ホーム エンタメ > 転売ママ友とのその後は?服を譲ったつもりになっていた自分との決別<お下がりあげたら 7>【ママ友トラブル図鑑 Vol.64】

転売ママ友とのその後は?服を譲ったつもりになっていた自分との決別<お下がりあげたら 7>【ママ友トラブル図鑑 Vol.64】

■人に物を渡すって、簡単なことじゃない

週末、久しぶりに娘と一緒に衣替えをした。

芽依は「これ、もう小さいね〜!」と嬉しそうに服を引っ張っては、自分の成長をアピールする。

「ねぇママ、これもお友だちにあげる?」

そう言って彼女が差し出したのは、去年の春にヘビロテしていた黄色のワンピース。シミはないけれど、袖口の色は少しだけあせていた。



私はそう言いながら、その服を丁寧にたたんで、そっと収納ケースにしまった。

芽依は不思議そうな顔をしたけれど、すぐに別の服に目を向けて笑っていた。

本当は――誰かに着てもらえるなら、それは嬉しいことだと思ってた。服は、しまい込むより着てもらった方がいい。

でも、それと同じくらい、「人に物を渡す」ってことは、やっぱり簡単じゃない。



■あの日以来、転売したママ友と話すことはなく…

私は、服を譲ったつもりになっていた。

よく考えてみたら“あの頃の娘”との思い出も全て、そこに詰まっているものを渡して、後ろ髪を引いていたのだ。

だから、それがあっさりと売り物になっていたのを見たとき、「大事なものを捨てられた」と感じたのだと思う。

善意で譲ったはずなのに、見返りを求めてたわけじゃないのに。

それでも、気持ちを踏みにじられたように思ってしまった自分がいた。

あの日以来、えりかさんと話すことはなくなった。

必要な挨拶だけを交わして、それ以上は深入りしない。きっと向こうも同じように思っているはずだ。

無理に分かり合おうとしない。その距離が、今の私にはちょうどいい。

衣装ケースのふたを閉めると、カチッと軽い音がした。

部屋の中に差し込む春の日差しが、芽依の髪を優しく照らしていた。私はその光の中で、ふとつぶやいた。



だけど、それが自分だから。

これからは大事なものはちゃんと手元に置いておこう。たとえ、誰かが困っていたとしてもーー。

※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。

(ウーマンエキサイト編集部)

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