■「代わりに渡す」は「作ってあげてね」?「ごめん、またお願いごとされちゃった〜!」
坂井さんが言いながら差し出したのは、見覚えのない布の束と、いくつかのリボンが入った紙袋です。
「この前の巾着見せたら、◯◯ちゃんママが『うちの子も欲しい〜!』って言ってて。で、布だけでも用意してくれたの。代わりに渡すね!」
――「代わりに渡す」。
それはつまり、「作ってあげてね」という意味でした。
(なぜ……?)
どうして私の許可なく作る話になっているのか、疑問に思いました。
そう考えた瞬間、自分が嫌な人間になってしまったような気がして、胸の奥がずしんと重くなります。
「ありがとうね〜。ほんと助かるわ!」
坂井さんは悪意なく、むしろ「感謝しているのよ」という表情で去っていきました。
■これは、娘を泣かせる以上に必要なこと?夕食後、結芽が「ママ、一緒にパズルしよう!」と目を輝かせて言いました。
「うん……ちょっと待ってて。今、少しだけ縫い物するから」
「少しだけだよ?」
小さな指でピースを並べる娘に待つよう伝えると、寂しげにそう返ってきました。
私は笑ってうなずきます。
しかし、気づけば時計の針は1時間以上進んでいました。
パズルは途中のままテーブルの端に寄せられ、所々に涙の跡が残っています。結芽はソファで小さく丸まって眠っていました。

寝息に向かってそっと謝りましたが、失った時間は戻ってきません。
布の束をしまいながら、私は思いました。
頼られるのは嫌ではありません。でも――その行為は“娘が泣く”以上に必要なことなのでしょうか?
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)