夫婦の意思疎通ができない姿を子どもに見せることこそ地獄…作者が痛感したパートナー選びの盲点
2022-08-27 08:40 eltha
■交際前に違和感のある行動「もっとよく見ておけばよかった」
自身の結婚生活は他人から見るとどう見えるのか、ふゆさんはその答えが知りたいと『マウンティング夫が地獄です』(KADOKAWA)を描いた。
「相手の気持ちや考えてることを知りたくても分からないまま。理解したくても噛み合わなかったり、平行線しかない関係って、ある所にはあるんです。違和感を感じたまま無理に相手に合わせて、ひとりだけが我慢する必要はないんじゃないかという自分なりの答えを形にしたかった。今思うと、交際が始まって違和感を感じたことは多々ありました」
もっとも困惑したのは、ふゆさんと付き合っている状況があるにもかかわらず、交際前に片思いしていた女性をなかなか忘れられないと明かされたこと。自分の知識が絶対であり、知らないことは全否定され受け入れる姿勢がない。ふゆさんが家に来ると、自分の貴重品を金庫で管理し、パートナーとしての信頼関係がまったくないのだということも思い知らされたという。
作ったお弁当を喜んで食べてくれたり、嫌なことがあったら笑顔にさせてくれたり、「絶対に幸せにする!」と言葉にもしてくれる。この人となら人生を共にできるという思いもあり結婚にいたった。しかし一緒に暮らすようになり、子どもが生まれ、パートナーのモラハラ気質が明らかに。家事への細かな口出し、子どもがいる前で、ふゆさんの学歴や職歴を見下すような発言が続く。口論となるばかりで「(ふゆさんを)尊敬をしたことがなかった」と言われ「とても虚しくなりました」とふゆさん。
「無意識で出た言葉ではなく、相手を傷付けるために出た言葉だったんだろうなと感じて、そんな人からは離れないとダメだなと思いました。意思疎通ができていない姿を子どもに見せてしまう毎日こそが地獄。当たり前ですが、納得いかない時はきちんと相手に伝えてみるべき。その時相手がどんな反応をするか、それによって相手の深いところまで知ることができるのかもと思います」
■無職夫から離婚を言い渡され「お前の態度に我慢ができなかった」
「結婚して9年、子どもが生まれて8年、ずっと一緒にいたのになぜ簡単に突き放せるのか」ーー黒田さんは夫に離婚を突きつけられた時の心境を漫画に綴っている。仕事を辞めて無職状態が続き、夫に支払われるのは休職手当のみ。生活費が足りないため、黒田さんが働きに出たり、夜に内職をしたりして家計を支えていた。「家にいるならゴミ出しをしておいて!」「夕飯作ってるから、お風呂洗っといて」「なんとか仕事を見つけてほしい」と夫にお願いする日々だったが、その声掛けが元夫にはプレッシャーになったのか…。
離婚を告げた日の夜は平然とゲームに興じ、黒田さんや息子さんに対しても、いつものように振る舞っていた夫。黒田さんはいつも通りにできるわけがなく「そんなに急に出て行きたいほど、私たちとの生活が嫌だった?」と問いかけると「私”たち”? いや、息子と暮らすぶんには何の問題もないよ? 一緒にいても、基本ほっとくだけだし。お前の態度に我慢ができなかった」と返ってきた。
黒田さんはその後、実家の両親に連絡。引っ越し、部屋の解約、息子の学校の手続き、電気・水道・ガス・保険など、別々に暮らすことで生じる数々の手続きを1人でこなしていった。息子と一緒にいるときは平常心でいられるが、一人になった途端に不安が募り涙が溢れた。食べ物ものどを通らず、手続きの最中は体重も減っていくばかりだったという。
「私の場合、実家に帰ることができましたし、元々フルタイムで働いていたので、金銭面でさほど苦労はしていません。離婚もろもろの手続きは大変でしたが、元夫の悩みがなくなった分、むしろかなり楽になりました。ひとり親への補助もありますし、親戚や近所の人も受け入れてくれ、社会は以外と優しかったです(笑)。しかし、親もいつまでも元気ではいてくれませんし、実際、介護も必要になってきました。私が働けなくなったら…という重圧は、かなりあります」
息子さんと日常を過ごすなかで、「親が子どもに”守られている”」と感じた出来事があったという。インスタグラムに投稿されている漫画『無職の夫が出ていったあと』には、体調が悪く横になる黒田さんを息子さんが”枕”にして、密着しながらくつろいでいる様子が描かれている。親の身体に触れている安心感…「子どもがやる、親枕。確かに幸せを感じる」「息子さんなりにお母さんを守っているのかも」など、漫画には様々な反響が集まった。
「子どもにとっては何気ない行動でしょうし、それを”優しさ”だと思うのはわたしの都合の良い解釈なのかもしれません。でも間違いなく『ママのそばにいたい』と思ってくれての行動だと思います。それを”優しさ”だと感じて、受け止めて良いんだよ、と言ってもらえたようでとても嬉しかったです。息子を産んだ時、同時に私も生まれ変わったんだと思えた、私にとってはそんな存在です。それこそで親も『守られている』のだと思います。子どもはいつかは巣立っていくものです。息子が自分で自分の生き方を見つけるまでは、安心して休める場所であり、帰れる場所であり続けたいと思います」