■娘の笑顔のために作っていたヘアゴム私の名前は高梨ひより。

娘が身につけている小さなヘアゴムは、娘のお気に入りで私の手作りです。
白いフェルトに、淡いピンクの刺繍をあしらったシンプルなデザインで、娘のために初めて作った作品でした。
「これ、大好きなの!」
そう言って笑う姿が嬉しくて、私は色違いをいくつも作って娘に渡します。
喜ぶ娘の姿に、私は、完成の達成感と作る楽しさに目覚めていきました。
それが、こんなことになるなんて…
■保育園のママ友にヘアゴム作りを依頼され…ことのきっかけは、保育園でいつものように娘を送り届けたときでした。
クラスのママの一人、坂井さんに声をかけられたのです。
「結芽ちゃん、可愛い〜! こんなの、この辺には売ってないよね? もしかして、手作り?」
確かに、この辺だと少し大人っぽい雰囲気のものしか売っていないから気になったのでしょう。

そのときは、軽い雑談のひとつだと思っていました。
でも数日後、坂井さんが真剣な顔で頼んできたのです。
「ねえ、前に言ってたヘアゴム、お願いしてもいい? ちょうどお遊戯会あるし、ちょっと華やかにしてあげたくてさ。市販のだとピンとこなくて」
「えっと……うん、いいよ。材料は?」
「え? 任せるけど、うちにある布じゃダメかな? 使ってない端切れとかあって」
私はうなずき、布を受け取りました。
“誰かに依頼される”という感覚は、ちょっとくすぐったくて、どこか誇らしい感じがしたのです。
娘が寝静まったあと、台所の隅で針と糸を出しせっせと作業し始めました。
その時は、ただ縫いながら「やっぱり作るって、好きだな」と思っていただけでした。
だけど――それが、“好きなこと”であるはずの時間を、少しずつ違う色に染めていく始まりだったなんて。
このときはまだ、気づいていなかったのです。
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)