■おそろいが増えても“たまたま”を装う「美羽ちゃんのそれ、ミチヨちゃんとおそろいじゃない?」
「えっ、あ……本当だ。売り場でたまたま可愛いなって思って…」
園庭で遊ぶ子どもたちを見ながら、私は何気なく答える。
でもミチヨちゃんママの表情が、一瞬だけこわばった気がした。

けれど、“たまたま”を装わずにはいられなかった。
「最近、おそろいのこと多いよね」
「そうね、偶然って続くもんだね」
それは、柔らかいようでいて、どこかよそよそしい言葉だった。
■子どもだけじゃなく、ママ友のバッグもおそろいに!私のスマホには、園のグループLINEが通知を鳴らす。
運動会の日程、遠足の持ち物、先生からのお知らせ。
その中に時折混じる、ママたちの世間話や情報共有。
「斉藤さんのバッグ、かわいかったな」
「あれ、ネットで見つけたやつ? いいなあ」
私は無意識に、スクリーンショットを撮っていた。
そして、次の日には同じバッグを持って登園した。
「わあ、偶然〜。私もこれ気になってたんだ」
いつものように笑顔で話しかけた。
けれど、斉藤さんは「あ、そうなんだ」と目を逸らして、輪の中に戻っていく。

それから、誰かと同じ服を着せるたび、同じ髪型をするたび、空気が変わっていくのを感じた。
まるで、私だけが“違和感”になってしまったかのように。
それでも、私はやめなかった。
“おそろい”は、私にとって唯一、輪に繋がる手段だったから。
そしてその日、私は新しく買ったヘアアクセを、美羽の髪につけて登園した。
「これ、真希ちゃんと一緒だよ。可愛いね〜」
先生の言葉に笑って頷いた私の後ろで、小さな沈黙が生まれていたことに、私はまだ気づいていなかった。
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)