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奈良「修験道の開祖・役行者」ゆかりの地に「行者石仏」を訪ねる

2021-06-09

田舎道の舗装されていない脇道で、お地蔵さんや道祖神の石仏をみることがあります。石仏というと、奈良県北西部の生駒市では、役行者(えんのぎょうじゃ)の磨崖(まがい)仏を目にします。
役行者とはいったい何者で、なぜ、この地域で信仰されるのでしょうか?そして、なぜ、自然の厳しい岩肌にその信仰は彫られるのでしょうか?
今回は江戸時代(1603〜1867)の行者石仏がみられるスポットを紹介します。

修験道の開祖役行者と生駒の伝説

写真:写真AC

役行者(えんのぎょうじゃ)は、飛鳥時代(592〜710)の大和国(奈良県)の葛木(かつらぎ)山に実在したといわれる呪術者です。修験道の開祖としても知られ、鬼神を使役し、呪術を自由自在に操ったといわれ、神秘的な伝説を残しました。

写真:写真AC

生駒山は、古くから修験道の修行の場であり、今なお続く修験道の行場や役行者の石仏が数多く残っています。
生駒市には、鬼取町という地名があります。
昔、生駒の山里にすむ人々が、山に住む鬼に子供をさらわれる悪事に悩んでいました。役行者が、反対に鬼の子供を隠してしまうと、子を奪われた鬼は嘆き悲しみます。役行者は、人間の気持ちを理解した鬼に、もう二度と悪事を人間に働かないように諭し、鬼は役行者の弟子になりました。
その証に、鬼の髪を切り落とし、その地は「鬼取」と呼ばれるようになったといいます。

岩蔵寺

写真:花月 文乃

岩蔵寺は、役行者の開基と伝わる寺院です。遠目には、山があるようにしか見えませんが、階段があるのが分かります。この急な階段をのぼりきった向こう側に、岩蔵寺はあります。
(※階段横の建物は「円応教」の建物で岩蔵寺のものではありません。)

写真:花月 文乃

階段をのぼりきると、寺院が現れます。巨大な岩肌にそのまましめ縄をかけてお祀りしているのが、印象的です。岩場や滝があり、かつてここは、修験道の道場として栄えていたといいます。

写真:花月 文乃

行者磨崖仏は、滝の右手にある花崗岩の岩肌に舟形の彫くぼみをつくり、その中に彫り込まれています。素朴な行者磨崖仏ですが、ここが修験道場だったことを考えると、そこに宿る神妙な祈りのパワーを感じます。
<岩蔵寺基本情報>
住所: 奈良県生駒市南田原町
アクセス:近鉄けいはんな線白庭台駅から徒歩約30分

稲葉谷安永磨崖笠行者像

写真:花月 文乃

住宅街に、そこだけ取り残されたかのような山崖と、小さなお堂があります。これが、稲葉谷行者磨崖(まがい)仏です。

写真:花月 文乃

お堂の横に、急な石段があり、その最頂部に自然の懸崖(けんがい)に役行者像を彫った懸崖仏があります。

写真:花月 文乃

役行者像には、雨をしのげるように上部に岩が突き出しています。ちょうど、役行者像が、付近を見守るかのように、大切にお祀りされています。
元々は、背後には山があり、その山の懸崖(けんがい)に役行者像が彫られ、修験道の懸崖仏の魅力を伝えていたといいます。現在は、住宅開発のためかつてあった山は削られ、木も伐採され、懸崖仏の彫られた岩だけが残されています。
開拓が進んでも、役行者像が彫られた懸崖は、失われることがなく、現在もその信仰は地域の人たちの間に続いています。
<稲葉谷安永磨崖笠行者像 基本情報>
住所:奈良県生駒市西白庭台1丁目3-9
アクセス:近鉄けいはんな線白庭台駅から徒歩約15分

役行者の伝説が刻まれた石仏

普段、あまり目をとめない石仏ですが、そこにある石像にはその土地の歴史や伝説が彫り込まれていることが分かります。役行者とゆかりの深い生駒では、その姿は、役行者像として懸崖に刻まれます。
どちらの役行者像も、山に関わりの深い修験道との結びつきから、切り出された自然の懸崖をいかして信仰の場がつくられています。
生駒を訪れることがあれば、普段目にとめる機会の少ない、石仏に目を向けてみてください。そこには、役行者の残した伝説と信仰が今もいきづいています。

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花月 文乃

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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