大根の煮物の魅力はズバリ「味がしみている」という点ではないでしょうか。だしが芯までしみている大根がつくれたら、すてきですよね。
…というわけで、大根がしみるとはどういうことか考えてみましょう!
1.大根に味がしみるというのは、大根の細胞のなかまで調味液が入りこむということです。しかし、細胞の壁が文字どおり“壁”になっている生のままでは、調味液は入りません。そこでまず、壁をこわすところからはじめます。
細胞壁は、60度をこえるとこわれます。そのため、中心まで味をしみさせるためには、大根の中心の温度が少なくとも60度をこえる必要があります。
さらにやわらかくするには、温度を高くして時間をかけてやる必要があります。ここまでが、下準備です。
2.下準備ができたら味をしみさせます。味をしみさせるには、細胞壁をこわした大根を熱い調味液につけておくことがポイントです。つまり、「時間経過+温度」が必要ということになります。
煮ものなどでは、よく「冷めていくときに味が染みていく」といわれますが、じつはちがうのです。
たとえば、調理場では野菜を煮ながら、ほかの仕事をすることが多々あります。しばらくたって、なべのなかの野菜を見てみると、味が染みているということもあるはず。
しかし、これは時間がたっただけのことで、冷めるときにグッと味が入るわけではありません。同じ時間なら温度の高い方がしみこみます。
ちなみに、しみさせる温度が高すぎると、野菜がくずれることもあります。ある程度煮たら放置するのがちょうどいい調理法というわけですね。
まとめ
- 大根をしみさせるには、味つけ時間が大きく関係します。
- 中心がやわらかくなるまで下ゆでしたあと、熱い調味液につけてそのまま長時間放置すると、味は確実に入ります。
- 冷蔵庫に入れた場合も、時間をかければしみていきます。
これをふまえたのが、今回のレシピです。今回は15分程度しか調理しないため、味がしみこまないことが確定しています。そのため、しみるのはあきらめて、しみた気にさせる方法をとります。
まずは大根を薄い乱切りにしたあと、12分煮て中心に火をとおします。あとはしみるまで待たないで、調味液を煮つめてからめます。そうすると煮汁があまらないし、大根の中心がしっかりめなので皮の下のかための筋が目だちません。
皮は厚むきしなくていい、おトク設計です。しかも、薄い乱切りのため、大根のやわらかさも楽しめる、おトクレシピなのです。
■さわけんの大根豚(大根と豚の煮込み)<材料>
大根…600g(皮をむいて薄い乱切り)
豚肉(切り落とし) …150g
青ネギ…3本(小口切り)
ショウガ…10g(千切り)
鶏ガラスープ…350ml(水350mlに、がらスープ小さじ1強)
砂糖…大さじ2
しょうゆ…大さじ2
油…大さじ1
■つくり方1.鍋に油としょうがを入れて、香りをだす。
2.塩とこしょうをふった豚肉をいためたら大根をくわえ、スープと調味料を入れて沸とうさせる。
3.沸とうした調味液の泡が、大根のうえまできたら12分煮て、大根のかたさを確かめる。
4.大根がいいかたさになったら、煮つめた調味液とからめる。
5.味を確認したら、仕あげにネギをふって完成!
※26cmのフライパンでつくるとちょうどいい感じでできます。
※だしが少なく感じますが、沸とうすると大根がうまくつかるようになります。どうしても足りないと感じる方は、落としぶたをしてください。
いかがでしょうか。これで、大根名人になりましょう!
(さわけん)