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奈良に春を告げる伝統行事・東大寺 二月堂「修二会」

2024-01-30

東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)は、752年(天平勝宝4年)に東大寺を開山した良弁僧正(ろうべんそうじょう)の高弟、実忠和尚(じっちゅうかしょう)によって創始されました。それ以来、途絶えることなく毎年行われ、2024年(令和6年)で、1273回を迎えます。古都・奈良に春の訪れを告げる「不退の行法」として欠かすことなく続けられてきた修二会をご紹介いたします。

東大寺 二月堂「修二会」とは

写真:モノホシ ダン

修二会は、法会(ほうえ)の正式名称を「十一面悔過(じゅういちめんけか)」といい、人間の様々な過ちを二月堂のご本尊である、十一面観世音菩薩の前で、懺悔することを意味しています。自他の過ちを懺悔することにより、五穀豊穣や天下泰平など人々の幸福を祈ります。
現在では、曜日に関係なく、3月1日より2週間にわたって行われていますが、もとは旧暦の2月1日から行われていましたので、二月に修する法会という意味を込めて「修二会」となったのです。また「二月堂」の名前もこのことに由来しています。

写真:モノホシ ダン

なお、修二会お松明等の拝観では、二月堂下芝生や広場の人数が一定以上になると、第2拝観所へ誘導されます。第2拝観所も同じ状況になれば立ち入りが規制され、お松明を見学することはできません。
また、二月堂周辺(二月堂裏参道全域を含む)は、三脚、一脚、脚立、ストロボの使用が禁止されています。撮影希望の場合は、第2拝観所の西端区域で行いましょう。写真は、第2拝観所から見た二月堂です。第2拝観所では、仮設トイレも設置されます。
撮影に当たっては、お互いに場所を譲り合って、三脚はひとり1脚とし、また、無人で機材による場所取りも控えましょう。
ほかに、二月堂周辺では立入禁止エリアが設けられます。二月堂北登廊、北茶所と北茶所奥のトイレ、参籠宿所や湯屋など、参籠衆が起居するエリアは立入禁止となります。
<二月堂周辺での立入禁止エリアの基本情報>
期間:2024年2月29日(木)〜3月15日(金)
場所:参籠宿所、湯屋、二月堂北登廊、北茶所、北茶所奥のトイレ

写真:モノホシ ダン

行法を行うのは、練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる、11名の僧侶です。毎年、良弁僧正の命日となる12月16日に、翌年の修二会を勤める11名の僧侶と役割が発表され、年が明けて2月20日より別火(べっか)入りします。それぞれの住坊(塔頭)とは別に、共同生活の宿所に入るのです。
別火では、声明(しょうみょう)その他を稽古し、3月1日からの本行に臨みます。3月1日からの本行の2週間、毎夜、二月堂を明るく照らす「お松明」は、練行衆が二月堂に上堂するときの道明かりです。

二月堂の舞台を進む「お松明」

写真:モノホシ ダン

お松明は、1日6回の法要の内、初夜と呼ばれる19時頃に、先導する童子がお松明を担いで、練行衆の足元を照らし、その後、舞台へ回ります。その際、滝のように降り落ちる火の粉は、無病息災をもたらすと言われています。そのため、二月堂の周辺にはたくさんの参拝客が集まります。

写真:モノホシ ダン

二月堂に上堂する練行衆の道明かりとして灯される「お松明」は、通常10本ですが、3月12日だけは、すべての練行衆が上堂するので、11本のお松明があげられます。また、3月12日は、ひときわ大きい「籠松明」があげられ、本行中、1度しかない「お水取り」の儀式も行われるので、非常に混雑し、交通規制も実施されます。
3月12日は、大勢の方に御覧いただくため、1本ずつで移動するように誘導があります。ほかに、3月12日以外でも、土曜、日曜日は、非常に混雑します。ゆっくり見たいという方は、平日に訪れることをおすすめします。

