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珍しいモリアオガエルと仏像の宝庫!奈良・女人高野「室生寺」

2022-04-07

奈良県宇陀市室生にある古刹「室生寺」は、高野山と同じ真言宗に属しています。しかし、高野山が明治時代の初期まで女人禁制だったのに対し、古くから女人の入山を許可していたため「女人高野」と呼ばれています。また、龍が棲むという伝説の山中に建てられた室生寺は、絶滅危惧種のモリアオガエルや素晴らしい仏像の宝庫でもあります。初夏の室生寺でモリアオガエルと仏像を鑑賞してみませんか?

仏像ファンもうならせる「寶物殿」の貞観仏

写真:モノホシ ダン

「女人高野」として知られる室生寺は、681年(天武天皇9年)、役行者によって開かれ、江戸時代には、徳川5代将軍綱吉の生母、桂昌院(けいしょういん)が堂宇を修復、高野山が女人禁制だったため、室生寺を女人高野と呼んで、女性の参拝者が足を運ぶようになりました。
写真は、室生川に架かる太鼓橋と料理旅館「橋本屋」。橋本屋旅館は、昭和を代表する写真家、土門拳(どもんけん)氏が、室生寺撮影のための常宿としていたところ。
館内には、土門氏が撮影された写真が飾られています。室生寺の参拝の前後に、名物の山菜料理をいただきながら鑑賞してみてはいかがでしょうか。

写真:モノホシ ダン

青空に朱塗りが映える「仁王門」は、1965年(昭和40年)に再建されたもので、門の両側で構える仁王像もまた色鮮やかで美しいです。

写真:モノホシ ダン

なお、室生寺では貴重な仏像などの文化財を収蔵、展示するため「寶物殿」が2020年(令和2年)9月にオープンしています。場所は仁王門の手前、納経所の隣です。
展示室を兼ねた収蔵庫では、金堂などから移された、国宝「十一面観音立像」(平安時代前期)や「釈迦如来坐像」(同)、重要文化財の「地蔵菩薩立像」(同)や力強い十二神将立像(鎌倉時代)など9体が安置されています。
以前より、仏像を間近で見ることができますので、仏像ファンの方の必見スポットとなっています。
<寶物殿の基本情報>
拝観時間:9:00〜16:30
拝観料:400円(別途入山料)

樹にぶら下がり産卵!バン字池の「モリアオガエル」

写真:モノホシ ダン

朱塗りの仁王門をくぐったところにあるのが「バン字池」です。池の形が、大日如来を意味する梵字の「バン」をかたどったことからそう呼ばれています。
この池は、水面に写り込む仁王門の姿が美しいことで知られていますが、もうひとつ、梅雨時期になるとモリアオガエルが産卵にやってくることでも有名です。

写真:モノホシ ダン

モリアオガエルは、樹の上で生活する珍しいカエルで、指先には丸い吸盤があり、樹上での生活に適応しています。非繁殖期はおもに森の中に生息していますが、繁殖期の4月から7月にかけては生息地付近の湖沼に降りてきます。
体色は個体差があり、写真のように全身が緑色の個体もいれば、全身に褐色の斑紋が出る個体もいます。また、目の虹彩がほかのカエルに比べ赤褐色なのも特徴です。

写真:モノホシ ダン

モリアオガエルの生活の特性は、ほかのカエルのほとんどが水中に産卵するのに対し、水面上にせり出した木の枝や葉などに産卵することです。卵塊はクリーム色の泡状で、約1週間でオタマジャクシとなって卵から孵化し、下の水面に落下します。
しかし、そのほとんどは真下で待ち構えていた天敵のイモリに捕食され、オタマジャクシから変態してカエルになれるのはほんの一部と言われています。
モリアオガエルは環境の変化などで、各地で生息数を減らしていて、天然記念物とされている地方もあります。ちなみに奈良県では、絶滅危惧種に指定されています。

SNSで人気!因陀羅大将と軍荼利明王とは

写真:モノホシ ダン

バン字池から自然石積みの幅の広い石段は「鎧坂」と呼ばれ、室生寺を代表する風景のひとつです。石段の両側には、石楠花などの木々の枝が迫り、春の石楠花の風景は、室生寺を紹介するパンフレットなどの口絵としてよく使われます。

