自分にあう痩せ方を見つける『マイダイエットメソッド』を主宰しています、管理栄養士で、おうちごはん研究家の金丸利恵です。
・新しい生活の疲れが出てくる頃…。
新年度が始まってもう5月も過ぎようとしています。ようやく生活に慣れてきたはずのこの時期に、なんとなくダルい、疲れた、気持ちが落ち込む、よく寝られない、などと思われるような不調を感じる方も多いかもしれません。
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そんなときは、まず早く起きて太陽の光を浴びる、早めに寝て睡眠の質を意識するなど「概日リズム」を整えましょう。そこにさらにプラスして「食材」にも着目してみてはいかがでしょうか?
心身ともに回復させるイチオシ素材は「鶏ムネ肉」です。どの店でも手に入り、価格も安価で、使いやすいですね。一方、パサつく、料理の仕方がわからないなどお悩みも多く、同じ鶏肉でもモモ肉を選びがちになりませんか?今回は、鶏ムネ肉の栄養素の特徴、そしてカロリーダウンさせつつ、柔らかく食べられる方法についてお伝えします。
■肉体疲労の回復に効果的な「イミダペプチド」「鶏ムネ肉」の栄養で注目されているのが「イミダペプチド」(イミダゾールジペプチド)。
渡り鳥が長い距離を飛び続けることができるのは、この成分が胸や翼に多く存在するからと言われています。イミダペプチドは、体内の
活性酸素の発生を抑え、疲れにくくします。また活性酸素は老化の原因なので
美容対策としても取り入れたいところです。
イミダペプチドは、人間の筋肉にも存在しますが、加齢に伴い体内で作る力が衰えてくるので、食品で補給すると良いでしょう。
■セロトニンの材料となる「トリプトファン」が多いハッピーホルモン、と言われるセロトニンは、精神を落ち着かせ、じんわりと幸せ感を感じさせてくれる神経伝達物質です。不足するとイライラ、PMS、気分のアップダウン、片頭痛の原因となります。このセロトニン、太陽の光を目から入れることで、夜になると睡眠を誘発するメラトニンにかわり、安眠に導いてくれます。
セロトニンは、トリプトファンを材料に、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムと一緒に脳内で合成されます。
鶏ムネ肉は「トリプトファン」も「ナイアシン」も多い優秀食品です。
「ビタミンB6」は米ぬかに多いので、分付き米や雑穀米を主食に組み合わせるといいですね。「マグネシウム」は海藻、緑の葉野菜、ナッツ、豆類に含まれおり、
ワカメやほうれん草を入れた味噌汁も相性が良いです。
■初心者必見!鶏むねを柔らかく食べる調理法は?鶏ムネ肉は、構造上、加熱すると水分が出やすく、パサつく原因に。なので、高温で加熱しすぎると固くなり、食べにくくなります。とは言え、ちょうど良い温度や時間を見計らうのは、経験豊富でないと難しいかもしれません。今回は、
ちょっとくらい加熱しすぎても、柔らかく食べられる下準備と調理の裏技についてご紹介します。
■柔らかくする下準備
@ハチミツと酒をもみこんでおく。
鶏ムネ肉にフォークで数か所穴をあけ、1枚に対し、小さじ1のはちみつと、大さじ1の酒をもみこんでおきましょう。
A塩こうじにつける
こうじのタンパク質分解酵素の力で、柔らかくなります。塩こうじの塩味で下味がつき、そのまま焼いても美味しく食べられます。
Bオリーブオイルでマリネしておく。
オリーブ油をコーティングしておくと、保水力が増し、パサつきを抑えることができます。
このように買ったらすぐ、下準備をし、ビニール袋かタッパーに入れて1日置きます。ここからソテーや空揚げなど、どんなお料理でも展開することができます。
しかし、1日置いておく時間がない、今使いたい、という方は、切り方と調理法を変えてみましょう。
■柔らかく食べる料理の裏技
@そぎ切りにする。
繊維を断ち切ることで、食べやすくなります。また、厚みのある部分に包丁を斜めに入れ、観音開きにする、開いて綿棒で叩く、なども繊維が断ち切れ柔らかくなります。
A片栗粉や小麦粉をまぶして調理する。
コーティングすることで、水分の流失を防ぎます。■鶏肉のカロリーの40%は皮にある! 今回ご紹介する「鶏ムネ肉の簡単南蛮漬け」は、ダイエットメニューのため、皮を取り除きます。
鶏肉はモモもムネも、皮を取り除くことで40%のカロリーオフできます。皮を捨てちゃうのがもったいない、という場合は、皮をはいだあと、内側の脂肪をスプーンでそぎ落としたり、黄色い脂肪を切り取りましょう。それだけでも脂肪が落とせます。
皮はさっとゆでて、煮物に入れたり、千切りにして酢の物に入れるとコクが出て美味しくなります。皮を取り除いた鶏ムネ肉はそぎ切りにし、酒を揉みこんで、柔らかくします。揚げずに焼くことで、簡単かつヘルシーな仕上がりに。難しいと思われがちな
南蛮酢も「麺つゆ」を使えば味が簡単に決まります。
「鶏むね肉の簡単南蛮漬け」 調理時間 25分 1人分 267Kcal
レシピ制作:金丸 利恵
【材 料】2人分鶏ムネ肉(皮なし) 1枚(正味250g)
塩 小さじ1/3
料理酒 大さじ1
片栗粉 大さじ2
油 大さじ1
玉ねぎ 1/2個(100g)
ニンジン 2cm(20g)
ピーマン 1個
塩 少々
≪漬け汁≫
めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ2
酢 大さじ2
水 大さじ2
【下準備】・鶏ムネ肉は皮をはいたら縦半分に切り、斜めにそぎ切りにする。
・玉ねぎ、ニンジン、ピーマンは千切りにする。
1、鶏むね肉は塩と酒を振り、水分がなくなるまで揉みこむ。
2、玉ねぎとニンジンとピーマンは塩少々を振り、しんなりさせる。
3、≪漬け汁≫の材料を耐熱容器に入れ、ラップをかけ、600Wの電子レンジで1分加熱する。
4、(2)を水で洗い流し、しっかり絞って水けをきる。Bを入れて、混ぜ合わせる。
5、ビニール袋に片栗粉を入れ、@を入れる。膨らませて口を閉じ、振って全体に片栗粉をまぶす。
6、フライパンに分量の油を入れ、熱する。Dを並べ、両面を焼く。
7、(4)に熱いままEを入れて、混ぜ合わせる。そのまま食べても、冷蔵庫で冷やして食べても良い。
温かいうちに食べても、冷やしても良く、酢が入っているので保存性もあります。冷蔵庫にストックしておき、疲れたなと思ったら、おかずに取り入れてみてくださいね。
参考文献 食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/index.pl
栄養成分:エネルギー267Kcal タンパク質30.5g 脂質8.5g 炭水化物17.1g 食塩相当量2.3g
(金丸 利恵)