「恥かくのは君だから!」挙式前に過酷なダイエットを強要する夫、反撃できない妻は…モラハラから抜け出す逃亡劇
2022-02-28 eltha
「君のためにやってあげている」、“モラハラ支配”が始まるサイン?
利木実さん1話目の「モラハラ編」のエピソードで、モラハラをテーマにいろんなことを調べていると、被害を受けていても「どうせ周りの人に言っても理解されない」と思っている人が多かったんです。そうなると気が弱くなるし、なかなか意見を言えない気持ちもわかるな…などと考えました。
――そう考えるのは、モラハラ被害を受けている方の特徴でしょうか?
利木さん私が調べた範囲ではありますが、本人に意見を言いづらかったり、思い切って話してもなかなか理解してもらえなかったりすると、だんだん自分ひとりで閉じこもってしまう傾向にあるのかなと思います。やっぱり理解されないと、だんだん話す気もなくなって、「周りに相談しても…」となっちゃう。そういう悲しい傾向にありますね。
――一方、婚約者の秋正(あきまさ)は、友人からは優しい彼氏と思われながら、実はモラハラ加害者。確信犯的にモラハラを繰り返します。
利木さん秋正は、支配欲が強めなタイプで鈴香を下に見ています。鈴香がドジだから、「やってあげている」と思っている。その「あげている」ところから支配が始まっているんですが、周りからは「鈴香のためを想っていて優しい」と思われています。外面がいいから、周りの人は鈴香の苦しみがわからない。典型的なモラハラですね。
――付き合う前は、モラハラを感じなかったんですよね?
利木さんモラハラのエピソードでよく聞く話ですが、付き合っている時は全然わからなかったけど、結婚したら豹変してしまう。豹変型で、本当に困るタイプですね。
破綻している関係から「とにかく逃げて」、漫画で伝えるメッセージ
利木さん編集の方とコンプレックスをテーマにした作品について話し始めたのが、2018年9月頃です。最初は、「整形美人編」や「ブスと呼ばれた女編」に登場するような、見た目にコンプレックスを持つ子を主人公にして描きたいなと思っていたんですね。そこからコンプレックスがテーマになり、モラハラというテーマに繋がっていきました。それに、モラハラなどの話題をテレビで観ていて、社会に憤りを感じることもたくさんあります。このモヤモヤを、漫画に描こうと思ったんです。
――コンプレックスを取り上げようと思ったのは?
利木さん私自身、コンプレックスがすごく多くて、自分の声や見た目がそんなに好きじゃないんですよね。美容院に行った日の帰りが唯一満足できる…みたいな(笑)。そのコンプレックスの強さがきっかけで、それも漫画に描こうと思いました。
――作品を作るにあたり、社会への不満やネガティブな感情が原動力になっているんですね。
利木さんそうですね。アマチュアで作品を描いていた時はとくに(笑)。今はそこまで強いわけではありませんが、当時はコンプレックスや嫉妬みたいなところから生まれた作品が結構あります。
――読者からはどのような反響がありましたか?
利木さん「モラハラ編」のコメントで、モラハラ気質、DV気質のあった昔の彼や夫を思い出したという声が印象深かったです。「私の場合はもっと酷かった」と比べるコメントもあって…。モラハラの被害や悩んでる方の気持ちが少しでも多くの人に伝わってほしいという気持ちで描きました。
――「モラハラ編」の鈴香は、つらい日々から自分を守るために気持ちを奮い立たせます。
利木さんモラハラ被害者は、とにかく逃げてほしいという気持ちしかありません。本人がつらいと感じていながら一方的に我慢を強いられている関係はすでに破綻しているから、とにかくそこに気づいてほしいです。この漫画がそういうきっかけになれば…と思っています。
(文/渡辺麻美)
『#彼女たちのコンプレックス』(外部サイト)/利木実(C)comico
■あらすじ
桜井鈴香(27)は一見完璧な恋人に見える彼から、モラハラ行為を受けている。同棲している彼との結婚を間近にして悩む鈴香だが、友人も家族でさえも、その気持ちを理解してくれなかった。追い詰められた鈴香は、お悩み相談アプリの「share!」にたどり着きそこで同じく理解されない悩みを抱える“彼女たち”に出会う。
(モラハラ編/パパ活編/ブスと呼ばれた女編/女子会編/整形美人編/ダメな恋に酔う女編/ハラスメント編/闇のmytuber編/モラハラリターン編/推し沼編)