昨年のはじめ、祖父が亡くなった時のこと…
その頃はまだ新型コロナも出始めで、葬儀にもまだ制限はありませんでしたが、私たちは近親者のみで小さなお葬式を開きました。
この時、6歳だった娘と2歳だった息子にとっては、初めて向き合う“死”であり、初めてのお葬式。
このお葬式が、子どもたちによって、
“笑ってはいけないお葬式”になるのでした―――
葬儀前、母の実家で静かに横たわる祖父の亡骸に、子どもたちはまだ何が起こったのかわからない様子でした。
入院していた病院で静かに息を引き取った祖父。
眠っているだけと思っても、仕方がありません。
■安らかに眠るおじいちゃん…でも、そんなの関係ない!
早速、祖父の亡骸に添い寝しようとする息子。ちょっと泣けるけど…! 今はやめとこうな!!
そして翌日、出棺の時。
ひつぎにお花を手向ける花入れの儀。

キレイなお花を気に入ってしまった息子は、お花を手放しません。
必死に『おじいちゃんにあげようね』と説得しても、「NO!」の一点張り。
そのお花も入れてあげてーーー!!
そんなこんなで、大人はみんな笑いをこらえた状態で、混沌としたまま式は進み…
火葬場でも、娘と息子はきゃっきゃと笑顔で二人遊びしていました。
ですが、祖父を亡くした祖母たちにはその明るさが救いだったようで、穏やかに笑顔も交えつつ、式は静かに幕を閉じました。
■ひいおじいちゃん孝行だった娘6歳になる娘は、寝たきりの祖父に会いに行くたびに、食事介助を仕切っていた、ひいおじいちゃん孝行の娘でした。
その指示の的確さは、祖母をハッとさせるほど。

祖父も、孫である私の名前は忘れても、ひ孫である娘の名前は笑顔で何度も呼んでくれたものです。
そんな娘は、そろそろ“死”というものも理解できる年になったようで、少し寂しそうな顔を見せる瞬間もありました。
しかし、“死”を知ったことで、当たり前のように流れていく“生”の日々がかけがえのないものであることを幼い娘なりに感じることができたのかな…と、母は思うのでした。
こうして、子どもたちのおかげで笑いあり、ホロリありだったお別れは終わり、帰り際……

突然、歩みを止めたのかと思ったら、真顔で一言。
「おじいちゃん、誰に殺されたの?」
さすが、医療ドラマやサスペンスものが好きな娘…
そうきたか…!!
思わず吹き出してしまう大人たちでしたが、娘の顔は真剣そのもの。
まるで女刑事のようでした。
近親者のみで、よかった…(涙)
(たんこ)