電車で読んだら危険!? 報復絶倒のエッセイ『ワタシは最高にツイている』
小林聡美(幻冬舎文庫)
女優の小林聡美さんが、30代から40代にかけての3年間に書いたエッセイがまとめられ、2007年に出版されたもの。「かもめ食堂」つながりというわけではないのですが、主演された映画の撮影期間はこの3年間に含まれるので、ヘルシンキ滞在中のエッセイも2編。もちろん映画を観ていない人にも楽しめる内容で、笑いなしには読めません。
長期滞在者向けのアパート型ホテルで、鉢植えの花を窓辺に飾って愛で、ささやかな幸せを満喫しながらも、控えめそうな国民性なのになぜか目立つ若者の尻出し率(パンツの位置が下過ぎ)を憂う。また、フィンランドと日本のスタッフが双方の言葉を覚えて、互いに「ホンバンイキマ〜ス」「ウスコマトンタ(信じられない)!」などとやりとりする現場の雰囲気を活写。それ以外にも、3年分のリアルアラフォー感が味わえます。
かつて夫であった三谷幸喜さんが、原稿が書けなくて七転八倒し、リビングルームで気分転換に彼女の本を手に取ったら、おもしろ過ぎてかえって自信をなくした…というエピソードが残っているくらいの名文家。同じく幻冬舎から出ている『マダム小林の優雅な生活』『マダムだもの』なども、報復絶倒なので電車の中では読まないほうがいいかもしれません。