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まるでSFの世界!?昭和が生んだ東京の近未来名建築3選

2023-02-21

歴史的建造物と言えば、江戸時代以前の城郭や寺社、町屋建築、あるいは明治から昭和初期にかけてのクラシックな建造物を想像される方が多いでしょう。それに比べると歴史の浅さは否めませんが、昭和の高度成長期を中心に建造された建物は、他のどの時代とも異なる独特のデザイン性と世界観に溢れ、現在建築マニアの間で再評価されています。
都内に現存する、奇抜な外観を誇るこの時代のビルをご紹介しましょう!

静岡新聞・静岡放送東京支社ビル

写真:小々石 曲允子

山手線の車内からも見える、新橋駅近くの茶色の奇抜なフォルムの建物、それが最初にご紹介する静岡新聞・静岡放送東京支社ビルです。
ビルが完成したのは、1967(昭和42)年。東京都庁舎や代々木第一体育館、広島の平和記念資料館など数々の名建築を世に送り出した世界的な建築家、丹下健三氏が設計したビルで、「メタボリズム」の思想に基づいたデザインであることが大きな特徴です。

写真:小々石 曲允子

メタボリズムとは、社会や人口の成長や変化に合わせて有機的で可変性のある空間や機能を提供することを目指した都市構想のこと。1950年代末〜70年代初頭の高度経済成長期に、建築家らによって盛んに提唱された考え方です。
急速な経済・社会の発展を契機に生まれた、ある種合理的な建築思想が、現在では逆にそのデザインの過剰性・非合理性が珍重されているのが面白い点でもありますね。
なおこちらのビルは、2021〜2022年に外観をほぼそのまま残す形で、耐震補強工事が施されています。

写真:小々石 曲允子

こちらのビルでは、中央の円筒形の部分にエレベーターなどの機能が集約されており、横に伸びた枝葉のような部分にオフィスが入居しています。おそらくこの箱形のオフィス部分が増減可能な可変領域だったと思われますが、今のビルにはない斬新なデザインが光ります!
<基本情報>
住所:東京都中央区銀座8-3-7
アクセス:新橋駅(JR銀座口)より徒歩3分

新橋駅前ビル

写真:小々石 曲允子

JR新橋駅汐留口の目前にある新橋駅前ビル1号館も、東京では有名なレトロビルのひとつです。
駅前の目立つロケーションながら見過ごされがちではありますが、よく見ると一般的なビルの形状とは異なる非常に複雑な形をしていることがわかります。これでひとつの建物なのですが、2、3棟のビルが折り重なっているような形にも見えますね。
この1号館のすぐ近くに、2号館があります。

写真:小々石 曲允子

新橋駅前ビルが完成したのは1966(昭和41)年。1964(昭和39)年の東京五輪後に行われた市街地改造事業の一環で建設されたビルで、地上が事務所フロア、地下に飲食店が入居するというスタイルは開業当初からのものです。
昭和から変わらぬレトロな風情をそのまま残す地下の飲食店街は、目前にあるニュー新橋ビル内の飲食店街と並んで、新橋を象徴するスポットともなっています。

写真:小々石 曲允子

新橋駅前ビルの外観デザインは、1、2号館共に外壁の窓部分にはプロフィリットガラスという縦に溝の入った特殊なガラスが用いられており、美しく繊細な質感が特徴的です。
1号館の独創的な形状も含め、デザインにおける個性と先端性の追求が公的事業でも行われていたという点がまさに当時ならではといったところでしょうか。内部のレトロで庶民的な地下街とのコントラストに、昭和らしいカオスな味わいがあります。
<基本情報>
住所:東京都港区新橋2-20-15(1号館)
アクセス:JR・東京メトロ新橋駅より徒歩2分

