仕事を頑張る息子と受験に向かう娘のために…“手作り弁当”に想いを込めた親たちの深い愛情
2022-02-03 07:30 eltha
■「せめて家庭の味を食べさせたい」 少ないお給料から“食費”を渡してきた息子のために…
卵焼きにウインナー、エビフライ、とんかつ、オムライスといった、思わずがっつきたくなるような手作り弁当の写真に、「#息子弁当」というハッシュタグを付けてInstagramに投稿しているけーきさん(@keki4551)。社会人になった息子さんのために、「行ってらっしゃい!」という想いを込めて毎日お弁当を作っているのだという。
「このお弁当は、お昼から勤務している息子の夕食用です。夜遅くまで続く重い物を運んだりする仕事を乗り切れるように、息子の好きな物を大盛りにして詰め込んでいます」
大学を中退した後、学生時代から続けていたアルバイト先で働くことになった息子さん。その頃からお弁当を作り始め、現在で2年ほどが経ったそうだが、作ろうと思ったのにはある経緯がある。
「まだ少ないお給料の中から『食費です』と息子がお金を渡してきたんです。だから、せめて家庭の味を食べさせてあげたい、そして少しでも息子が自分のために使えるお金が残るようにしてあげたいと思い、お弁当を作り始めたのがきっかけです」
息子さんは大学受験で初めての挫折を味わい、大学生活でもとても辛そうにしているように見えたため、親子で話し合って中退の道を選んだ。その後、学生時代からのアルバイト先でパートから準社員になった。そんな息子さんへの想いを込めて、けーきさんはお弁当の写真を投稿する際に、「行ってらっしゃい!」とコメントを書いている。
「アルバイトの頃から1日も休むことなく真面目に勤務する姿を見て、大学生時代に悩んで辛かった時間を過ごして来た今、息子なりに毎日を頑張っているんだろうなと感じています。自分の居場所を見つけた息子に、いつもエールの気持ちで『行ってらっしゃい!』を送っています」
けーきさんにとって、お弁当を作っている時間は、今でもとても大事なものになっている。
「大人になり、話すことも少なくなった今、もっと先の息子の未来に、少しでもこのときの母の気持ちが伝わればと思いながら作っています」
娘さんには第一志望の中学校があったが、入学を熱望するあまり緊張してしまい、うまく力が発揮できずに残念な結果に…。だが、兄弟が通っている第二志望の学校では、しっかりと落ち着いて受験することができ、見事合格を手にした。
この末っ子の娘さんの受験エピソードに対して、「笑ってくれてホッとした」「今後の人生の糧になるはず」「娘さんが楽しい学校生活を送れますように」などと多くの温かい言葉が寄せられ、あいさんは思わず涙したとか。
「私は、父の教えで『例え辛く苦しいことでも、自分が経験したことによって、同じ経験をした人が悩んでいる時にその人の気持ちに寄り添ってあげることができるから』ということを子どもたちにも伝えてきました。皆さんも同じような経験をされて、私の気持ちに寄り添って下さったこと、父が教えてくれた通りだなと思いました」
受験の当日のお弁当を作る際には、とにかく余計なことはしないようにと考えていたという。
「『頑張れ頑張れ』の気持ちを込めて、変な緊張感を与えないように余計な装飾などはせず、いつも通りを意識しました」
また、塾で食べるお弁当に関しては、学校で食べるお弁当とは異なる工夫を凝らしていたとか。
「塾の食事時間は15分程度しかないので、食べやすいカレーや丼ものが多かったです。嫌いなおかずは一切入れないようにしました」
そんなあいさんの思いやりや愛情を感じたのか、初めは「お弁当を作ってくれて当然!」といった態度だった娘さんにも、徐々に変化が見られるようになったそう。
「受験間際になるにつれ、『ごちそうさま!美味しかったよ!』とか『ありがとう!』とメールをくれるようになり、心の成長が見られて嬉しかったです」
子どもたちのお弁当を作るにあたり、あいさんはとても大切なひとつの想いを込めている。
「お弁当タイムが、辛いときやしんどいとき、どんなときでも温かい家庭があり、大切な家族がいるということを思い出す時間になってほしいと、愛情を込めて作っています。また、娘には中学受験という貴重な経験ができたことに感謝し、しっかり前を向いて歩んでほしいですし、先生やお友達に支えてもらったように、誰かの役に立つ為の経験や勉強をたくさんしてほしいです」