写真:モノホシ ダン

鎧坂を上ったところにあるのが「金堂」です。平安時代初期のもので、国宝に指定されています。寄棟造りで、屋根は柿葺(こけらぶき)。
ご本尊は、榧(かや)の一木造りの釈迦如来立像(国宝)で、右に薬師如来立像(重文)、左に文殊菩薩立像(同)の三尊が並んでいます。その手前には、十二神将立像の内、6体が安置されています。
なお最近SNSで、金堂に安置されている十二神将立像の一体の申神、因陀羅(いんだら)大将が、「超サイヤ人に似ている」と評判です。鎌倉時代の力強い十二神将立像からパワーをいただいてください。

写真:モノホシ ダン

金堂の近くでは、もうひとつ人気の仏様があります。それが天神社の拝殿脇にある軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)の石仏です。とても端正なお顔をされていますので、あわせてお参りしてください。

室生寺のシンボル国宝「五重塔」とは

写真:モノホシ ダン

金堂から石段を上がったところにあるのが、鎌倉時代に建てられた本堂の「灌頂堂」です。入母屋造りで、金堂と同じく国宝に指定されています。ここで行われる灌頂(かんじょう)とは、真言密教でもっとも大切な法儀のことをいいます。
ほかに、潅頂堂には、悉地院(しっちいん)の扁額が掲げられていますが、これはかつて室生寺にあった悉地院から移されたもの。内陣に安置されている室生寺のご本尊、如意輪観音菩薩像(重文)も、その悉地院に祀られていたものです。

写真:モノホシ ダン

室生寺のシンボルといえるのが、平安時代初期の建立といわれ、室生山中で最古の建築物である「五重塔」。灌頂堂の脇の石段を上がった正面にあり、総高16.1メートルと屋外に建つ五重塔では、国内で最小のもので国宝に指定されています。
屋根は桧皮葺で、1重目から5重目の屋根の大きさがあまり変わらず、塔身は上に行くにしたがって細くなっているのでスッキリとした印象を与えています。

写真:モノホシ ダン

塔の最上部を飾る相輪も、ほかの五重塔には見られない珍しい形式となっています。九輪の上は、通常の水煙ではなく、最上部の九輪の上に宝瓶(ほうびょう)と八角形の宝蓋(ほうがい)が取り付けられています。
室生寺の五重塔は、塔と自然が調和していていつまでも見飽きることはありません。

山岳寺院の雰囲気を満喫!長い石段の先にある「奥の院」

写真:モノホシ ダン

室生寺は典型的な山岳寺院で、室生山の山麓から上部にかけて塔堂伽藍が点在し、石段を登るごとに建物が見えてきます。その山岳寺院の雰囲気を満喫できるのが「奥の院」です。
奥の院の入口は、五重塔の脇の石段で、そこに行くには約390段の長く険しい石段を登って行かなければなりません。
ちなみに、石段登りのスタート地点には「室生山暖地性シダ群落」(天然記念物)があり、暖地性シダの北限となっています。

写真:モノホシ ダン

杉木立に囲まれた鬱蒼とした森の中を進んで行くと、舞台造りの木組みが印象的な奥の院「常燈堂(位牌堂)」が見えてきます。その様子は、京都の清水寺を連想させます。

写真:モノホシ ダン

奥の院のメインは、常燈堂(位牌堂)の正面にある「御影堂」。鎌倉時代の重要文化財で、中には弘法大師、四十二歳の像が祀られています。
宝形造りの建物の頂上部分には、石造りの露盤が置かれていて、ほかに類例を見ない珍しいお堂です。
このように初夏の室生寺では、自然の神秘モリアオガエルや仏像の美しさはもちろんのこと、山岳寺院ならではの新緑美を堪能できます。大和路の初夏の一日を、室生寺で満喫してみてはいかがでしょうか。

女人高野 室生寺の基本情報

住所:奈良県宇陀市室生78
電話番号:0745-93-2003
拝観時間:8:30〜17:00(入山は閉門30分前)
入山料:大人600円 子供400円
アクセス:近鉄室生口大野駅からバスで約15分 車利用の場合、名阪国道針ICより約30分 周辺有料駐車場利用
2022年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

■関連MEMO
女人高野室生寺(外部リンク)
http://www.murouji.or.jp/guide/
橋本屋旅館(外部リンク)
https://www.hashimotoya-uda.jp/

【トラベルjp・ナビゲーター】
モノホシ ダン

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提供元:トラベルjp 旅行ガイド

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