■前回のあらすじ
検査の結果、奇跡的に身体や脳に重大な損傷が見られなかった夫は、電車とバスを利用して帰宅。しかし、包帯からのぞく顔は、もとの形とはかけ離れていて、息子は夫だと確信が持てない様子でした。
■笑って本心を隠すものの…夫が帰宅し、安堵のあまり涙を流しながら笑ってしまった私…。

何を隠そう私は、夫が飲み会で帰りが遅くなっただけでも、
「事故に遭わないだろうか」「事件に巻き込まれないだろうか」と不安で眠れないくらいの心配性。

そのため、泣いて抱きつきたいくらいの勢いでしたが、普段から恥ずかしがりで素直でない私は、ガラでもないので少し離れて笑っていました。
夫と出会った年、大切な友人と父親を立て続けに亡くした私は、その死を伝えられた電話がトラウマになり、今でも電話の着信音を聞くだけで、遺体安置所の記憶がよみがり、冷汗が出ます。

もし、かかってきたのが警察からの電話だと、あのとき気づいていたら、私はその場で取り乱していたかもしれません。
■でも、夫は生きていた…!夫は身体の痛みに負けないための自己防衛なのか、アドレナリンが出すぎて空元気。
夜、眠りにつくときに、私を抱きしめてきました。

そこでやっと私はホッとして、こっそり、涙を流すことができました。
“夫が生きている…”
“戻ってきた夫が、あったかくてよかった”
衝撃的な事故からまだ一日。
いつもは子どもたちのかわいい寝顔に癒やされながら眠る私ですが、その日は久しぶりに、夫の寝顔を見つめながら眠りにつきました。
次回に続く(全11話)毎日10時更新!
(たんこ)