加護ちゃん、あやや…心を奪われたアイドルに”なれなかった人達”の想い「大好きなのに、切なくて悔しい…」
2022-07-16 08:40 eltha
■「モーニング娘。になる」まっすぐな気持ちに立ちはだかった壁
漫画では、2000年当時、音楽番組に出演するモーニング娘。の様子が鮮明に描かれている。「I WISH」の歌い出しは、当時新メンバーだった加護亜依。同世代だったかか丸さんは「彼女の透明感、小柄な体から放つキラキラオーラに、信号も街灯もないど田舎の茶の間で、私はテレビに釘付けになった」という。
「私は、モーニング娘。になる」。そう決意し、彼女たちの出演番組を録画したり、駄菓子屋でブロマイドカードを購入したり、窓ガラスに自分を写してダンスを踊り、歌も歌いまくった。自分なりに必死で向き合ってきたが、親や兄弟からは冷ややかな反応が。「あんたみたいな田舎もん、受けてもムダだよ」「どうせ書類で落ちる」ーーそんな言葉で反対され、応募することさえ許されず、悔しくて泣く日々だったという。
ーー「アイドルになれなかった人達。」のエピソードを描こうと思った理由は?
「あやや(松浦亜弥)の11年半ぶりの復帰がきっかけでした。以前からエッセイ漫画を描き始めて、描くことで自分の気持ちが整理される感覚がありました。あややが復帰してアイドルへの想いが沸き立ち、この想いを漫画にして、自分の気持ちを整理しようと思いました」
ーー当時、女性アイドルから受けた衝撃は大きかった?
「もっとも衝撃を受けたのは、加護ちゃん(加護亜依)とあやや(松浦亜弥)です。とにかく眩しいくらいに光を放って見えました。そして、テレビ越しにも引き込まれる歌声やパフォーマンス。心を一気に奪われました。今も奪われたままです」
ーー漫画では「アイドルになりたい」という気持ちは強かったですが、実際に行動に移そうとすると周囲の反対にあったり、自分自身もひるんでしまったり…という描写がありました。一歩を踏み出すのを諦めた時の心情は、どのようなものでしたか?
「”親に反対された”というのが大きかったです。未成年だとオーディションも親の承諾が必要になってきます。反対された以上、諦めなきゃいけないと思いました。同時に他に私のやりたい事って何なんだろう、自分は何者になるんだろうと将来への漠然とした不安がありました。でも、アイドルになれなかったことを親のせいにはしてはいません。今思うともっと強い気持ちを持って、親を説得させてみなよ!とも思います(笑)」
■「私にしかない、出来ない何かを見つけるしかない」
ーー大人になって曲を聴いたときに「切なくて悔しかった」と表現した背景にはどのようなお気持ちがあったのでしょうか?
「私はアイドルの中で『モーニング娘。』になりたかったので、就職した当時は年齢的に23歳の私が受けてももうダメだよなと感じていました。なので、曲を聴いたり、カラオケで歌っても『私は歌を聴いて励まされる人で、励ます側じゃない。カラオケで歌う側でステージで歌う側じゃない。』と現実を突きつけられました。モーニング娘。は大好きなのに悔しい気持ちがあり、それが切なさに繋がったのかと思います」
ーー「何者かになりたい」という気持ちに折り合いをつけられたのは、どのような考え方をしたからだったのでしょうか?
「アイドルになりたいという気持ちをかき消すには、別の何かを手に入れて、その何かで生きていくしかないと思いました。私にしかない、出来ない何かを見つけるしかないと考えました」
ーーそれが、漫画を描くことにつながっていったのでしょうか。今後「アイドルになれなかった人達。」のエピソードを届けていくことで、どのようなメッセージを伝えていきたいですか?
「私は誰かに何かを伝えたい。というよりは自分の気持ちや記憶を整理している感覚で漫画を描いています。でも、今回この漫画を描いて、沢山の方から感想をいただけて本当にありがたく思います。それと同時に、やっぱりアイドルは最高で、沢山の人のパワーになってると感じました! アイドル好きのパワーを漫画を描いていて私が感じたので、それが読んで下さる方にも伝われば嬉しいです。アイドル最高!!」