一昨年の春、世の中は未知のウイルスに対する混乱の真っ只中でした。
人との距離を保つことを義務づけられる中で、ママ友も作れず心細さや寂しさを感じていたある日、私はある衝撃的な出来事に見舞われます。
孤独感を抱いていた私が、危ない沼にハマりそうになった、ドキドキと恐怖と後悔をみなさまにもお伝えできればと思い、この漫画を描きます。
■行きつけのコンビニで、いつも話しかけてくれる店員さん当時、コロナ禍で遊びにいくこともできず、息子を保育園に預けていなかった私は、息子とドライブに行くことを唯一の息抜きにしていました。
車が好きな息子は車に乗っているだけでニコニコご機嫌で、家では興奮してできないお昼寝も、チャイルドシートの上ではしてくれます。
そして、息子が眠った隙にノートPCを開き、車の中で仕事を進める…。
そんな時間が、私にとってもホッとできる時間でした。
そんな毎日の中で、たまに寄っていたコンビニがありました。
何軒かある中のひとつで、そんなに頻繁に通っているわけでもなく、ときどきコーヒーと息子のおやつを買うくらいの、そんな頻度でした。
その日もそのコンビニに寄り、目覚めた息子と共におやつを買いに行くと、いつも声をかけてくれる店員さんがいました。
清潔感のある朗らかな好青年という感じのその店員さんは、息子がいつものジュースを出すと、「これおいしいんだね」と優しく声をかけながらレジを通してくれました。
そのとき…。
ふいにその店員さんが、胸ポケットから紙切れを取り出し、レシートに重ねるのが見えました。
「ん…?」
なんだろうと思いながらも、ほかに並んでいるお客さんもいたので、私はそそくさと車に戻りました。
そして、息子にジュースを渡し、その紙を見てみると…。
■彼が胸ポケットから出した紙には…!?“いつもお話できることを楽しみにしています。よかったらもう少しお話したいです。
電話番号:○○ID::○○…” その紙切れには、電話番号とメッセージアプリのID…
えええええーーーーー!?隣では、何も知らない息子が、ジュースを飲んでいます。
な、なに、これ…?
思い当たるふしといえば、気さくな雰囲気で、しかもちょっとかっこよくて、会計のやり取りの際に一言つけ加えてくれる店員さんとのやり取りがうれしく、こちらもちょっとした一言を添えていたくらいでした。
でも、それだけで…?
紙切れを持つ手が、かすかに震えていました。
次回に続く(全11話)毎日9時更新!
(たんこ)