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容姿のことまで誹謗中傷される”カスタマーハラスメント”、理不尽な客にどう対応? 販売員の大変さとやりがい

2023-09-25 16:10 eltha

 販売の仕事をしていると、訪れる客からカスタマーハラスメント(カスハラ)を受けることも。タジマオオカさん(@pu92yu)は、食品売り場で接客をするなかで「こんなのを食べるから、あんたみたいに太るんだ!」と、容姿のことまでクレームを入れられた経験を振り返っています。自身の体験をエッセイ漫画にした投稿は19万を超えるいいねを集め、各メディアにも取り上げられ話題となりました。大変な経験をしながらも仕事を続けられたのは、どんなきっかけがあったのでしょうか。販売職の大変さとやりがいについて聞きました。

クレームがカスハラに発展するまで

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■「こんな事って本当にあるんです…」という気持ちで描き始めた

 贈答用のお菓子やお茶を販売していた、タジマさん。売り場にいると「結構いい値段するんだね」「誰が買ってんの?」という訪問客の問い掛けが、「汚い顔でモノを売るな」「売れるために言ってるんだから、お礼を言いなさいよ」とどんどんエスカレートし、カスタマーハラスメントに発展すると言います。SNSでその体験を投稿した際は「店頭で見ず知らずの人が理不尽に絡んでくるなんて、信じて貰えないだろうと思っていました」と当時を振り返ります。

「嘘じゃないんです。こんな事って本当にあるんです…という気持ちで描き始めた漫画なので、反響の大きさとともに自分も同じ目にあった、または現場を見たというお声が多かったことにとても驚きました。

 自分で読み返してみた時に、ハラスメント対応中に自分の気持ちがどのように変化していくのか、いただくアドバイスの受け止め方など、描けてない部分がたくさんあるのを感じて、もっときちんとお伝えしたかったと思いました。漫画にしたことで、『誰かに何かをお伝えする』ということを深く考えることができて、ハラスメント対応にも通じるものだと感じました。そしてこのことに気付けたのは大きな反響をいただけたからこそであり、本当に有り難く思っています」

 実際にクレーム対応をしていると20〜30分ほど時間が過ぎていきます。その間に上司に引き継げればよいですが、上司が来るまでに去ってしまう客がほとんどで、上司に報告するにも”もうその場にいない”ので報告しづらい雰囲気もあると言います。たとえ周囲にスタッフがいたとしても「助けたいけど体が動かない」「暴れ出したらどうしよう」など、助けに入りたくてもできない。結果的に”1人で対応するしかない”現状があります。

「同僚や上司からのアドバイスは、漫画にも描いた通り『気にするな・聞き流して・忘れた方がいいよ』など、ハラスメント自体を”無かったことにする”ようなものがほとんどでした。渦中にいる時はひたすら我慢、あとは忘れなさいと。でも、ある先輩スタッフから教えていただいたのは、目当てのスタッフからできるだけクレーマーのお客様を引き離すよう誘導すること。あえて人目の多い場所で話を聞くことなど、上司に引き継ぐことができないときにどう動くかという具体的なアドバイスでした。そのお話を聞いてから、自分目線だけではなく『先輩ならどうするか?』という一歩引いた目線で状況を認識できるようになりました」

 その先輩に教えてもらったことは、今でも対応をするたびに思い出すとタジマさん。接客仕事のやりがいについては「本来であれば売上達成にやりがいや醍醐味を見出すべきなのかなとは思いますが、私はやはりお客様との会話にこそ、醍醐味があると思います」と話します。

「短いやり取りの中にお客様ひとりひとりの思いを感じ取ることができて温かい気持ちになることが多いです。そんな時は良い販売ができたなと感じますし、お勧めした商品が誰かの喜びに繋がってもらえることがとても嬉しく思えます」

