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故・樹木希林さんが9月1日のために残した言葉「どうか、生きてください……」

「死なないで、ね……どうか、生きてください……」

亡くなる2週間前にこんな言葉を残したのは、2018年9月に亡くなられた、女優の樹木希林さんです。

厚生労働省が発表している「自殺対策白書」によると、9月1日に18歳以下の日別自殺者数が突出して高くなっており、長期休み明けは特に注意が必要だとされています。この事実に対し、樹木さんは、学校に行けなくてつらい思いをしている子どもたちにメッセージを贈っていました。

この記事では、樹木希林さんの言葉とともに、不登校新聞の石井編集長がウーマンエキサイトの取材に対し話してくださった内容を振り返ります。

全国不登校新聞社提供


樹木希林さんが残した言葉の意味は
娘である内田也哉子さんは、冒頭で紹介した樹木さんが不登校などについて生前語った言葉を書籍『9月1日 母からのバトン』でこのように綴っています。


「死なないで、ね……どうか、生きてください……」
去年の9月1日、母は入院していた病室の窓の外に向かって、涙をこらえながら、繰り返し何かに語りかけていました。あまりの突然の出来事に、私は母の気が触れてしまったのかと動揺しました。それから、なぜそんなことをしているのか問いただすと、
「今日は、学校に行けない子どもたちが大勢、自殺してしまう日なの」
「もったいない、あまりに命がもったいない……」
と、ひと言ひと言を絞り出すように教えてくれました。
この2週間後に、母は75年の生涯に幕を閉じました。




書籍内で内田也哉子さんとも対談されている不登校新聞の石井志昂(いしい しこう)編集長は、2014年の樹木さん取材時に「毎年9月1日前後に、18歳までの若い人たちがたくさん自殺している現状」を伝えると「自殺するよりはもうちょっと待って、世の中を見ててほしい」と樹木さんは語ったと言います。

子どもが学校に行きたくないと言ったらどうしたらいい?

(C) takasu - stock.adobe.com


書籍には樹木さんが考える「親の価値観」の持ち方についても書かれています。

子どもには子どもの社会があるんですよね。大人から見て「そんなの!」って言ったってだめだから。そういうときはもう、寄り添ってやるしかないかなと思っています。
(中略)
不登校の子どもよりも、私は親の価値観(の問題)なんだと思うんです。もっと、何かと比べるとかはなしでいいじゃないですか。違っててもいい。



また、石井編集長は、親が学校に行きたくない原因を特定するために「なぜ行きたくないのか?」ときつく問うと、子どもはますます追い込まれてしまう、とも話しています。

当時小学校の内田さんに樹木さんが掛けた言葉
小学1年生になると、日本では義務教育が始まり、社会のあたり前のこととして、子どもたちは学校に通います。そんな「あたり前」という風潮がある学校との付き合い方において、樹木さんは彼女ならではの考え方を発揮し、当時小学生だった娘の内田さんはこんな言葉を掛けたと綴られています。


東京の公立だったんですけど、そのときはすごく合わなかったですねえ。私という“異物”が突然入ってきたことで、そのクラスにあったコミュニティがざわざわしてしまって。今思えば“いじめ”だったと思うんですけど、お友達ができないまま数か月を過ごして、毎日泣いて家に帰っていました。
(中略)
ある日、私があんまりつらそうだったからか、「やめれば?」と言ってきたんですよね。「そんなにつらいのに、何をガマンしてるの。やめればいいじゃない」って。私まだ、「やめる」の「や」の字も言ってないのに(笑)。



不登校だからって将来は決まらない
それでは、「学校には行かない」と決めたとして、その後どうすればいいのか。樹木さんは書籍のなかで、このように語っています。

不登校でも、ある日ふっと何かのきっかけで、学校はやめるかもしれないけど、もっと自分に合った、っていうと自分中心だけどそうじゃなくて、自分がいることによって、人が、世の中が、ちょっとウキウキするようなものに出会うということが、絶対にあると思うの。



コロナ禍で2020年の小中高生の自殺者数は過去最多となりました。そして、学校の長期休業明けにかけて増加する傾向があります。

今日は9月1日。どうか樹木希林さんの言葉が一人でも多くの人に届いてほしいと願っています。

(ウーマンエキサイト編集部)

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