初体験の電車に感動も…エジプト人の父が日本の“ニオイ”に言及 生活習慣の違いに「こんな楽しみ方があるとは」
2024-06-25 08:30 eltha
◆エジプトでは風呂は王様や貴族が楽しむもの…家はステータスの象徴でゴージャスさが何よりも大事
――お父様や妹のヘバさんは、日本の住宅が「ハイテク」だと驚いていました。ウォッシュレットやお風呂もそうですが、電灯がリモコンで管理できることも便利だと言っていました。
【恵さん】 私はもともと建築が専門だったので、それも文化の違いですごく驚いたところです。エジプトでは日本のような便利さではなく、「いかにゴージャスにするか」という目線で家を作ります。家は生活する場所であり、皆が集まる場所でもあり、ファミリーのステータスを示す場所なんです。それをしっかり現さないといけないというのが基本的な作りになります。
【恵さん】 エジプトでお風呂は、王様や貴族などのエリートが楽しむ文化です。クレオパトラがスキンケアのために入っていたと言われるような特別な文化なので、一般的に庶民はお風呂に入りません。お祭りやお正月など大きなイベントの前日には入ったり、結婚する前の女性はお風呂で体をきれいにするといった特別なものです。それが「日本ではこんな楽しみ方があるの?」と驚いていました(笑)。
――日本の観光地で感じたことや良かったことを教えてください。
【恵さん】 まず日本は無料の場所がたくさんあるのがいいですね。浅草も原宿も歩くだけで観光を楽しめます。寺社仏閣でのおみくじやお賽銭は、箱にお金を自分で入れるスタイル。信頼関係で成り立っているシステムもすごいと感じました。エジプトでは、観光地の料金がエジプト人と外国人では法律的に変わりますが、基本的に外国人はとても高い。日本にはそういう考え方がないし、お金をかけずに歩くだけでも楽しめます。
◆公道や交通機関の発達に母国との違で驚きも…ゴミ箱が全くないのに街がキレイ
――動画では「日本の人力車と同じようなシステムになって欲しい」と言っていました。
【恵さん】 エジプトにはピラミッドを案内する馬車があるのですが、ルートも案内する内容も時間も決まっていなくて、業者ごとに客の奪い合いになり、価格も異なります。日本はすべてが一律に決まっていて、案内は日本語から英語、中国語、韓国語など多言語化されています。案内をする人は女性か男性どちらが希望も聞いてくれて、それぞれの希望に合わせてくれます。それはエジプトとはまったく異なります。
――お父様が「東京はどこへ行っても道が続いている」と驚いていました。
【恵さん】 エジプトの地方にずっと住んでいるのですが、周りは砂漠で他になにもない。シーシー大統領になってから新しい街がどんどんできていますが、まだ作り始めたばかりです。日本は電車や新幹線に乗れば隣の県にもすぐ行けますし、北から南まで道がずっと続いています。自動車やバイクだけでなく、自転車でもどこまででも行けそうなことに驚いていました。
――「ゴミ箱が全くないのにピカピカでキレイ」とのことですが、エジプトの街の美化について教えてください。
【恵さん】 特にに首都カイロはひどく、きれいな街とはとても言えません。私の地元や田舎の方はそんなことはありませんが、日本のようにゴミ箱を街からなくして、「各自持ち帰ってください」と言ったら、エジプトでは「ゴミ箱を戻させるために、わざとゴミを捨てよう」と考えます。ルールを守りましょうではなく、どうすれば自分たちの意見が通るかという思考なんです。いつも反抗期みたいな感じです(笑)。
――お父様は「日本は全くニオイがしない!」と驚いていました。
【恵さん】 香水の起源は古代エジプトと言われています。そのためなのか、エジプトを含めて中東の街では、強い香水の香りがします。個人的には、ちょっとやりすぎな気もします(笑)。
――日本とエジプトの交通機関の違いを教えてください。
【恵さん】 エジプトにも大都市には電車が走っていますが、本数は少なく基本的に車社会です。私の地元には電車は走っていません。父は電車も初体験だったのですが、時間通りにきっちり電車が来て、皆ちゃんと列に並んで乗って、電車がピカピカできれいなことや優先席があることにも驚いていました。SUICAのようなICカードもエジプトにはないので、「本当に便利ですごい」と話していました。
◆「アラブの春」以降、エジプトでも“ぼったくり”はなくなった
――エジプトのスーパーや商業施設では、かつての値段交渉がなくなったと聞きます。
【恵さん】 値段が一律で決まったのは、「アラブの春(2011年初頭から中東・北アフリカ地域の各国で本格化した民主化運動)」以降です。スーパーやデパートで値段の交渉はなくなりました。ただ、おかしい値段になっているなと思うこともあります。いまエジプトの一番小さい通貨単位は1ポンド(190円ほど)で、日本のような1円、5円、10円といった小銭がありません。それなのに、小数点以下の値段がつけられていることがあります。観光地ではいまも値段交渉の文化は残っていますが、昔ほどではありません。日本でいう“ぼったくり”はなくなり、適度な値段になっています。
――ご家族が日本食を食べた感想はいかがでしたか? 感動した食事はありましたか?
【恵さん】 父は日本の焼き肉に驚いていました。エジプトの焼き肉はケバブになりますが、日本のケバブとはまったく別物で、お祝いなどで羊をまるまる焼く豪華なバーベキュースタイルです。父は日本の焼き肉文化を知らなかったのですが、テーブルの上に乗る小さい網や鉄板で肉から野菜までいろいろな食材を焼いて、つけるタレもたくさんあって、簡単にいろいろな味を楽しめることに感動していました。エジプトにはキノコがないので、それも初体験で喜んでいました。作り方から食べ方、その後の片付けまですべてに感動していました(笑)。
――恵さんは、日本の生活に慣れたからこそ、なくてはならないと感じる日本のモノや風習はありますか?
【恵さん】 いろいろ好きだから難しいですね(笑)。そのなかでも、私はお箸が好きです。世界中にもっと広がって、どこに行ってもカトラリーにお箸が入っていたらいいなと思うくらい気に入っています。エジプトでは普通のお店では売っていないので、ネットで購入します。
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