■ハンドメイドの依頼を断ると?翌朝、登園の門の前で坂井さんに呼び止められました。
「ひよりさん、おはよう〜! ねえ、ちょっとお願いがあってさ」
またか…と少しうんざりします。そこまで親しくもないはずなのに…。
断ろうとすると、坂井さんは雰囲気を感じ取ったのか、私を褒めてきました。
「この前のやつ、すっごく評判よくてさ。◯◯ちゃんママから『うちの子にもぜひ』って言われちゃって〜」
そう言いながら、手提げ袋を差し出してきます。
顔に、「まさか断らないわよね」と書かれているかのように感じられました。
しかし、もう受け取りません。

できる限り柔らかい口調で、しかし、はっきりとお断りしました。
坂井さんは一瞬だけ口角を引きつらせて、「……あ、そっか。忙しいなら、しょうがないよね」と言いつつ、どこか腑に落ちていない様子です。
私がもう一度「本当にごめんね」と頭を下げると、ようやく「じゃあ、また落ち着いたらお願いするね」と言って引き下がりました。
でも、去っていく彼女の顔には不満の文字が描かれているようでした。
■その後、保育園の先生に言われた言葉とは?娘の結芽は、一緒に作ったユニコーン柄のポーチをリュックにつけて登園しました。
「ママと作ったやつなんだ〜! 自分でボタンも選んだの!」
背中越しに聞こえてくる結芽の嬉しそうな声だけで、作ってよかったと思えます。
その日のお迎えでは、「満面の笑顔で私に話してくれました」と先生から報告を受け、私はようやくほっとしました。

最近、寂しい思いをさせていた自覚があるからこそ、その言葉は嬉しかったのです。
(これが――“私の時間”なのだと思いました。)
誰かの“お願い”をこなすより、誰かに“すごいね”と言われるより、私にとって本当に大切なのは、この子と向き合う時間なのだと感じました。
もう、他人からの「ありがとう」や「助かった」は必要ありません。
※この漫画は読者の実話を元に編集しています。また、イラスト・テキスト制作に一部生成系AIを利用しています。
(ウーマンエキサイト編集部)