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てぃ先生が提言、子どもの”適性”見極めに「早期教育よりも没頭できる時間を」

2023-06-26 eltha

てぃ先生

てぃ先生

 SNSでは子の発達の早さを話題にする投稿が目につき、テレビでは東大生が活躍して親の教育法にまで関心が集まる。絵本の読み聞かせ、ひらがなや九九をはじめ就学前から家庭で取り組む教育に力を入れる一方で、“天才を育てようとすること”に疲れている雰囲気も。人気保育士のてぃ先生は、早期教育に対して「あまり賛同しない。その子の好きな遊びにちゃんと没頭させてあげる時間のほうがよっぽど大事」と話す。

「絵本が絶対なわけではない。こだわりすぎないことが重要」

――文字や知識を学ぶ育脳の観点から、絵本の読み聞かせは注目されてきた手段であると感じます。「1日○冊の絵本を読み聞かせる」といったノルマを課している親御さんもいたりますが、親はどのようなスタンスで臨むのがよいものなのでしょうか?

「絵本を読みたいと子ども側が求めているのであれば、10冊でも20冊でも読めばいいと思います。一方で、子どもが絵本に興味がなく求めてもいないのに、大人が勝手に『10冊がノルマだ』などと言って、無理やり読み聞かせをするのは何の意味もないです。海外の研究のデータなどを見ても、小さい頃にいろいろな本を読み聞かせしたりとか、たくさんの文字に触れたりした子どものほうが社会的地位が高くなるみたいなものも確かにありますけど、それが絶対なわけではないんです」

――必ずしも、絵本にこだわる必要はない?

「はい。例えば、おままごとなどの遊びの中で、パパやママが積極的に新しい言葉を出してみるとか、言葉を掛け合わせてちょっと複雑な言葉に変えてみるとかでもいいんです。絵本という媒体はいろいろな絵や言葉が自然に出やすい。だから育脳的にいいと思いがちなのですが、別に言葉を学ぶ機会はほかの遊びでもいい。だから、3冊までは集中して読めるけど残り7冊はそうではないという場合は、その7冊を読む時間でその子が好きなお遊びをしながら、『お鍋でコトコト煮ようね』などと絵本の中で出てくるようなフレーズを親が言ってあげればいいと思います」

――寝かしつけの際に読み聞かせをするご家庭は多いと思います。眠る前の時間は、親子にとってどのような時間であればいいと思いますか?

「子どもの気を引くことができて、かつ安心できるような時間を作ることが大切です。絵本という媒体は、確かに子どもの興味を引きやすいですが、それがベビーマッサージやスキンシップの時間であってもいいんです。例えば、お話ができる年齢のお子さんだったら、その日にあったことを振り返ってお話するとか。

絵本が、子ども的には面白かったり、親的にはその場に留まってくれたりといったメリットがあるから選ばれやすいですね。絵本を寝かしつけに使うこと自体はいいとは思いますが、こだわりすぎないことが重要です」

――先日、Kenvueが主催した寝かしつけギャップセミナーに登壇された際は、「ママじゃないとイヤ!」と言われるなど、お子さんを寝かしつける時の大変さがママのほうに偏ってしまっている現状があると発表されていました。パパが寝かしつけを担当し、子どもがリラックスできる状態を作るためには、どんなことを意識するのが効果的ですか?

「寝る1時間前にあれをしてこれをして…とか、的確なタイミングを考え出してしまうと、それだけでもう億劫になってしまいます(笑)。子どもが楽しそうに遊んでいたら一緒に遊べばいいですし、赤ちゃんだったら『ここにお椅子があるね』とか『白い机だね』とか『今日、パパはお外でこんなことしてね』みたいに、言葉が通じなくても、穏やかにお話ができるようなリラックスできる時間を作ればいいだけです。

 お子さんとお喋りの時間としても、2人で一緒に窓の外見る時間としても、なんでもいいわけです。考え出したら大変なので…。もちろん寝る時間、起きる時間はできるだけ固定化したほうがいいですし、寝る前のルーティーンも固定化したほうがいいんですけど、だからといってそれを30分前から始めるなどということではなく、寝る前にこういうことをするというざっくりとしたルーティーンを組むだけでも全然違います。意識したほうがいいことは、その決めたルーティーンは毎日崩さないということくらいですね」