写真:モノホシ ダン

修二会の通称となっている「お水取り」は、3月12日だけ行われる儀式です。お水取りは、その日の深夜、二月堂の前の若狭井(わかさい)という井戸から観音様にお供えするお香水(こうずい)を汲み上げる儀式をいいます。このお水取りが終わると、奈良では春がやってくるといわれるほど親しまれている行法です。
なお、お水取りの儀式で汲まれるお香水は、若狭(福井県)から来ているとされています。その由来は、修二会の創始者である、実忠和尚が、全国の神々の名前を唱え勧請した時、魚釣りに興じていて参集に遅れた若狭の国の「遠敷明神(おにうみょうじん)」が、遅参のお詫びに、二月堂のほとりに清水を湧き出させ、観音様に奉ったからと伝えられています。これがお水取りの始まりです。
なお、若狭井は、閼伽井屋(あかいや)と呼ばれる建物の中にあり、一般には公開されていません。お水取りの儀式においても、当役の者以外は、その作法を見てはいけないとされており、限られた人だけ中に入ることになっています。

二月堂の参詣所で修二会の歴史を知ろう

写真:モノホシ ダン

お松明が終わったら、余韻の残る二月堂に参拝しましょう。お松明の時間は、3月1日〜11日の通常期間は、19時開始で、時間は約20分です。使われるお松明は10本です。
「お水取り」当夜となる3月12日は、19時半開始で、時間は約45分です。お松明は11本、通常松明とは違い、巨大な籠松明が使われます。最終日の3月14日は、18時半開始で、時間は約10分、お松明は10本です。短い時間でお松明が連続して上がっていくのが特徴です。

写真:モノホシ ダン

二月堂の前では、修二会で使う、奉納された十数本の太い真竹が並べられています。真竹には「世界平和」や「家内安全」などの字が書き込まれています。これらの真竹は、お松明の柄として使われ、先端には枯れ杉葉などの束がついています。

写真:モノホシ ダン

二月堂の北参詣所では、修二会の歴史と、お松明で使われた、通常松明と、展示用に特別に製作の籠松明の先端が展示されています。3月12日以外に使用される通常松明は長さ6〜8m、重量約40kg、3月12日だけに使用される籠松明になると、長さ約8m、重量約70kgにもなります。
松明の製作は、毎朝、担ぐ童子が、自分の松明は自分で、二月堂の前の「良弁杉」の下の広場で製作します。

奈良市内のビュースポットでもある「東大寺二月堂」

写真:モノホシ ダン

二月堂は、基本的に24時間参拝が可能ですが、大きな声を出さないとかマナーを守った参拝を心掛けるようにしましょう。普段は、日が暮れると静かな回廊内も、修二会の期間中は大勢の参拝客で賑わいます。

写真:モノホシ ダン

二月堂の回廊の正面以外の、北、東、南には瓜の形をした大きな燈籠が吊り下げられ、独特の風情を漂わせています。

写真:モノホシ ダン

また、二月堂は、奈良市内の夜景を眺めることのできる絶好のビュースポットでもあります。参詣を終えたら、聳え立つ良弁杉と東大寺大仏殿の彼方にきらめく奈良市内の夜景を楽しみましょう。

東大寺絵馬堂茶屋で暖かい食事を頂く

写真:モノホシ ダン

修二会の後は、二月堂の前にある「東大寺絵馬堂茶屋」に入ってみましょう。修二会期間中は、21時過ぎまで営業しています。

写真:モノホシ ダン

東大寺絵馬堂茶屋でのおすすめは、茶粥です。冷えた身体にとても温まりますよ。
<東大寺絵馬堂茶屋の基本情報>
住所:奈良市雑司町407
電話番号:0742-26-3326
営業時間:10:00〜16:00(修二会期間中は21:00過ぎまで営業)
アクセス:近鉄奈良駅から徒歩約25分 二月堂前

東大寺 二月堂「修二会」で春の訪れを体感しよう

いかがでしたか。このように東大寺二月堂で行われる修二会は、奈良時代から連綿と続く宗教行事です。冬の奈良を訪れたなら、その粛々と行われる荘厳な行法を見学して、春の訪れを感じ取ってみて下さい。
2024年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
華厳宗大本山 東大寺(外部リンク)
http://www.todaiji.or.jp/
令和6年度 修二会 拝観について(外部リンク)
https://www.todaiji.or.jp/news-240126/

【トラベルjp・ナビゲーター】
モノホシ ダン

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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