会社からも"終わり"の宣告沙織から届いた“最後の通知”は、夫・悠斗にとってまさに「終わりの宣告」でした。 そして、その数日後…、社会からの“最終通告”も下されたのです。
その週末、悠斗は会社の人事部にある個室へ呼び出されました。

机の上には、無機質な紙が何枚か並んでいました。
「退職合意書」「外部対応方針」「社内処分の経緯」…
どれも、事務的で冷たさを感じる文書ばかりでした。
「業務上の信頼性を損なう事案と判断しました。社外への影響も大きく、これが最終的な決定です」
誰に何を言っても、もう変わることはありませんでした。言い訳も、言い逃れも、すでに通じない段階だったのです。
「円満退職という形で、落としどころを見つけてください」
そう告げられた瞬間、悠斗の中で何かが静かに、音を立てて崩れていきました。自業自得でした。それでも、あまりにも、静かだったのです。
自由を取り戻した妻その頃、沙織は新しい部屋で、朝の支度をしていました。

決して広くはありませんが、日当たりのよい、あたたかな部屋です。カーテンを開けると、そこには青空が広がっていました。
コンロでお湯を沸かし、パンを焼きます。一人分の朝食。けれど、不思議と寂しさはありませんでした。
あの頃の暮らしは、いつも騒がしくて、苦しくて、息が詰まりそうで、それでも“我慢”し続けていた毎日でした。
ようやく、それが終わったのです。今はやっと、自分の気持ちに静かに耳を傾けることができるようになりました。私の本当の時間はこれから始まるのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)