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「自分にはいただけない役もある」入山法子、“生活感ない”イメージに悩んだ過去 俳優として影響を受けた佐藤浩市の姿勢

2022-07-08 08:40 eltha

 テレビ東京のドラマ24枠でスタートしたドラマ『雪女と蟹を食う』で、謎めいた人妻役を演じる俳優・入山法子。すらりとした手足に艶やかなロングヘア、透明感あふれる涼やかな佇まいは原作コミックのキャラクターにまさにハマり役だが、彼女自身は「ミステリアスとは真逆の性格」とビッグスマイルをほころばせる。容姿から醸し出される先入観にコンプレックスを持ったこともあるという彼女が見出した、俳優としての生き方とは。

入山法子 撮影:逢坂聡(C)oricon ME inc.

入山法子 撮影:逢坂聡(C)oricon ME inc.

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■「共感はまったくない」役を演じる中で生まれた使命感 共演者・重岡大毅との約束

──原作ファンも多い雪枝彩女。ミステリアスな女性を演じてみていかがでしたか?

【入山法子】よくインタビューなどで「共感するところはありますか?」と聞かれますが、まったくないのが正直なところです(笑)。ただ彩女については「セレブ妻」とか「雪女のように儚げ」とか形容する言葉はたくさんあるけれど、それはあくまで表面に見えるもの。彼女の正義や信念といった本質的なところに向き合っているうちに、「自分の中に彩女がいる」という感覚になれた時期があって。そこからはさらに没頭して撮影に臨むことができましたね。

──感情を表に出さない、浮世離れした人物を演じる難しさはありましたか?

【入山法子】私自身、本心を隠すのが苦手なタイプなので、撮影中も監督から「感情が漏れちゃってるよ」と指摘されることはありました(笑)。そこは微調整しながら、でもなぜ彼女がそんなふうにしか生きられなかったのかを思うと「私がきちんと彼女を生きてあげなければ」という使命感みたいなものも生まれてきましたね

──人生に絶望した男が「蟹を食べてから死のう」と決意するストーリー。現場の雰囲気はいかがでしたか?

【入山法子】死生観という重厚なテーマでしたが、現場はとにかく明るくて、いい作品にしようという気概に満ちてました。主人公・北役の重岡大毅さんとは「本番まで蟹は食べない」と約束してましたね。北海道ロケでそこかしこに誘惑はありましたが(笑)、その分、一口目のリアクションにはいろんな複雑な感情が乗っていると思います。

■「法ちゃんはコンビニにいなそうなんだよね」自身の見られ方へのコンプレックス

入山法子 撮影:逢坂聡(C)oricon ME inc.

入山法子 撮影:逢坂聡(C)oricon ME inc.

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──入山さんは彩女のように人生を変える思い切った行動に出たことはありますか?

【入山法子】わりと好奇心は旺盛なほうなんですけど、一番は芸能界に入ったことですね。その後はいただく役に自分ではない人生を生きるという願望を叶えてもらってきた気がします。料理人だったり、弁護士だったり、それこそ幽霊だったり(笑)。

──俳優として演じるのが一番難しいのは、どんな役どころですか?

【入山法子】難しいと感じているというよりは、自分にはいただけない役もあるんだなと思うこともあります。私はある劇作家さんの作品が大好きで、いつか出てみたいと思ってたんですね。だけどなかなかご縁をいただけなくて。その方は何気ない日常を切り取った作品が多いんですが、どうも私はファンタジーの住民っぽいらしいんです(笑)。「法ちゃんはコンビニにいなそうなんだよね」とも言われました。

──ご自身で自覚は?

【入山法子】ぜんぜん普通にコンビニにもスーパーにも、1人でラーメン屋さんにも行くので、「えー、そういうふうに見えてるんだ!?」ってちょっとコンプレックスみたいになっていました。でも逆を言えばそんな私だから演じられる役もあるのかなと、それは今回の彩女役をいただいたときも少し思いましたね。

──俳優にもさまざまなタイプがいますが、ご自身は非日常感を極めようと?

【入山法子】それはあまり思ってないです。俳優を続けていく中で、自分も変化していけるんじゃないかという希望を持っているので。私はやっぱり生身の人間を演じるのが好きですし、今はまだあまりいただけなくても、いつか日常にしっくり溶け込めるような雰囲気をまとっていきたい。そのためにも普段の生活から日常の感覚を大切にしようと心がけています。

■「今でも鮮明に目に焼き付いてる」俳優の在り方として影響を受けた佐藤浩市の佇まい

──俳優として影響を受けた方はいますか?

【入山法子】だいぶ昔の話ですが、CMで佐藤浩市さんとご一緒させていただいたことがあるんです。佐藤さんがロケ弁を召し上がっていたときに現場がスタンバイになって、スタッフさんたちも佐藤さんが食べ終わってから始めようという雰囲気になってたんですね。ところが佐藤さん、ポンとお箸を置いて「よし、行こう」って。その姿がすごくステキだったんです。

──あれほど大御所の方でも現場を最優先するという姿勢が?

【入山法子】そうなんです。しかもスタッフの誰に対してもフラットに接していらして。誰が上でも下でもなく、作品は現場にいる全員で作るもの。俳優部ってこういうことなんだって、今でも鮮明に目に焼き付いてるんですよね。佐藤さんがポンとお箸を置いたその姿が。

──入山さんもいつも笑顔で、一緒に仕事をする方は気持ちいいだろうなと思います。

【入山法子】彩女が笑わない分、カメラが回ってないところではいつも笑ってます(笑)。自分が俳優に向いてるかどうか今でもわからないですし、難しい役どころに向き合って「わーっ」となることもあります。だけどスタッフさんが気持ちよく演じられる環境づくりをしてくれたり、共演の方が一緒に芝居で悩んでくれたり、何より自分が好きなことに取り組ませてもらえてるんだと思うと、機嫌よく笑っていたいなと思うんですよね。
(取材・文/児玉澄子)



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