中谷美紀 映画でしたら興行成績、テレビならば視聴率、書籍だったら発行部数、インターネットならページビューなど、私たちの仕事は常に数字が如実に表れる仕事です。もちろん大切な指標だとは思いますが、そこに一喜一憂していたら心がすり減ってしまいます。価値観は多様化しているので、人数が多いから正しいとは限らないですよね。私はあまり気にしていませんし、インターネットからも必要な情報だけを得るようにしています。情報の取捨選択を含め、リテラシーが問われる時代なのだと思います。
――リミは“面白い”と興味を持ったなつめの背中をスマートに押します。中谷さんも先輩に背中を押された経験はありますか?
中谷美紀 異業種の人生の先輩と呼べる方々から、生き方についていろいろと教わったような気がします。以前、懇意にしていただいていたお蕎麦屋さんの女将さんから「水清ければ魚棲まず」という言葉をいただきました。それまで私は白なら白、黒なら黒とはっきりしたいタイプだったのですが、この言葉でグレーの大切さを教えていただいた気がします。