■前回までのあらすじ
小さい頃から母の顔色を伺ってきたので、自分の気持ちを封じ込めればうまくいくと信じていた私は、彼のの望み通り退職届を出すことに…。
■母は喜んでくれなくても彼が望むなら…
誰かに仕事を辞める理由を話すときのために、『他にやりたいことができた』というセリフを用意していました。
上司には正直な「恋人の希望」などは伝える必要がないでしょうし、同僚に話してもこじれることが予想できたからです。
しかし、母は辞める理由を聞いてくることもなかったので、用意していたセリフも必要ありませんでした。
聞いてこないのは、おそらく母にとって私が辞める理由には興味がなかったからでしょう。
昔からずっとそうでした。
私が何かをやりたい理由も、やりたくない理由も、母に聞かれたことはありません。
母にとって重要だったのは、「結果として人にどう思われるか」だけで、「私がどう思うか」ではなかったんだと思います。
→次回に続く
※この物語は私の経験を基に、一部フィクションもまざっております。
(グラハム子)