「お風呂とか、やってらんねー」「厄日です」犬の皆さん気を付けて…風呂嫌いの犬からのメッセージ

　「犬のみんな、気をつけて！」「僕らは、お風呂に入れられる！」と、ムスっとした顔で訴えかけるような視線を送る犬がツイッターで話題になった。お風呂でシャンプーされているのは、お風呂が苦手だという雑種犬のたろくん。「厄日だぜ…」「僕もパーマ屋のおばちゃんスタイルにされました」「今日はお風呂だって、もう少し早く教えてほしかった」と、様々な犬の気持ちを代弁した反響が殺到した。元は野良犬だったというたろくんとの関係性について、飼い主さんに話を聞いた。

　ツイッターの投稿があったのは、昨年末の慌ただしい時期。「新しい年はキレイな状態で迎えよう」という人間側の都合から、多くの犬がお風呂に入れられた。たろくんと同じように怪訝そうな顔で泡にまみれ、ずぶ濡れになっている犬たちの姿が多数アップされた。「厄日だぜ」「やってらんねー」「もっと早く教えてほしかった」「やられました…」と、犬たちの声を代弁する投稿で盛り上がった。

　たろくんは宮古島でレスキューされた元野良犬で、飼い主さんは里親としてゆっくり時間をかけて関係性を築いてきた。人間との生活にも徐々に慣れてきたが、そのなかでもお風呂はとても苦手。

「生後半年ぐらいでうちに来ました。宮古島で外を自由に歩き回っていたのに、保健所に捕まり、病院にお世話になり、飛行機に乗って知らない人のところに行く。環境の激変を経験し、とても不安だったと思います。うちに来た頃のたろは、首を引っ込めた怯えた姿勢で、部屋の隅からこちら伺っていました。無理に触って人間の手を怖がったらよくないと思い、私は撫でるのも我慢していたと思います。『そっとしておく』だけでも、当時は心理的にきつかったのを覚えています」

　今ではツヤツヤの毛並みで凛々しい姿を見せているたろくん。飼い主さんの家に来たばかりの頃はガリガリに痩せていて、細すぎる棒のような足を見て飼い主さんは心配を隠せなかったという。

「バイクやトラックを怖がってしまうことがありました。そういう時は、私が親犬の仕草を真似して、怖いものとの間に立ちふさがって、たろを庇うようにしていました。当初は花火や地震を怖がって机の下に逃げ込んでいましたが、今では私の所にすっ飛んできます。ピンチの時は飼い主に頼っていいんだと思ってもらえたのかなあと思います。最近は、たろの要望をなるべく聞いて、意思を尊重するようにしたら、ますます輝きだしたように思います。ちゃんと自分の意見が相手に通じるのだ、という経験をたくさん積ませたいです」

　これからは、「自宅で自由にのびのびと過ごしてほしい」と飼い主さん。

「たろにはなるべくストレスをかけないように心がけています。撫でる時は、撫でていいかを犬に聞きます。『ナデナテ』と言いながら撫でていたら、たろは言葉を覚えました。なので、撫でる前には『ナデナデ？』と聞きます。撫でてほしければ体をくっつけてきますし、そういう気分ではない時はこちらに来ません。そういう小さな尊重を積み重ねています。このままのんびり過ごしてほしいです」

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2022-02-13