苛立ちを隠せないあの人昼休みのことでした。ふと視線を向けた先で、柴田さんが窓際で電話をしているのが見えました。

声は抑えていたものの、明らかに苛立ちがにじんでいました。
スマホを握る手や、引きつった口元。その周囲にいた社員たちも、どこか居心地悪そうに視線を逸らしていました。
(人事の話……本当に、入ったんだ)
誰かが証言したのかもしれません。もしかすると、私が出した相談が、ほんの少しだけ波紋を広げ始めたのかもしれません。
社内で囁かれる声午後の始業前。エレベーターホールで、小さな声が交差しました。

「ちょっと前にも呼ばれてた人、いたし……」
“誰が何をしたのか”は、誰も明言しません。けれど、“何かが起きている”という雰囲気だけは、全員が感じ取っていました。
私はその会話に加わらず、少し離れたところから静かに見ていました。
(やっぱり……もう始まってるんだ)
まだ何も解決していません。でも、たしかに空気は、静かに動き始めていると感じました。
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)