「山椒の実」は、
噛むほどに広がる香りと刺激が魅力です。
今回は、山椒の実の栄養価や下処理方法などを解説します。

さらに、山椒の実を使った主菜や副菜レシピも4選ご紹介。
“日本最古のスパイス”とも言われる山椒の実をもっと料理に使ってみませんか?
■山椒の実ってどんなもの? 特徴や栄養などを解説
山椒の実とは、
山椒の雌株についた実のこと。未熟な状態で収穫されるため、実が青いのが特徴です。
「実山椒(みざんしょう)」や「青山椒(あおざんしょう)」とも呼ばれますよ。
5〜6月頃の限られた時期にしか収穫できないため希少価値が高いのも山椒の実の特徴。
山椒特有のしびれる辛さは、
サンショオールという成分によるものです。サンショオールには、
食欲増進作用や、消化不良を改善させる効果があるとされています。
また、山椒の爽やかな香りは
ジテルペンという成分が由来。ジペルデンには
免疫細胞を活性化させたり、高い抗酸化作用があったりすることで知られています。
■山椒の実の下処理・保存法生の山椒の実は傷みやすいため、買ったらすぐに下処理をしましょう。小枝から実を外したら水を張ったボウルでほこりや汚れを落とします。細い軸は残しておいても構いませんよ。
水1Lに対し、塩小さじ1杯を入れた熱湯で山椒の実を茹で、指でつぶせるぐらいの硬さになったら取り出します。
そのままだとアクが強いため、水を張った容器に移して30分〜1時間程度放置しましょう。ひと粒食べてみてえぐみが残っている場合はさらに10分放置。えぐみが抜け、ほどよい辛みになったらOKです。
下処理済の山椒の実は
冷凍保存がおすすめ。水気をしっかり拭き取ったら、フリーザーバッグに入れて平らにならして冷凍庫へ。空気に触れないように保存すると
5〜6ヶ月日持ちしますよ。すぐに溶けるので、そのまま薬味に使えます。
ほかにも、
塩やしょうゆに漬けて保存食にするのもイチオシです。
【塩漬けを活用】鶏むね肉の山椒みそ焼き鶏むね肉の山椒みそ焼き
【材料】(2人分)鶏むね肉 1枚(300g)
<合わせ山椒みそ>
山椒の実(塩漬け) 小さじ 1
みそ 小さじ 2
みりん 小さじ 2
砂糖 小さじ 1
プチトマト 4個
【下準備】1、鶏むね肉の厚さを半分に切る。<合わせ山椒みそ>の山椒の実をみじん切りにして、他の材料と混ぜ合わせる。
【作り方】1、鶏むね肉に<合わせ山椒みそ>をぬり、中火の魚焼きグリルで7〜8分焼く。幅1〜2cmに切り、器に盛ってプチトマトを添える。
【このレシピのポイント・コツ】塩漬け山椒がなければ、ユズコショウでも。
ここでは両面焼きグリルを使用しています。上火タイプの場合や下火タイプのグリルの場合は、片面焼いてから、みそを塗って焼いてください。グリルは受け皿に水をはるタイプの場合もありますので、お使いのグリルの説明書に従って下さい。
塩漬けにした山椒の実をみそと混ぜ、鶏むね肉に塗ります。塩漬けにするときは、下処理済の山椒の実に塩をまぶして熟成させてくださいね。旨みが強くなるので、より深い味わいを堪能できますよ。塩漬け山椒の塩気によってみその量を加減すると良いでしょう。
【本格中華の味】辣白菜(ラーパーツァイ)風 白菜のピリ辛甘酢炒め辣白菜(ラーパーツァイ)風 白菜のピリ辛甘酢炒め
【材料】(2人分)白菜 1/8株
セロリ 1/2本
白ネギ 1/2本
ショウガ(せん切り) 1/2片分
<ピリ辛甘酢ダレ>
砂糖 大さじ 2
酢 大さじ 4
塩 小さじ 1/4
赤唐辛子(刻み) 1/2~1本分
山椒の実 少々
ゴマ油 大さじ 1
【下準備】1、白菜は長さ5cmに切り、さらに縦幅7〜8mmの棒状に切る。

2、セロリは筋を引き、白菜くらいの大きさに切る。
3、白ネギは長さ5cmに切り、縦4〜6等分に切る。
【作り方】1、フライパンにゴマ油を強火で熱し、白菜、セロリ、白ネギ、ショウガを炒め、しんなりしたらステンレス、またはホーローのバットにあける。

2、フライパンに<ピリ辛甘酢ダレ>の材料を合わせ、煮たったら1分そのまま煮て、(1)にかける。

3、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし、器に盛る。

人気の中華総菜「辣白菜(ラーパーツァイ)」を手軽に作るレシピです。甘酢ダレに山椒の実を加えるのがポイント。山椒の実に含まれるサンショオールは加熱すると辛みが増すため、ピリッとした刺激を楽しめます。白菜の甘さと山椒の実や唐辛子の辛さのコントラストが抜群で、箸が止まらなくなります。
【臭み消しに活用】ピリ辛ネギダレがけゆで豚ピリ辛ネギダレがけゆで豚
【材料】(2人分)豚ロース肉(薄切り) 200~250g
<ゆでる調味料>
山椒の実 小さじ 1
ショウガ 1片
白ネギ(青い部分) 1本分
キャベツ 1/8個
サラダセロリ 1/2束
トマト(小) 1個
<ネギダレ>
白ネギ 1/4本
ショウガ 1/2片
作り置き甘酢 大さじ 1
塩コショウ 少々
ゴマ油 大さじ 1/2
しょうゆ 大さじ 1/2
豆板醤 小さじ 1/2
【下準備】1、豚ロース肉は長さ5〜6cmに切る。

