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KPOP、韓流ドラマ…“推し活”で高まる韓国語学習 陥りやすい注意点と“推し”の言葉を理解するための近道とは?

2023-04-04 07:30 eltha

 特定のアイドルや俳優、キャラクターを愛でたり、応援する“推し活”が広がりを見せる現在。なかでもKPOPや韓流ドラマの人気に伴う“推し活”の延長で韓国を学ぶ人も増え、SNSでは語学情報を発信するアカウントも増えてきている。そんな中でYouTubeチャンネル「ちょっと楽しくなる韓国語Joo(ジュー)」は19万人を超える登録者数を誇り、韓国語の勉強に役立つ動画を多数配信。昨年12月には『韓国語で推しを語りたい!〜“好き”から始める最高の韓国語入門』(大和書房)を刊行した。韓国語勉強の需要の変化や韓国と日本の“推し活”事情の違いまで、Jooさんに話を聞いた。

韓国のエンタメコンテンツの充実から若年層の学習者が増えているという

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■好きなものにハマると実力が伸びる生徒たちを見て実感 “推し活”を絡めた語学本を企画したきっかけ

――著書『韓国語で推しを語りたい!』を刊行に至った経緯を教えてください。

【Joo】私が講師をしている教室に、初めて来られた生徒さんに「なぜ韓国語を勉強したいと思ったのですか?」っていつも聞くのですが、韓国ドラマとかK-POPが好きで勉強するという方がほとんどなんです。

言語に関しては勉強する時間がたくさん必要で、興味を持っていないとなかなか難しいのですが、好きなものにハマるとすごく実力が伸びるということが生徒さんたちを通して実感できたので、“推し活”アプローチで本を書いてみたいと思いました。

――最近は「推し活」がトレンドとなり、推し活を絡めた参考書も多く刊行されていますが、Jooさんが制作する上でこだわったのはどういった点ですか?

【Joo】こだわったところは2つあって、1つは推し活をしながら使う会話を教える本は多いのですが、いろんなシーンで使える言葉を伝えたいと考えました。例えば、独り言やコメントをするときによく使う言葉、推し活でできた友達と交わす言葉など、シーンごとの使い分け方をレクチャーしました。

もう1つは、現地で使えるネイティブの表現に力を入れました。推し活は本当に独特なカルチャーで、韓国人でも推し活をしていなかったら聞き取れない単語や表現があるマニアックなコミュニティでもあります。いくら韓国語が上手な人でも、そのコミュニティの中に入っていないとわからないことがほとんどです。だからこそ、そういった“推し活用語”も取り入れました。

――推し活で使われる韓国語で、日本のオタクの方がよく使用するフレーズはありますか?

【Joo】フォーム(形)がかっこいいことを「フォームがやばい、ハンパない」みたいなニュアンスで、「ポンミチャッタ」というのはよく使われています。直訳では「形がやばい」という意味ですが、意訳すると「めちゃくちゃかっこいい」となります。

こういった用語は辞書で調べてももちろん出てこないし、ネットをあまりやっていない人にとっては「どういう意味?」となることがあります。テキストでしっかり勉強をしても、実際に会話で普段使うフレーズとは違うことも多いので、そのへんは意識して書くようにしました。

――読者からの反響はいかがでしょうか?

【Joo】「推し活をしながら韓国語を学べるのは得をしている気分になる」と言ってくださる方は多いです。推し活に役に立つアプリや、これから推し活をしながら韓国語を勉強したいという方向けに、オススメの韓国ドラマや発音がいい俳優さんなどもまとめて紹介しているので、言語以外に得られる豆知識もあってうれしいという声もいただきました。

――KPOPやドラマ、美容やファッションなど、韓国カルチャーの広がりとともに日本での推し活も盛り上がっていますが、Jooさんから見て日本と韓国の推し活にはそれぞれどのような特徴があると考えますか?

