女性芸能人のデビュー前の写真を見て「えー!今と全然違う!」と思うことってありますよね。
「どうせメイクと美容外科を駆使して今のようにキレイになったんでしょ!」と思ったあなた! 確かにそのような方もいらっしゃるでしょうが、それ以上に「常に人から見られている緊張感」が彼女達を美しくしているのではないでしょうか。
今回は、そんな緊張感と美しさの関係がよく分かるエピソードをご紹介します。
今から二十数年前、友人の1人がファッション誌のモデルになりました。その友人は背が高くて頭が小さく、全体的なバランスはいいのですが、普段ほとんどノーメイクで、あまり人目を引くタイプではありませんでした。
そんな彼女がモデル事務所に入って1年で、体全体が一枚皮を脱ぎ捨てたようにスッキリし、ただでさえ小さい顔がさらにひとまわりり小さくなり、ほとんどお化粧をしていないのに、顔のパーツが全体的にくっきりして、「目立つ美人」へと変貌していたのです。
とはいえ、顔かたちは以前の彼女のままなので整形はしていないはず。思わず「すごいキレイになったね。モデルだから何か特別なお手入れしているの?」と聞いたところ、特に運動も食べ物も気を使っていないとのこと。
体重も1kgくらいしか減っていないそうなのですが、彼女曰く「撮影のときに周りのスタッフの目が一斉に自分のほうを向くでしょう。あれがすごく緊張して、細胞が全部キュッと締まる感じがするの。それを繰り返しているから全体的に細くなったのかな」
「撮影のときは周りが『その表情いいね』とか『かわいいね』ってほめてくれるからすごくいい気分になって、もっと頑張ろう! キレイになろう! って思えるからかもね」とのことでした。
細胞が締まるわけはないと思うのですが、その時「他人に見られることで女性は美しくなるって言うけど、ホントなんだ…」と妙に感心したことを覚えています。
しかし、モデルではない私達が他人の目を意識して緊張するような場面は、普段の生活においてはあまりないですよね。私もその時「撮影って毎日あるの?」と聞いたのです。
すると彼女は「毎日はないよ。だから3日くらい家にいると、なんだか顔の輪郭がボーっとしてくる気がするの。から、そういう時はホテルのラウンジに行くの。ホテルのスタッフはお客さんにすごく目を配っているし、いいサービスを受けたかったらそれに見合ったいい振る舞いをしなくちゃいけないでしょ」
「あと美容院にシャンプーしに行く。美容院ってドアを開けると一斉に“いらっしゃいませー”って迎えてくれるじゃない。あの緊張感がいい」と教えてくれました。
彼女は撮影以外でも、あえて人目に触れる場所に身を置くことで、他人の視線で自分を磨いていたのでした。「緊張と美しさは両輪」であることを彼女の変貌ぶりが語っていました。
すでにモデルの仕事から引退している彼女とは、あれからもうずっと会っていませんが、今でもきっときれいなんだろうと思います。
美しさを手に入れるためにも、たまにはホテルのラウンジでゆっくりお茶でもして、緊張の中にわが身を置く習慣をつくってみるのもいいかもしれませんよ。
(佐藤栄子)