ホーム ファッション > 大切な人との指輪選び、価値観の変化…素材の普遍性やカラットの重さより”大切なもの”とは?

大切な人との指輪選び、価値観の変化…素材の普遍性やカラットの重さより”大切なもの”とは?

2023-11-22 11:00 eltha

 大事な人とのペアリング。ハイブランドで揃える人もいれば、お互いの名前や誕生石などを入れたり、近年では工房等で指自分たちで作れる店も増えました。様々な選択肢があるなかで、どのような選び方をすればよいか。ブライダルリングのワークショップを手掛けてきたデザイナーの増井元紀さんは「素材の普遍性や保証された価値観よりも大切なもの、必要なものにも目を向けてほしい」と話します。

■”震災”は「指輪の価値観が変わった転機」

 増井さんはJAM HOME MADEのクリエイティブディレクターとして、『名もなき指輪』という手作り指輪キットを作り上げたデザイナーです。取り組みは2011年より開始され、楕円形の真鍮製の指輪を木製のハンマーで叩き、お互いの指輪を作り合う。それが“世界にひとつだけの指輪”となるというストーリー性があることに当時注目が集まりました。

ーー”お互いの指輪を作り合う”コンセプトにした意図は何だったのでしょうか?

「指輪は5000年以上前、有史から存在するものです。長い歴史があるなかで、近現代以降に定着する”指輪の価値観”を理解しながらも『最良の指輪とは何か』を定義し続けたい。違った角度から価値観を提示していきたいと試みたことが始まりです。私自身、指輪への価値観を変わった転機となったのが、東日本大震災のあった2011年前後でした」

ーーとらえ方がどのように変わっていったと感じますか?

「一瞬で大切だった全てを失う現実を、日本人が目の当たりにしたことです。今の自分にできることは何か、何が必要なのかを考え突き詰めていくと、『プラチナ、ゴールドの素材の不変性』や『ダイヤモンドのカラット重さ』『カラー色』『クラリティー透明度』『カット・輝き』といったの保証された価値観よりも、本当に大切なことがあるのではないかと」

ーー2011年から『名もなき指輪』として、お互いの指輪を作るワークショップを始めたそうですね。ユーザーはそれをどのように受け止めていたと感じますか?

「特に若いお客さんが増えていきました。ブランドで選ぶのではなく、パートナーと一緒に指輪を作るという”体験”に価値を認めてもらえたと思っています。モノ消費からコト消費へという言葉が聞かれるようになったのもこの頃でした」

■「受け継ぐ部分と変化させる部分の”見極め”に拘っています」

 『名もなき指輪』が実際に商品化されたのは2014年。カップルのときは真鍮やシルバーやステンレスで作り、大切な記念日や結婚するときには、それを土台としてプラチナやゴールドの指輪に作り替える…「2人の名前が入った世界にひとつだけの指輪となり、このスタイルは今ではブライダル商品の定番のひとつにまで成長しました」と増井さん。オリジナルの指輪でのつながりをどのようにとらえているのでしょうか。

ーージュエリーには、名前やフレーズを刻むことができたり、誕生石を入れることができたり、特別な意味合いで選ばれる方も。婚約指輪や結婚指輪であればなおさら想いが強くなるかと思います。デザインするにあったって、当時や今もこだわりをもっていらっしゃる部分をお聞かせいただければと思います。

「婚約指輪は紀元前1世紀頃に誕生したと伝わっています。結婚の際に指輪を交換するという慣習が生まれたのはもっと時代を経てからのことです。指輪は人の営みに寄り添ってきたプロダクトなので、昔からの変わらない受け継ぐ部分と変化させる部分の見極めにこだわっています」

ーーオリジナルの指輪を作る価値をどのようにとらえていますか。

「震災以降で人々の価値観は多様化しました。ダイヤモンドの4Cに代表される価値観や、給料3ヵ月分の結婚指輪の相場感、近年は離婚比率が高いことも現実としてあげられます。多様化する選択肢のひとつとして、オリジナルの指輪で繋がるのは特別なことではなく、むしろ自然なことだと思います」

ーー増井さんが手掛けられるブランド「JAM HOME MADE」は25周年の節目に。今後の展望をお聞かせいただければと思います。

「コロナ禍では緊急事態宣言で外出を禁止され、異常のような現実が続きました。ECを強化しインターネット経由での買い物から得る充足感にも対応したのがここ数年の出来事でした。『喉元過ぎれば熱さを忘れる』という言葉があるように、今は思い出すことを忘れる時間も必要だと考えます。人々がそれを思い返す時が必ず来るので、その時に必要とされる、人の営みに寄り添ったプロダクトを良きタイミングで発表したいと試行錯誤しています」

■JAM HOME MADE
『名もなき指輪(R)』
来年10周年を迎える『名もなき指輪(R)』を記念して、シンガーソングライター&TikTokクリエイターの遠坂めぐさんが『名もなき指輪(R)』をイメージした楽曲「タイトル未定」を書き下ろし!
≫Web動画「タイトル未定」を見る


関連リンク

Facebook

あなたにおすすめの記事

注目★トピックス


おすすめコンテンツ


P R
お悩み調査実施中! アンケートモニター登録はコチラ

eltha(エルザ by オリコンニュース)

ページトップへ