■前回のあらすじ
彼との関係を終わらせる決意をした私だったが、彼の想いに胸が張り裂けそうになり…!?
■彼の言葉に涙が止まらなかった深夜のメッセージバトルは、なかなか決着がつきませんでした。
別れ話って、どうすればいいんだろう。
恋愛経験の少なすぎる私には、わかりませんでした。
「ゆう君には、本当に感謝してる。 くたびれた、美人でもない私なんかを、好きになってくれてありがとう。でも、今、とてもつらいです。申し訳ないです」「僕もつらいです。一緒にいたいです」彼のまっすぐな言葉に、私は涙が止まらなくなっていました。
「だけど、もし娘が、息子がゆう君の立場だったら、早く切ってくれって、親は思う。この先に、あんまり明るい未来はないんだよ」
彼からの返信はありません。
私はそのまま続けました。
「私は、今の生活を手放す勇気はないです。子どもたちはもちろん、夫のことも、手放したら、絶対に後悔する」
決して、ドラマみたいなラブラブ夫婦ではないけれど、不安定な私を気長に支えてくれる優しい夫と、パパが大好きな、世界で一番かわいい子どもたち。
それは、誰ひとり欠けても成立しない、奇跡の毎日でした。
このまま進んだら、そんな夢みたいな日常を、自分の手で壊すことになるんだ。
■今ならまだ戻れる…私の出した答えは!?「正直、もう恋愛には興味なくて、ゆう君のことも、息子みたいに思ってる」既読がついたまま、なかなか返ってこない言葉に蓋をするように、私は畳みかけます。
「ゆう君みたいに素直に育ってくれたらいいな〜なんて(笑)」本当は、愛されたいって、女性として見てほしいって、ほんのちょっとは思っていました。
でも、私は必死に嘘を並べて、続けました。
本当なら、ひとまわり年上の私が、もっと早く導いてあげるべきだった。
若い彼の純粋な心を振り回して、傷つける結果になってしまった。
その事実は、変えられません。もう、変えられないけど…。
今なら戻れる。まだ、戻れる…!
「ブロックはしません。でも、気持ちが落ち着いたら、ゆう君からブロックしてほしいです。短い間だったけど…ありがとう。ごめんなさい」ドキドキやときめきはもうないけれど、目が覚めたら、愛する子どもたちが目の前にいる。
子どもたちが笑っている。夫が触れてくれる。うるさいくらいの笑い声が家中に響いている。
私は愛する家族に愛してもらっている。
それで十分なんだ。それがこの上ない幸せなんだ。
私のこの手は二つしかないけれど、どれかを選べって言われたら、やっぱり…。
娘と息子の手を、真っ先に握る。
それが私の答えでした。
次回に続く(全11話)毎日9時更新!
(たんこ)