GUNKAN東新宿ビル

写真:小々石 曲允子

東新宿駅から地上に出ると、職安通りを挟んで北西方向に見えるペパーミントグリーンの建物がGUNKAN東新宿ビル。
離れた場所から見てもひと目でそれとわかるビルの独特のフォルムは、周囲の建物と比較しても異彩を放っています。

写真:小々石 曲允子

GUNKAN東新宿ビルは旧名称を「第3スカイビル」「ニュースカイビル」と言い、陸軍船舶兵出身の異端の建築家・渡邊洋治氏の手による、1970(昭和45)年竣工の集合住宅用建造物。その形から「軍艦マンション」と呼ばれていました。
老朽化で一時は取り壊しが検討されたものの、解体を惜しむ声を受け、2011(平成23)年に内部をリノベーション。現在ではオフィスやSOHO、シェアハウスとして利用されています。元は外壁の色も軍艦のイメージに近いシルバーでしたが、リノベーションの際に今の色に塗り直されました。

写真:小々石 曲允子

各部屋(ユニット)が少しずつ角度を変えながらコンテナのように外に張り出しているのは採光を考えてのもので、居住者の日照権や快適性を考えての工夫が、立体的で奇抜なフォルムの一因になっているというところが面白いですね。
サイバーパンクなSF作品に出て来そうな雰囲気の建物です。
<基本情報>
住所:東京都新宿区大久保1-1-10
アクセス:都営地下鉄・東京メトロ東新宿駅より徒歩2〜3分

番外編〜江戸東京博物館

写真:小々石 曲允子

ここまでにご紹介してきた建築物は1960年代後半〜70年代初頭の昭和期のものでしたが、最後は番外編として、平成期の建物をご紹介します。
墨田区の両国駅から至近の、江戸東京博物館です。

写真:小々石 曲允子

江戸東京博物館の開館は1993(平成5)年、その前年の1992(平成4)年に建物が完成しました。
弥生時代の高床式倉庫をモチーフにしたデザインで、異様に高く見える床面や和風で伝統的な建築様式を思わせる屋根の形状もそこからの着想。来館者に江戸城の天守の高さを体験してもらうため、その高さに合わせて建物の高さを62mにしたという設計者の話も残っています。

写真:小々石 曲允子

当初は景観を損ねるという批判もあったようですが、現在では中の展示と共に、昔の建築物がモチーフでありながらSF映画に出てくる要塞のようにも見えるユニークな外観フォルムが話題に。
1992年はバブル末期で、高度成長期とは美的感覚や建築の目指す方向性が変化していたとは言え、まだまだ現在よりデザイン性に重きが置かれていた時代。異彩を放つ個性的な物件が生み出された最後の時代の建築遺産でもあるのです。
<基本情報>
住所:東京都墨田区横網1-4-1
アクセス:
都営地下鉄両国駅A3・A4出口より徒歩1分
JR両国駅西口より徒歩3分
※大規模改修により、館内は2025年中まで休館中(予定)

希少な近未来建築、今のうちに鑑賞を!

東京に残る昭和の高度成長期を中心にした個性的なビルの数々、いかがでしたか?
この時代に建てられた建造物は今の建築基準に反しているものが多く、さらには建築費用や資材調達などの面からも、解体されたら二度と再現できない貴重な建物でもあります。しかしながら、老朽化から解体や建て替えの岐路に総じて直面しており、2022年には銀座にあった有名建造物、中銀カプセルタワービルが解体されました。
その一方で、ご紹介した静岡新聞・静岡放送東京支社ビルやGUNKAN東新宿ビルのように外観をそのままに耐震工事やリノベーションを施し、存続が図られているビルもあります。
昭和という時代でしか誕生し得なかったアバンギャルドでインスピレーション溢れる建築、今こそ堪能しておきましょう!
2023年2月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
新橋ねっと(外部リンク)
http://www.shinbashi.net/
江戸東京博物館(外部リンク)
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/

【トラベルjp・ナビゲーター】
小々石 曲允子

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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