【Joo】日本はアイドルが成長していくのを応援する印象です。パフォーマンスに健気に一生懸命向き合う姿も含めて愛でています。逆に、韓国は完璧を求める。見た目も実力も完璧じゃないと人気が下がるようなところがある気がします。

あと、日本はファンになったらすごく長く何年も推し活をされる方が多いです。韓国はアイドルの入れ替わりが早すぎて、どんどん推し活の相手が変わっていきますね。

■ガッツリ勉強するより隙間時間を利用した“ながら勉強”の需要が増加

『韓国語で推しを語りたい!〜“好き”から始める最高の韓国語入門』(Joo/大和書房)書影

『韓国語で推しを語りたい!〜“好き”から始める最高の韓国語入門』(Joo/大和書房)書影

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――そもそもJooさんが韓国語を紹介する仕事に就きたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

【Joo】もともと日本の大学に留学していたときに韓国語を教える仕事もやっていました。大学のエクステンションセンターや新聞社、あとは個人講座ですね。私も日本に住んだことでハングルが恋しくなっていたので、すごく楽しかったんです。

ただ、その仕事をずっとやっていくというより、もっといろんな経験をしたくて日本企業に入りました。販売と営業の仕事をしていて楽しかったのですが、徐々に自分の物を売りたいという気持ちが強くなり、会社を辞めることに。そこで自分の物って何があるんだろうとリストアップをしていた時、韓国語を教えていたのがすごく楽しかったことを思い出したんです。そこからYouTubeを始めて今に至ります。

――Jooさんが日本で韓国語を教えるようになってから、韓国語を学びたい方の需要はどのように変化していますか?

【Joo】20年前くらいに『冬のソナタ』とか韓国ドラマの影響で、日本で韓国語がすごく流行り始めました。私は12年前に日本に来たのですが、そのときはほとんどのファンの方が30代〜60代でした。最近はコロナで家にいる時間が増えたこともあり、ネットで韓国のエンタメに触れる機会が増えたのか、すごく年齢層が若くなりました。

旅行に行って使いたい、K-POPを字幕なしで聞き取りたい、ドラマを観たい…大きな需要の枠は一緒なのですが、本気で勉強するというよりは趣味でやっている方が多いかもしれません。隙間時間にちょっと勉強したいとか、何かをしながら勉強がしたいといった需要が増えた気がします。

■「文字を勉強せずにちょっと喋りたい」が語学習得を遠ざけてしまう?

――Jooさん自身の韓国語のレクチャーのアプローチに変化はありましたか?

【Joo】以前は本気で勉強したい方が多く来られていたので、私も詳しく教えることを優先していました。SNSで発信するときには、隙間時間に学べるようになるべく短くポイントだけ言うようにしています。

また、PodcastとかVoicyなどを活かして通勤中や家事をしながら勉強される人も増えたので、こちらにも注力しています。

――韓国語を勉強する際の注意点は?

【Joo】どの語学にも言えることですが、正しい発音で覚えること。最近は、文字を勉強せずにちょっと喋りたいという方が多いです。それでも日本語である程度覚えることはできますが、発音は違うので覚えても通じないケースがほとんど。発音を習得するためにはハングル文字はある程度はわかったほうがいいですね。

――リスニングはどのように身につけるといいのでしょうか?

【Joo】どんな意味なのかを理解した上で、韓国語にたくさん触れることが大事だと思います。私は日本語を覚えるときに、トイレや食事、移動時間などの隙間時間に、アニメの『あたしンち』をずっと聴いていました。それを繰り返しているうちに、イントネーションやだいたいの日本語のパターンが自然とわかるようになったので、この勉強法はおすすめです。

――今後はどういった形で韓国語の発信をしていきたいと考えていますか?

【Joo】言語学習はどうしても時間がかかるものなので、できるだけ長くその言語に触れて徐々に慣れていくことが大事だと思います。だから、隙間時間にできるコンテンツやながら勉強ができるように聞くコンテンツなど、ちょっとズルをして勉強ができる内容のコンテンツをどんどん発信していきたいなと思います。



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