■これまでのあらすじ
育休を終えて職場に復帰した真美。しかし、待っていたのは歓迎ではなく冷ややかな空気。「ママ業優先でどうぞ」といった貼り紙までされてしまう。翌日、気まずい雰囲気の中で仕事をしていると、保育園から娘の発熱を知らせる電話が。早退を願い出ると、上司からは嫌味まじりの言葉が返ってきた。帰り道、真美は、母親であることが、まるで罪のように感じられてしまうのだった。
私じゃないのにたとえ“証拠”がなくても、誰かの一言だけで「犯人」にされることがある…。
この日、私はその現実を突きつけられました。
朝イチで社内回覧の資料が戻ってきました。営業部全体に出回るはずの大事な数値資料ですが、そこに記載されていた内容が“誤って”いたのです。
「これ、先週のデータじゃないの?」
誰かが言ったその一言が引き金になりました。
柴田さんが席を立ち、私の方にスタスタと歩いてきました。そのまま、彼女は私のデスクに資料をドンと置いたのです。

言葉のトーンは低い。でも、明らかに怒っていました。周囲の社員たちは、キーボードを打つ手を止めている。
(…私じゃない)
そう思った瞬間には、もう遅かったのです…。
「資料、朝イチで見直しって言ったよね? 聞いてなかった?」
(あのとき…“差し替えておいて”って、柴田さんが自分で言ってたじゃない)
でも、口に出す勇気なんてありませんでした。
この空気の中で反論したら――それこそ「使えない母親」の烙印を押されてしまうかもしれない…。
誰も助けてくれない謝ろうとしたそのとき、手が滑って資料を落としてしまいました。何十枚もの紙が床に広がりました。
「あっ…す、すみません…」
つかんで拾おうとする手が震えていました。顔が熱く、耳が真っ赤になってるのが自分でも分かるほど。目の前を誰かが通り過ぎるけど、拾ってはくれませんでした。
見て見ぬふりがこの部署の“常識”なんだと思い知らされました。

指先に力が入らなくて、紙を上手く持てません。震えた手で何とか資料を集めながら、私は俯いたまま、心の中で呟きました。
(お願いだから……誰か、助けて)
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)