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寝たきりになっても車イスでの散歩が日課に、”おばあわん”の一歩ずつ進む姿に「勇気や励ましをもらった」

2021-12-05 09:30 eltha

 自分で体を動かすことはできないが、車イスに乗せると4本の足が動き始め、ゆっくりと前進することができる。そんな飼い主さんとのお散歩が大好きな”おばあわん”の姿がツイッターで話題になった。飼い主さんが里親として10年前に引き取ったというルーさん(推定17歳)は、体が不自由になってからも”車イス散歩”で様々な場所を訪れた。その姿から「頑張って歩く様子が愛おしい」「ルーさんの散歩姿を見て、勇気や励ましをもらった」と多くの反響が。残念ながら先日天国へと旅立ってしまったルーさんに、飼い主さんは「ルーさんの存在そのものが宝物だった」と想いを馳せる。

車イスで佇み、飼い主さんに笑顔を向けるルーさん 17歳9ヵ月で天国へと旅立った

車イスで佇み、飼い主さんに笑顔を向けるルーさん 17歳9ヵ月で天国へと旅立った

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■「一緒に過ごせたのは10年ほど」譲渡会で駆け寄ってきてくれたルーさん

 ルーさんが飼い主さん宅に迎えられたのは、里親譲渡会での出会いから。先代犬を見送り、そろそろ保護犬を迎えようと考えていた時に譲渡会があり、スタッフさんと話していたところにルーさんが駆け寄ってきてくれたのだという。

「その後はもう、何も悩む事はありませんでした。ウチの子になる前の5〜6年位は、いわゆる『虐待』を受けていたと聞いてます。心に深い傷を負っているので、慣れるまでは大変だろうな…と思って構えていたのですが、ウチに来た日から普通に大の字になって寝てました(笑)。その姿はまるで前からずっとうちの子だよね?って思わせる程でした。そして一緒に過ごせた年数は10年程です」

 飼い主さんが譲渡会のスタッフさんから聞いたところによると、ルーさんは10cmほどのリードで係留されていた。バケツに溜まった水がご飯代わりで、近所の人からご飯を貰って、なんとか生きていたという。声帯が潰れていて、鳴き声も出ない状態だった。一度里親会に引き取られたが、すぐに連れ戻されてまた虐待に…。見かねた近所の人々が、虐待していた飼い主の留守中に現里親会へ連れてきてくれた経緯があるという。

■体力的にきつい介護の日々「心配は尽きなかったけど何でもやりたかった」

 大の字で寝てしまうほど、飼い主さんの家にも慣れていったルーさん。3年目からヘルニアの症状が徐々に出始め、鎮痛消炎剤の投薬をしていたが、今年の初めには完全歩行不能になった。”車イス散歩”を続けていたのは、徐々に悪化していく中でも筋力を落とさせたくなかった飼い主さんの思いもあった。自宅でルーさんの介護を開始し、体調を見ながらお散歩に行く日々が続いたという。

「食べる事眠る事を忘れ、これ以上無理と思うくらい限界まで頑張ったけど、やり残した感が出てしまうのが介護」だと飼い主さん。

「自力で寝返りが出来ないので、褥瘡予防のために2〜3時間おきに体位変換、同時に水分補給をしてあげていました。褥瘡予防は重要で、ベッドから車イスへの移乗も4〜5時間に1度はしなければなりません。

 自力で首を支える事が出来なくなり、食事は部分介助から全介助になりました。腎機能も悪化していたので、自力排尿が出来なくなり、4〜5時間ごとに圧迫排尿が必要となります。加えて、リハビリを兼ねた車イス散歩を1日3〜4回、体の症状に応じて車イスのメンテナンスとカスタマイズ、ほぼ毎日のように通院していました。ルーさんが少しでも快適に過ごせるようにと、私の生活は”ルーさんファースト”で毎日動いてました」

 日々の介護の時間は体力的にも精神的にもきつかった、不安に感じることばかりだったが、それでも「ルーさんの下僕になれたことに、幸せを感じていました。心配は尽きなかったけど何でもやりたかったです。とにかく全てが丸ごと可愛いくて仕方なく、存在そのものが宝物だった」と飼い主さんは話す。

■声が出せない状況でも『そろそろ行くよ』挨拶して教えてくれた

「前の飼い主の劣悪な環境下での飼育により『声帯が潰れて声が出ない』とお話させていただいたとおり、私はルーさんの声を聞いた事がほとんどありませんでした。それが旅立つ直前の1時間位前でしょうか…今まで聞いた事のない声で『オー』って何回もお話をしてくれました。『そろそろ行くよ』ってご挨拶して教えてくれてたんだと思います」

 足も体も、もしかしたらすでに限界が来ていたかもしれない。それでも、飼い主さんとの散歩はルーさんにとって特別な時間で、ゆっくりゆっくり一歩ずつ前進していくことが日々の糧にもなっていた。

「一言で『ルーさんは私の全て』でした。1日3回〜4回のお散歩、旅行やドライブ、ホームセンターやアウトレット…色んな所へ一緒に行きましたが、笑顔で付き合ってくれた優しい子です。諦めが悪い下僕はいつでも一緒に居たくて必死だったんですね…。今は酷いルーさんロスで、ダメダメな毎日を送っていますが、ルーさんが心配しない様に少しずつ前に進まないと行けないな…と思っています」

 ペットの介護に向き合われている方には、「焦らずにその時を大切に過ごしてほしい」と飼い主さん。

「できないことが増えていき、加速度的に増える病気、日々のお世話で大変な時間を過ごされていると思います。振り返ると少し前の悩みは何でもない事です。焦らずにその時を大切に過ごして欲しいと思います。そして介護は体力勝負です。まとまった睡眠時間を取ることが難しいケースが多いと思いますが、少しでも横になってほしいと思います。そして何より食べてほしいと思います。そして笑顔で介護を楽しんでほしいと思います」



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