2、<ゆでる調味料>のショウガは皮ごときれいに水洗いして薄切りにし、山椒の実、白ネギの青い部分と共に熱湯に加える。
3、キャベツはせん切りにし、冷水に放ってザルに上げる。
4、サラダセロリは水洗いする。長さを半分に切り、キャベツと混ぜ合わせる。
サラダセロリが手に入らない場合は、貝われ菜でOKです。
5、トマトはヘタをくり抜き、食べやすい大きさに切る。
6、<ネギダレ>の白ネギとショウガはみじん切りにし、他の材料と混ぜ合わせる。
【作り方】1、<ゆでる調味料>を入れた熱湯をいったん煮たたせて火を弱め、煮たっていない状態のお湯に豚ロース肉を1枚ずつ加え、完全に火を通してザルに上げる。

2、器にサラダセロリと合わせたキャベツ、(1)を盛り合わせ、トマトを添え、<ネギダレ>をかける。

山椒の実は柑橘系の爽やかな香りが強いので、豚肉を茹でる際の臭み消しにも活用できますよ。爽やかな香りが豚肉にほんのり移りますが、しびれるような辛さは感じません。上品な風味になります。香味野菜たっぷりのタレに実山椒をプラスして大人味にアレンジするのもイチオシです。
【リッチな味わい】ひき肉たっぷり担々麺ひき肉たっぷり担々麺 汁なし 肉みそ濃厚 アレンジ簡単レシピ
【材料】(4人分)<肉みそ>
豚ひき肉 250~300g
<下味>
老酒 大さじ 1
しょうゆ 大さじ 1
甜麺醤 大さじ 2
ニンニク(みじん切り) 1片分
セロリ(みじん切り) 1/4本分
ニラ 1/2束
水煮タケノコ 1/2本
干しシイタケ 2枚
干しエビ 大さじ 2
<炒め合わせ調味料>
老酒 大さじ 2
ラー油 適量
もどし汁(干しシイタケ、干しエビ) 100ml
ゴマ油 大さじ 1
<混ぜる調味料>
練り黒ゴマ 大さじ 2
ピーナッツバター 大さじ 2
粉赤唐辛子 大さじ 1
粉かつお 小さじ 1
ラー油 少々
砂糖 小さじ 2
松の実 大さじ 5
モヤシ 1~1.5袋
ゴマ油 小さじ 1
チンゲンサイ 1株
白ネギ 1/2本
中華麺 4玉
<麺の調味料>
練り白ゴマ 小さじ 4
黒酢 小さじ 2
しょうゆ 小さじ 2
ラー油 適量
山椒の実 少々
【下準備】1、<肉みそ>の豚ひき肉に<下味>をもみ込む。ニラは1cm幅に切る。水煮タケノコはみじん切りにする。干しシイタケ、干しエビはそれぞれ水又はぬるま湯につけて柔らかくもどし、汚れや殻を取ってみじん切りにする。戻し汁は合わせて100ml網を通して取り置く。

2、松の実はフライパンで香ばしく炒っておく。
3、モヤシは水に放ってパリッとしたらザルに上げ、熱湯でゆでてゴマ油を絡める。
4、チンゲンサイは縦4つに切って長さを2〜3等分に切り、サッとゆでる。
5、白ネギは4cm長さの白髪ネギにする
白髪ネギの切り方・ネギを4cmの長さに切って縦に切り込みを入れ、芯を取って1枚に開く。縦細切りにして水に放ち、軽くもみ洗いし水気を絞る。
【作り方】1、フライパンにゴマ油大さじ1とみじん切りのニンニクを入れて中火にかけ、香りが立ってきたら強火で豚ひき肉を炒める。豚肉がほぐれたら、セロリ、タケノコ、もどしシイタケ、もどしエビ、ニラを加えて炒め合わせる。

2、全体に炒められたら、合わせ戻し汁を加えて煮立ったら<炒め合わせ調味料>を加え、汁気がほとんどなくなるまで炒め煮にする。熱いうちに<混ぜる調味料>を混ぜ合わせる。

3、麺をゆでる。器に<麺の調味料>を1人分入れ、ゆでた麺を入れ軽く絡めてモヤシ、チンゲンサイ、2の<肉みそ>を盛り合わせ、松の実と砂糖を散らせて、白髪ネギをのせる。
【このレシピのポイント・コツ】<麺の調味料>を絡める時、固い場合はゆで汁を少し加えて下さい。
お店顔負けの汁なし担々麺を作りたい方におすすめのレシピです。干しエビやタケノコなどが入れた具だくさんの肉みそは、ピーナッツバターや黒ゴマによってコク豊か。山椒の実は麺の味付けに使います。黒酢やラー油と一緒に麺にからめれば酸味や辛みが一体となって広がります。全体を豪快に混ぜて召し上がれ。
■初夏の味覚「山椒の実」で大人の味を山椒の実は、
プチッと弾ける食感と独特の香りや辛さが特徴です。収穫時期が限られているため、なかなか手に入りにくい食材ですが、
産直や通販で購入できますよ。下処理を済ませておけば、長期保存できるのも良いところ。
そのまま冷凍して薬味に使ったり、塩漬けやしょうゆ漬けにしたりして、ごはんのおともや調味料代わりに使うのもおすすめ。ぜひ、
初夏限定の爽やかな味を楽しんでみてくださいね。
(ともみ)