■「気持ちがなくても謝っとけばいい!」目の前で行われた失礼すぎるやりとり

パン屋で出会った、中年夫婦

パン屋で出会った、中年夫婦

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 買い物をしていると、その空間に居合わせた客の態度に驚かされることがあります。2人の子どもとパン屋を訪れた、わたすさん(@watasu_55)がショーケースの前で商品を選んでいると、近くで「あー!!!!」と奇声をあげて騒ぎ出す中年夫婦に出くわしました。わたすさんが選んだパンが”最後の1個”だったようで、「それ、私のパンだから!」と主張を崩さない…。会計して一刻も早く店を出たい気持ちに駆られましたが、その中年男性がショーケースの扉を強く閉めたせいで、わたすさんの指が挟まれてしまう事態に。目の前で起こった失礼すぎる出来事について、”言葉遣い”を学ぶ我が子への対応について話を聞きました。

 ショーケースの扉が中年男性によって勢いよくしめられ、指を挟んでしまったわたすさん。痛がる様子を見ても、「私は謝らない」「避けなかったあなたが悪い」と主張し、中年男性の妻は「慰謝料請求されたらたまったもんじゃない。こっちが悪くなくても、適当に謝っておきな」という始末…。結局中年夫婦は、謝るか謝らないかで喧嘩を始めてしまったと言います。最終的に渋々謝ってきましたが、「とりあえず気持ちがなくても謝っとけばいい!」など、失礼なやりとりを目の前でされたことにとてつもない不快感を覚えたといいます。

「パン屋さんで、しかも子どものいる前で、やりとりが全て聞こえている状態でした。私がいるのを分かっていて、非常識な発言をガンガンしてきたことにあり得ないと感じました。心の中で言うならまだしも、大声で言ってしまうなんて…と思いました」

 その中年夫婦の態度を見ていた息子さん(6歳)からは「あのおじさん、どうして『ごめんね』言わないの?」と純粋な質問をされたと言います。その言葉に「大きくなっているんだなー」と母としては嬉しかったと振り返るわたすさん。

「妹が生まれて『お兄ちゃんになったなー』と感じることは多かったのですが、この時は男の子になったんだな、大きくなってるんだなーと母として本当に嬉しかったです! 良い息子に育ったな、と心の中で自分を褒めました(笑)。私だけではなく、妹やお友達にも優しくできる男の子にこのまま成長してほしいと思いました」

 今回のようにわが子の成長に感慨深くなる一方で、「良いこと」と「悪いこと」を子どもに教えていくこと、その分別をつけさせることは難しい側面もあります。例えば、言葉遣いについては、息子さんの様子を見ているなかで「周囲からの影響を強く感じる」と話します。

「周りのお友達がYouTubeで動画を見て、それを真似しているんですね。お友達はおもしろ動画を見て色々な言葉を覚えて『馬鹿野郎、クソ野郎、ふざけんな』などの親としては使ってほしくない言葉を遊び半分で使う時があり、息子もそれを覚えて、たまに私に向かって使ってきます。その言葉の意味をよく知らずに使っていることもあります」

 様々な言葉を吸収しているからこそ、今回のように防ぎきれないことも起こります。わたすさんは、子どもが使ってほしくない言葉を発したとき、その言葉の意味をしっかり説明するように。「直球で声掛けするのが、結局は本人に響くのかもしれない」とわたすさん。

「たとえば長男が『馬鹿野郎』と私に言ってきたとしたら、私も同じように『馬鹿野郎』と長男に言います。それを言われたらどんな気持ちになるか聞いて、自分が嫌な気持ちになったなら、お友達やママ、パパにも言ってはダメなこと。自分が言われて嫌な気持ちになることは人にも絶対に言ってはダメだと声掛けをしています。良いことをしたら『かっこいいね!』、悪いことしたら『それカッコ悪いしダサいよ(笑)』というと、結構本人にも響くんですよね。この方法が正解なのかは分かりませんが、長男を6年育ててこの方法が本人に1番響いているのではないかと思っています」



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