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【医師監修】命にかかわる子どもの誤飲、予防法や対策とは?【子どもの「病気・けが」教えて!ドクター 第8回】


異物を飲み込んでしまったり、喉に詰まらせてしまったりと、子どもの誤飲は、命にも関わる重大な事故になりかねません。あらかじめ飲み込んだら危険なものをチェックしたり、万が一飲んでしまった時の対応を知っておくと、冷静に対処できるでしょう。

今回は子どもの誤飲を防ぐ方法や、万が一のときの対処法について、書籍『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』からご紹介します。

■もしも異物を飲み込んでしまったら?

出典:『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)


ボタン電池や薬、タバコなど、子どもが飲み込んでしまうと、食道や胃を損傷する中毒症状などの症状が出ることがあります。また、食べ物が気道に入ってしまうことを「誤えん」といい窒息の危険性もあります。とくにツルツルした食べ物をを与える時には、注意してあげましょう。



■異物を飲むと、どんな症状が出る?

生後5ヶ月を過ぎると、子どもはなんでも口に入れるようになるので、誤飲の事故が増えます。とくに、2歳までの男児に多く、その約4割は誤飲した瞬間を目撃されていないという報告もあります。

飲んでしまった異物が大きいと、食道につかえて胸の不快感や痛みを訴えることがあります。胃の中まで落ちると、症状はほとんどありませんが、鋭利なものだと腹痛などの症状が出ることもあるので、何を飲み込んだか特定することが重要になってきます。

また、食べ物が気道に入る「誤えん」は、何かを飲み込んだあとに突然せきが始まったり声のかすれや「ゼイゼイ」、「ヒューヒュー」といった音がしたりします。

丸くてツルツルしたピーナッツや枝豆、キャンディーや噛み砕きにくいグミ、餅、団子などは、食べさせないか、細かく砕いたり切ったりして与えましょう。とくにピーナッツは、豆類の中でも窒息の一番の原因だと言われています。

■誤飲や誤えんを予防するには?

出典:『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)


【誤飲事故を防ぐためのポイント】
□誤飲するサイズを確認(39ミリ以下)
□小さな生活用品は手の届かない高さに(1メートル以上)
□小さなおもちゃは4歳から
□ピーナッツなどの豆類も4歳から
□大きな食品は小さく刻んで与える
□異物を口に入れているのを発見した時は大声で注意しない

とくに注意したいのは、子どもに「大声で注意しないこと」です。

異物を口に入れているのを見つけたときに、ついつい大きな声を出して慌ててしまったり、注意してしまいがちです。しかし、そうすると子どもがビックリして思わず飲み込んだり、泣き出した拍子に飲み込んだりしてしまう場合もあります。冷静に落ち着いて、優しく口から出させてあげましょう。

■異物を飲んだ時の受診の目安

もしも異物を飲んでしまったら、病院に行くかどうか、判断に迷うこともあるでしょう。自分で判断が難しい場合は、次の項目に当てはまるかどうか確認してみましょう。
【すぐに救急車を呼ぶとき】
□のどにものを詰まらせていそうな呼吸や様子→吐かせる
□けいれん
□して呼びかけてもぼんやりしている
□突然のせきこみ、せきの出現
□がかすれている
□ヒューヒューした呼吸
□灯油、ベンジン、除光液、殺虫剤、農薬、ネズミ駆除剤を飲んだ場合


【これを飲んだらすぐに受診!】
□ボタン電池
□鋭利な異物
□磁石
□家庭用化学薬品
□タバコ
□薬
□コインやおもちゃなどよく誤飲しやすいもの

これらの項目に当てはまる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。また、飲み込んでしまった場合は、無理に吐かせても有効ではないだけでなく、吐かせたものが原因で窒息したり、胃に落ちたものが逆流して食道に引っかかったりと、危険な場合もあります。基本的には吐かせず、同じものがあれば持参して受診しましょう。

出典:『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)





■【子どもの誤飲】教えてドクターQ&A

最後に、「教えて!ドクタープロジェクト」に子どもの誤飲にまつわる悩みにお答えいただきました!

――子どもが誤飲してしまい、喉の奥にまだ誤飲したものが残っている時、指を入れて取り出すのは正しい処置ですか?

口の中でも舌の上やくちびる付近であれば、泣かせずに落ち着かせて、そっと取り出せる可能性は高いでしょう。しかしのどの奥に入ってしまった場合、それを無理に取り出そうとしてもうまくいかないことが多いですし、万が一そこで大泣きしたら窒息してしまうかも知れません。

窒息すると、最大でも10分以内に取り出さないと命に関わります。くれぐれも慌てず、慎重に対応してください。

具体的な対応の方法については、次のとおりです。
●家庭では無理に吐かせない
●窒息で苦しがっている場合は人を呼び(周りに人がいなければ119番をした上で)背部叩打法を行う



出典:『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)


――目を離した隙に目の前にあったものを飲み込んだ可能性がある場合、確実に飲んだかわからないときはどう判断すればいいですか?

飲んだかはっきりとわからない場合には、飲んだ可能性を考慮して受診しましょう。その際、飲んだ可能性のある物の情報(製品名や規格など)をできるだけ詳しく教えていただけると助かります。

※本連載で紹介する情報は、2020年12月時点のものです。


●「教えて!ドクタープロジェクトチーム」とは?

長野県佐久医師会・佐久市による、子どもの病気、ホームケア、地域の子育て支援情報などを発信するプロジェクトチーム。地域の子育て力向上事業としてだけでなく、SNS発信により「医師による確実な情報」を、リアルタイムで全国に発信している。
公式HP:教えて!ドクタープロジェクトチーム


(高村由佳)

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