■私はただの便利な人?ママ友への違和感登園の帰り道、門の前で何人かのママたちが坂井さんの周りに集まっていました。

私の方を振り返る人は、誰もいません。
(……なんでだろう)
目の前に作った本人がいるのに、なぜ彼女にばかりお礼を言うのか、不思議でした。
自分の時間を削ってまで作っているのに、まるで名前のない便利係のように感じます。
そんな自分が情けなくて、まだ賑やかに話している彼女たちから逃げるように立ち去りました。
■改めて生まれた“愛する娘のため”の感情その日の、夕食後のことでした。
結芽が押入れの中から端切れの入った箱を持ってきて私にこう言ったのです。
「ママ〜、これ、まだある?」
「うん、残ってるよ。どうして?」
「わたしね、ママと一緒に作りたいなって思って」
「……一緒に?」

胸がきゅっと締めつけられます。
「ごめんね……」
「いいの。今日はママと一緒に、わたしのやつ、作ろう?」
結芽が並べた布の中から「これがいい」と指差したのは、昔ふたりで選んだユニコーン柄でした。
「このピンクのリボンつけたい!」
「いいね。ハートのボタンもあるよ」
ふたりでアイデアを出し合いながら、並んで針を持つ時間はあっという間に過ぎていきます。
気づけば、私も結芽も自然と笑みが浮かんでいました。
ふと忘れていた気持ちが私の胸の奥にぽっと灯りました。
それは、見知らぬ“誰かのため”ではなく、“愛する娘のため”に作りたいという感情でした。
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)