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LiSA、悩み続け出会えた『鬼滅の刃』 原動力は“恐怖とプレッシャー”「次の10年は“臆病な人”に音楽を届けたい」

2022-11-17 eltha

 ロックシーン、アニソンシーンの両方で活躍し、日本を代表するアーティストとなったLiSA。昨年ソロデビュー10周年を迎えた彼女が、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の主題歌「炎」などを収録した2年ぶりのアルバム『LANDER』を発売した。その制作プロセスには、「心の中のドロドロとした部分をえぐるような時間」でもあった。シンガーとして期待と注目が高まるなか、「常にプレッシャーと向き合ってきた」という彼女がたどり着いた境地について聞いた。

“30歳”でよぎった引退…迷い乗り越え「次の10年は“臆病な人”に音楽を届けたい」

アルバム『LANDER』

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──2年ぶりとなるアルバムが完成しましたが、この2年間は、LiSAさんにとってどんな時間でしたか?

LiSA 今年4月、10周年の締めくくりで開催した日本武道館ライブが終わった瞬間に、新しい惑星に着陸したような感覚がありました。この2年、素晴らしい瞬間もどうしようもない出来事もあったけれど、そこを駆け抜けたときに「ここからまた新しいLiSAの音楽を作っていこう」という希望を見出すことができました。

──アルバムに収録された新曲「NEW ME」のような感覚?

LiSA そうですね。次の10年に向けて「LiSAは何を歌っていくのか?」に向き合ったときに、もちろんたくさんの方に聴いていただけたらうれしい。だけど一番届けたいのは、私に似た臆病な人。それでも頑張ろうともがいている誰かの明日の希望になれるような歌を歌っていきたい。そんな思いにたどり着いて書いた歌詞です。

──ご自身を「臆病」だと言いますが、どんなときにそれを感じましたか?

LiSA 期待してくれている誰かをがっかりさせたくないという恐怖とプレッシャーを、子どもの頃からずっと感じていました。それが頑張るモチベーションにもなっているけれど、精一杯やっても叶わないこともあります。

──アルバムには「TVアニメ『鬼滅の刃』無限列車編」のテーマソング「明け星」「白銀」、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」主題歌の「炎」が収録されています。改めて『鬼滅の刃』という作品にはどんな思いがありますか?

LiSA アニメ作品に情熱を注いで音楽を作るという、自分が信じて続けてきたことを肯定してもらえたような作品でした。特に「炎」からの3曲は梶浦由記さんによって、LiSAというアーティストのポップ軸をさらに広げていただいた感覚があります。「炎」の制作から始まったこのアルバムに新しいアプローチをたくさん詰め込むことができたのも、『鬼滅の刃』という作品との出会いはとても大きかったです。

歌詞を書くのは苦しい作業…「自分の心の奥底に向き合うのはとても苦しいこと」

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──Netflixで配信のドキュメンタリー『LiSA Another Great Day』でも、意外なほどたくさんの挫折があったことを語っています。

LiSA 2017年は「LiSAを辞めるのか、続けるのか?」という選択を繰り返していた時期でもありました。その年に30代を迎えて、喉も含めて体がどんどん変化していくことを感じていたのも理由の1つです。LiSAというアーティストが、この先の40代、50代でも歌い続けられるのか、思い描くことが難しかった時期でした。

──ドキュメンタリーにはボイストレーニングや身体を鍛える場面など、素顔を見せる瞬間もあり、舞台裏もたくさん映し出されていました。

LiSA まさにスッピンですね(笑)。結局、私だけで作っているわけではない“LiSA”というアーティストのために、自分ができることを一生懸命やるしかないという結論に達したんです。改めて「目の前にいる人や作品に、誠実に向き合っていけば、“LiSA”という音楽を続けていける」という希望を持つことができました。

──アルバムでもほとんどの作詞を手掛けています。LiSAさんにとって歌詞を書くのは、どんな意味のあるものですか?

LiSA 正直に言うと、歌詞を書くのは苦しい作業であることが多いんです。自分の心の奥底に向き合うのはとても苦しいことだし、歌詞を書いて発散されるわけでもなくて。だけど本当は目を背けたいドロドロとした感情や弱い面を勇気を出して見せたときに、「私も同じ気持ちだよ」と言ってもらえるととてもうれしいです。共鳴してくれる仲間と出会うその瞬間のために、私は歌詞を書いているような気がします。

──音楽には言葉にできない思いや感情を代弁してくれるところもありますよね。

LiSA 私もそんな楽曲に出会うと、とても心強い気持ちになります。いまの世の中は「正しくあること」がとても大事にされていて、ちょっと人と違うと責められることもある。誰しも心の中で鬼になってしまう日もあるかと思うんですね。でも、みんな表面上は「正しく」振る舞おうとする。私もそうです。だけど映画や音楽なら心の中を表現してもいいし、それによって救われる人もいると思うんですね。だから綺麗事では歌詞を書きたくないんです。

──そんなLiSAさんの魂の叫びが詰まったアルバムが完成し、これからの活動がますます楽しみです。

LiSA 今回のアルバム制作も苦しくなかったわけではないけれど、ある程度、完成しかけた時点でまだまだ力が有り余っていたんですよね。それは10年活動してきて付いた筋肉のおかげだと思います。これからこの筋肉をどう活かしていけるか、私も“LiSA”というアーティストの次の10年に期待と希望を持っています。

(文/児玉澄子)
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