“子どもの目線の先”に何がある?「没頭できる環境が何よりも大事」

――最近はもう年少さんで繰り上がりの足し算ができる子もいて、親御さんも焦っていろいろと詰め込もうとか早期教育をしようみたいな流れもあるのかなとは感じるのですが…。

「それは僕は明確に否定派というか、あまり賛同していない派です。年長さんで九九を覚えたからといっていつ使うのっていう…。勉強って、勉強すること自体が大事なのではなくて、覚えたことを生かすことが大事なんです。年長さんで九九が言えるのは確かにすごいことかもしれませんけど、実際に授業で習ったりテストに出てきたりするのは小学3年生とか4年生の頃ですよね。そのタイミングになると、周りの子ももう覚えているわけです。だから、早ければ早いほどいいみたいな考えには、僕はあまり賛成していないです。使うタイミングで覚えればいいと思います」

――そういうことよりも、やはりお子さんとのコミュニケーションの時間を大切にしたほうがいいということですよね。

「早期教育と比較するのであれば、その子の好きな遊びにちゃんと没頭させてあげる時間のほうがよっぽど大事だと思いますね」

――最近は天才を育てようというムーブメントも結構大きい気がするのですが、親はどのように子どもの適性を探してあげるとよいのでしょうか?

「別に英才教育的なことを一生懸命やったとか、特別な教育法云々とかではなくて、その子が大好きなものをちゃんと本人も自覚していて、周りもそれをサポートしている。その子が没頭していることを誰も否定しなかったという家庭環境があってこそだと思います。

 一つのものだけに没頭している子がいたら、『そろばんもやりなよ』とか『ピアノもやりなよ』『絵画もやりなよ』って、親は広げようとしがちだと思うんです。でもそれをせずに、本人が好きなことをとことん伸ばしてあげる。親御さんが子どもの可能性を広げようとしすぎて、あれもこれもとするのではなくて、とにかく何かひとつのことに没頭するという機会をちゃんと設けてあげたほうがいいのかなと思います。そういったお父さんお母さんたちを否定するつもりはまったくないのですが、子どもが小学生くらいになった親御さんが、『うちの子は集中力がないんです』『ひとつの物事に集中できないんです』って言うことがよくあります。そういう親御さんに限って、小さい頃にあれもこれもとやっているケースが多いんですよね」

――なるべく多くのものに触れさせてあげたほうがいいのかなと思ってしまいますからね。

「機会を設けるのはいいと思うんです。英語をまったくやったことがない子だったら、外国人の方と触れ合える時間を設けるとかはいいことですけど、子どもが求めていないものを大人が必要以上にこれもあれもとやることは、僕はそんなにメリットがあることではないと感じます。特に就学前までの話ですけど、子どもが好きなことに没頭できる環境が僕は何よりも大事だと思いますね」

――子どもの適性を見つけるために、親はどのような目線を持っていたらいいのでしょうか?

「子どもの適性を見つけようとすると、親御さんたちや先生は必ず子どもを見ようとするんです。でも、見るべきは子どもではなくて、“子どもの目線の先”なんです。子どもを一生懸命見ても何も見つかるわけないです。子をじっくり観察して『この子はピアノができそうだな』とはならないはず。

その子が見ているものは何なのか。その子が一生懸命ブロックを見ているんだったら、とにかく興味を持っている間はブロックをさせてあげるということが何よりも大事です。見るべきは子どもではなく、子どもの目線の先ということを意識していれば、自然とその子にとってのこれっていうものは見つかりやすいと思います」

――先生のご活動はどんどん広がって多岐に渡っていっていますが、今後の活動の展望を教えてください。

「子育てに関する情報を発信していくことで、いろんなお父さんお母さんがそれを見てくれると思うんです。例えば、僕が話した内容がその方々にとって参考になって、それを実際に子どもにやってみてうまくいって、子どもも嬉しそうとなったら、これは間接的に僕もその育児に参加していることになるじゃないですか。ちょっとおこがましいかもしれないですが…。だから、そうやっていろんなパパママに、ご自身のお子さんに合う方法が、僕の話とかのなかから少しでもできればいいなと思います。自分が有名になりたいのではなくて、自分が発信した内容が広がるというのが僕の最終的な一番嬉しい目標であることはずっと変わらないので、そのためにできることは続けていきたいですね」
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