■前回のあらすじ
たまに寄るコンビニの店員さんから、連絡先が書かれた紙切れをわたされた私。衝撃的な出来事にその紙切れを持つ手が震えて…。
コロナ禍で人とのかかわりが希薄になる中、突然、コンビニの店員さんから連絡先をもらってしまった私。
恋愛経験も乏しく、夫とも奇跡的に結婚したような私には、今までこんな経験はありません。
それどころか、コンビニにも行けないレベルの引きこもりだった私です。
こんなこと、漫画やドラマの中だけの、二次元の出来事としか思っていませんでした。
“一体なにが起こっているんだ…?”思い当たるふしといえば、気さくな雰囲気で息子にも笑顔で接してくれて、ちょっとしたやり取りに応じてくれる店員さんに嬉しくなって、こちらも一言を添えていたくらい…。
■彼が自分に何を求めているのかわからなかったでも、それだけで連絡先までわたすんだろうか…?
育児に疲れて、おしゃれ心を忘れ、メイクも大ざっぱ。
美容院にもしばらく行けていないボサボサの髪を振り乱す私が、一目ぼれされるはずもありません。
しかも、傍らには息子がいて、子持ちということをわかっているはず。
決まっておやつをほしがる息子と格闘する私に、彼は何を求めているのだろう…。
■彼の連絡先が書かれた紙切れはお守りのような存在にドギマギしながらも、私はもらった連絡先に返信する勇気はなく…。
忙しい毎日の中で、そのことも忘れそうになりつつも、連絡先が書かれた紙は財布に忍ばせていました。
家族以外の人とのコミュニケーションもなく過ごす毎日の中で、
彼の素朴な字の書かれた紙切れは、ぬくもりを感じる、お守りのような存在に。こんな私を想ってくれている人がいる証明として、心強かったのです。
それでも、なんとなく気まずさを感じ、その店舗には足を運ばなくなりました。
次回に続く(全11話)毎日9時更新!
(たんこ)