
今回ご紹介するのは、とある銀行員が2億円横領事件に巻き込まれたお話です。
あなたは何も関係ないのに、もし容疑を掛けられたらどうしますか?
■平穏な日常に突如訪れた窃盗の容疑!?

花形の支店へ異動することで不安もあった主人公・ミホ。同期であるサチがいることですっかり馴染んでいました。
しかしそんな矢先、ミホが異動してきたことと社内の備品がなくなることのタイミングが一致しているという理由で、何の根拠もなくミホは犯人を疑われてしまいます。



最後の最後まで疑われていましたが、最終的に犯人がミホではないことが分かり、支店長から謝られることで収束がつきました。
しかしこれは、ほんの序章にすぎなかったのです――。
騒ぎが落ち着いた頃、ミホは同期であるサチとランチをしていました。サチとはプライベートの話をするくらい仲が良く、ミホが婚約したことを心から祝ってくれていました。


しかし、そう言っていたサチは数日後体調不良で休みはじめ、一週間経っても出社することはありませんでした。



サチはおとなしいけど人付き合いは悪くなく、みんなの話をニコニコ聞いているタイプ。物腰柔らかく相手の気持ちを汲める人で、社内でも真面目な人だと評判でした。
しかし、サチが備品を盗んでいるところを支店長に見つかり、話を聞いているうちにあっさり横領を自供したというのです。
そして、会社の上層部が本人に事実確認をしている間に誰かが警察にリークし、サチは警察に引き渡されることに…。ここから全員個別に警察から事情聴取をされることになります。



犯行に及んでいた事実さえ信じがたいのに、突然共犯者として疑われてしまうミホ。一体、何が起こっているのか…!?
■取り調べの結果、ミホの容疑はどうなる!?


その後、警察への協力でサチが過去携わった金銭書類や情報を収集し、被害全容を明らかにする作業に追われます。
通常業務に加え、サチ担当業務の割り振りもあり、あっという間に全員が激務。残業、終電続きの毎日に、婚約者・サトルから「忙しいのは分かるけど、メールくらいは返してほしい」といったメールまで…。
そんな社内がバタバタな状態で、新聞一面掲載日がやってきました――。

本部から上層部が来てマスコミ対応に追われ、外は一日中マスコミや野次馬に取り囲まれ、人が動くたびにフラッシュが点滅…。
被害に遭われたお客様は、報道により事の顛末を知るのですが、そこで思いもよらない反応が起こります。









普段はニコニコしており、物腰柔らかいサチから「クソが」という耳を疑う言葉が…。
本当のサチはどれなのか、なぜ犯行に及んだのか、なぜミホを共犯者と仕立て上げたのか。ミホへの疑いは晴れたものの、サチへの疑念は深まるばかり…。
■「人を信じる」とは何か?本作品は「人を信じるって?」をテーマに、「人が信じられなくなるミホ」と「人を信じたいのに信じられないサチ」、それぞれの思いや葛藤が描かれています。

作中でサチが備品を盗んだことを知った同僚は「あんな真面目な子が…」「信じられない…」という言葉を発しました。
各々が心のどこかで「サチはこういう人」というイメージを持ち、期待しているからこそ、そうではなかったときに裏切られたと感じてしまい、周りは混乱し、ショックを受けたのかもしれません。

期待は、時に人をやる気にさせたり前向きな気持ちにさせてくれますが、状況によっては重く捉え、負担に感じることもありますよね。もしかするとサチは、そんな周りからの期待に息苦しさを感じていたのかもしれませんね。
ますまゆさんの「2億円横領事件に巻き込まれました。」の後半には、サチという人物の本当の性格や犯行に至った経緯などが描かれています。ぜひチェックしてみてくださいね。
>【1話から読む】2億円横領事件に巻き込まれました。

※本作品は、読者の体験をもとに作者が創作したフィクションです。
(だいふく)