秋の手仕事と言えば、栗の渋皮煮ではないでしょうか。マロングラッセや甘露煮とは異なり、
渋皮を残したまま煮るため、栗の風味や香りを存分に堪能できます。作り方は意外とシンプルです。
今回は、栗の渋皮煮について徹底解説! 歴史、基本の作り方、保存方法のほか、栗の渋皮煮を使ったアレンジレシピ【8選】をご紹介します。旬の栗を使って渋皮煮作りに挑戦してみませんか?
■栗の渋皮煮の歴史栗の渋皮煮は日本各地で親しまれてきた郷土料理です。高価で貴重な砂糖をふんだんに使用しているため、
昔はお祭りやお祝い事などで食べられる贅沢品でした。現代でも栗の渋皮煮は高級菓子として、お茶請けや贈り物として喜ばれています。
また、栗の渋皮煮が郷土料理のひとつになっている、
埼玉県日高市は県内でトップクラスの栗の産地。1粒30グラム以上の「高麗川マロン」、渋皮が簡単に剥ける「日高ぽロン」といったブランド栗が栽培され、9月上旬から日高市内の直売所で栗やその加工品が販売されています。
■栗の渋皮煮の保存方法煮沸消毒した保存容器に栗をシロップごと移し、栗がシロップに浸かった状態で保存します。
冷蔵なら2週間、冷凍なら3ヵ月ほど保存可能です。保存性を高めたい場合は、砂糖の量を増やし、シロップがトロトロになるまで煮詰めましょう。
■栗の渋皮煮の作り方丁寧な鬼皮剥き、下茹で、煮含めの作業を重ね、宝石のような美しい仕上がりに。手間はかかりますが、その分できあがったときの感動と美味しさはひとしおです。
ホロホロやわらか!栗の渋皮煮
【材料】(作りやすい量)栗(大きい物) 1kg
重曹(タンサン) 大さじ 2
<栗のみつ>
ザラメ(砂糖) 500g
黒砂糖 100g
しょうゆ 小さじ 2
水 800ml
【下準備】1、栗はザラザラした側から、栗むき用の包丁ばさみで栗に傷を付けないように外側の固い皮をむく。むいた栗は鍋に重曹とかぶるくらいの水を加えて半日以上つけておきます。
【作り方】1、栗を漬けておいた鍋ごと中火にかけ、煮立ってきたら火を弱めて20〜30分ゆでる。鍋ごと流し台において、水がきれいになるまで流水を鍋の側面ギリギリに落としながら洗う。

2、水がきれいになって手で栗を触れるくらいになったら、栗を1個ずつ丁寧に洗いながら渋皮の筋を楊枝などで取り、ザルに上げ水気をきる。

3、鍋をきれいに洗って<栗のみつ>の材料を入れて中火にかけ、ざらめ(砂糖)を煮溶かしていったん火を止め、栗を入れる。紙の落とし蓋をして、ごくごく弱火にして軽く沸々してきたら、そのまま60〜90分煮て火を止め、鍋の蓋をしてそのままひと晩寝かせる。アクが出る場合はアクを取ってください。

4、翌日、再び弱火にかけ、沸々してきたら火を止め、熱湯消毒したきれいな瓶などに栗を入れる。<栗のみつ>は火を強めてひと煮立ちさせ、熱い状態で栗の瓶に入れ、栗がみつから出ないようにして、瓶の蓋を閉める。常温まで冷めたら冷蔵庫に入れる。
【このレシピのポイント・コツ】栗の皮を包丁でむく場合は、塩大さじ2を入れたたっぷりの水にひと晩つけ、外皮を少し柔らかくしてからザラザラした側からむきます。急ぐ場合はぬるま湯に2〜3時間つけてください。
流水が強いと栗が割れてしまいますので、弱めの水量で洗ってください。
トロ〜ンとしたみつがお好みの方は、みつを煮詰めてトロ〜ッとさせてから、栗の瓶に入れてください。
■栗の渋皮煮の<アレンジ>レシピ8選栗の渋皮煮を使って、オシャレな栗スイーツを作ってみませんか? 失敗した渋皮煮のアレンジにも最適です。
・マロン・ガトー・オ・ショコラ
栗の渋皮煮がゴロッと入ったガトーショコラです。栗とチョコレートは言わずもがな相性抜群! 栗のほっくりした食感や香りが濃厚なガトーショコラの味わいを一層引き立てます。紅茶やほうじ茶のほか、ウイスキーとのペアリングもおすすめです。
・栗とふわふわマスカルポーネの甘いガレット
栗の渋皮煮とマスカルポーネをトッピングするデザート系ガレットです。メレンゲと合わせてふわふわになったマスカルポーネクリームに、ほっくり甘い栗がよく合います。表面に散らばった栗を生地で包みながら召し上がれ!
・渋皮煮の煮汁で作るお汁粉
栗の渋皮煮の煮汁を捨てるのはモッタイナイ! ふんわり香る栗の甘みが砂糖代わりになり、お汁粉にアレンジできます。とろりと温かく、後を引く味わいです。渋皮煮を具材として入れてもいいですね。
・栗のひとくちあんこ
刻んだ渋皮煮と練りこしあんを混ぜて、ひと口サイズの和菓子に。仕上げにきな粉をたっぷりまぶしましょう。火を使わず、手軽に作れるのがポイント。ほっくりとした甘さがたまりません。温かい緑茶と一緒にいただきたいですね。
・ロールケーキ型簡単モンブラン
マロンペーストと渋皮煮をたっぷり使う、贅沢なモンブランロールです。栗の風味を活かしつつ、ラム酒を効かせて上品な味わいに。渋皮煮をデコレーションに使えば、見た目も秋らしく季節感あふれる一品になります。
・マロンブリュレ
カラメルをパリッと割ると、なめらかなブリュレ生地の中に刻んだ渋皮煮が入っています。栗本来の味わいがしっかりと感じられる一品です。食感の変化を楽しめるのもうれしいですね。お好みでデコレーションしても◎。
・マロンアイス
ラム酒が香る、大人な味わいのマロンアイスです。栗の渋皮煮をフードプロセッサーなどで撹拌したら、市販のバニラアイスと混ぜるだけ。簡単なのにレストランのデザートに出てくるような高級感です。
・マロン・ショコラ
チョコレート生地の中に栗の渋皮煮を沈め、じっくり焼き上げましょう。小ぶりながらも満足度が高く、手土産としても喜ばれます。焼き立てのアツアツはもちろん、冷やして食べても美味しいです。
栗の渋皮煮は少し手間がかかりますが、秋ならではの手仕事。単純な作業が多いので、お子様に手伝ってもらい、食育として家族で楽しんでもいいですね。
(川原あやか)