「深みが増していく」 荒川静香、母になり感じる変化
2016-01-16 09:10 eltha
荒川さんは2013年12月かねてから交際していた一般男性と結婚し、翌年11月には第1子となる女の子を出産。「まだまだ慣れず大変なこともたくさんある」と語る一方で、「子どもから学ぶことはとても多いような気がします」と笑顔を見せる。
「たとえば、今少しずつ歩くようになっているんですがまだ不安定で。でも何回転んでもひとりで立ち上がろうとするんですよね。しかもそれをとても楽しそうにやっているのを見て、“私もくじけそうになることがあっても諦めないようにしなきゃ、立ち上がることって大事なんだな”って思い起こさせられました。
あとは、まだ自分の意思を言葉で表現できない年齢だからこそ、しっかりと観察力を働かせてコミュニケーションをとることが大事だなと思っているのですが、それは子どもだけに限った話ではないなと。どんな相手にも伝えたいことは届けないといけないですし、相手から届いたものだけをキャッチするのではなくて、しっかり観察して相手の意思を感じ取らないといけない。そういうことの大切さは日々感じています」。
普段なら人に言われてもなかなか素直に聞き入れられないようなことでも、なぜか自然と胸の中に入ってくるようになったと語る荒川さん。そういったプライベートでの変化は、スケーター人生にも大きな影響を与えている。「出産を経験したことで、人を包み込むような情感が抱きやすくなったような気がしています。やはりキャリアを重ねることで、味わいや深みが増していくなと感じることが多いので、自分自身も人生のいろいろな経験を通して、自然と表現の幅を広げていきたいですし、年代ごとにスケートを楽しんでいければと思います」。
プロスケーターとしては、今年も自身プロデュースのアイスショー『フレンズオンアイス』を開催予定。また2014年10月から着任する日本スケート連盟の副会長としての活躍も注目されるなど、フィギュア界をけん引する荒川さん。今後の展望を聞くとわが子のことを語る柔和なママの顔から一転、クールビューティーが際立つ引き締まった表情に。
「『フレンズオンアイス』は世界のトップスケーターから世界を目指すジュニアまで、幅広い世代が一緒に参加するイベントですのでお客様にフィギュアスケートの魅力を楽しんでいただきつつ、スケーター同士も刺激し合えればいいなと思います。スケート連盟の副会長は、選手がより活動しやすい環境を準備・サポートできればいいなと思い引き受けさせていただいたことなので、私たちが選手だった時に感じていた連盟の課題に少しずつ着手していって、ひとりのアスリート経験者として選手たちの力になれるような活動を続けていければと思います」。
世界女王、プロスケーター、解説者、連盟副会長、妻、母…。荒川さんが人生で得てきた肩書きは、アスリートとしてもキャリアウーマンとしても“一流”であることは間違いない。そして今、愛するわが子の存在が荒川さんをさらなる高みへと誘おうとしている。
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