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7割の子どもが未就学児に“英語経験あり”も悩む親世代…「どう学ばせれば?」専門家の見解

2022-08-31 eltha

※写真はイメージです
2020年4月から小学校の英語教育が必修化し、今、子どもを取り巻く英語教育の環境は大きく変わりつつある。そんな中、約7割の子どもが未就学期から「英語接触経験」していることが分かった。テレビ番組やYouTube視聴のほか、幼児期から英会話教室に通っている子どもも多く、親世代の“若いうちから英語に触れさせたい”というマインドが顕著に。それに伴い「いつから、どうやって学ばせたら?」という悩みも多くなっている。親世代と全く違う現在の英語教育と、今後、子どもに求められる技能とは。英会話教室の担当者に話を聞いた。

「未就学期の英語経験」親世代の72%が「なし」、子どもは73%が「あり」

「英語教育は早いほど良いという話を聞く。一方で“母国語の言語力を第二言語は超える事は出来ないので、まず母国語の言語力を伸ばすべき”とも。両者の言い分ともに説得力があるので、いつぐらいからどのように学ぶべきなのかが分からない」(千葉県・30代女性)

「あまり早くから英語を習得する必要はないと思うが、発音や耳についてはその限りではないと思う。いつから英語学習をさせるか葛藤がある」(北海道・30代女性)

「少し上の子を育てているお母さんたちがみな“結局幼少期の英語教育は全部忘れる”と言っているので、どうすればいいのか悩む」(東京都・40代女性)

 子どもの英語教育をいつから始めたらいいのかは、親世代の大きな関心事の一つ。eltha(エルザ)by ORICON NEWSが「高校生以下の子どもがいる男女 947名」に実施したモニター調査でも、親自身の72.4%は未就学期に英語に触れる機会がなかったにも関わらず、自分の子どもには未就学期から英語に触れさせている割合が73.0%を占めたが、子どもの英語力や英語教育関連の悩みごとを聞いたところ、早期学習に対する迷いや賛否の声も多数寄せられた。
高校生以下の子どもがいる20代〜50代の男女947人が回答。親世代の72.4%が未就学期に「英語経験」をしていなかった。
高校生以下の子どもがいる20代〜50代の男女947人が回答。約7割の子どもが未就学期に英語経験していることが判明。
 この悩みについて、英会話教室の「イーオン」で20年に渡り教材開発に携わっている堀田和江さんは「お子さん次第」と、アドバイスする。

「お勉強と思わない時期に英語に触れられるのは、とてもいいことだと思います。音声学的にも、小さいうちの方が外国語を人とコミュニケーションを取る道具として、すんなり取り入れていくことができます。ただ、嫌がるお子さんに無理やりやらせるのはプラスにはなりません。英語に触れて、話して、楽しいと思うことで身についていくはずです」(英会話イーオン 教務部 語学教育研究グループリーダー・堀田和江さん/以下同)

 また、今回の調査では子どもたちの未就学期の英語経験は「テレビの英語番組」(46.1%)、「英語の絵本や教材」(27.5%)、「英語教室・英会話教室」(20.1%)など様々だった。昔にくらべ、英語教育の選択肢が増えた結果とも言えるが、「どう学ばせたらいいかわからない」という親の本音もありそうだ。
「それぞれ性格や特性など、お子さんによってベストなスタイルを選択するのがいいと思います。いくつか試して合うものを選んでみてください。ただ、小さいお子さんは、実際に何かを一緒に触ったり、体験しながら学習するのが大きなモチベーションになります」

 幼児期にありがちな「何?なぜ?」の時期は絶好のチャンス。知的好奇心をくすぐり、聞かれた時にすぐ答えてあげることで、効果が上がることも。年齢が上がるにつれ、ちょっと難しいぐらいのことにチャレンジすると、小さな達成感を積み重ねながら、成長もできる。

 英会話教室に通わせる親たちの中には、「宿題や課題などを一緒にやってあげる時間がない」という悩みも多いそう。堀田さんは、教えられずとも、少しの時間でも一緒に共有できればいいと話す。

「これは英語に限らないと思うのですが、お子さんは親御さんに認めてもらうことがすごく励みになります。教える必要はなく、興味を持って一緒に見たり読んだりするだけでも、お子さんの成長につながるのではないでしょうか」

知識型から、コミュニケーションの英語へ 新学習指導で大きく変わった授業内容

 英語教育の導入期となる小学校でも、「勉強」ではなく「親しむこと」を重視しているという。2020年度から実施されている新学習指導要領では、小学校3〜4年から「外国語活動」として英語に触れる機会を作り、5年生から「外国語」という教科で成績がつく形になっている。

「英語を勉強と思わず“楽しいもの”として出会うことで、その後も英語を『好き』と答える子どもが増加しているように感じます。これは授業内容の変化も大きいと思います。小・中学校では、今までのような知識型の英語から抜け出し、自分のことを英語で伝えたり、実際にコミュニケーションが取れるような内容になっています」

 教育現場の改革に伴い、最近では子どもたちの意識にも変化が見られると堀田さん。少し前までは受験のために英語を勉強する子どもがほとんどだったが、今は「英語を話せるようになって、将来いろいろな国の人とコミュニケ―ションを取りたい」という声が届くという。会話を重視するため、保護者からもネイティブの外国人教師を希望するケースも増えている状況だと言う。

「以前は体験レッスンに来てもなかなか話せなかったお子さんもいましたが、今は簡単な挨拶ぐらいはみなさんできるんですよね。イーオンの授業でも、間違いを恐れず、積極的にコミュニケーションを取るお子さんが増えました。先生がちょっと話しかけると、止まらないぐらいどんどん発言するのが普通になってきています」

 小学校から英語が導入され、より身近になったことで、子どもにとって英語を話すことのハードルは、徐々に低くなっているようだ。

単語や文法中心では身につかず…親世代の約半数が、自身の英語教育に「不満」

 イーオンでは新学習指導要領が導入される4年前の2016年から、新しい教材シリーズを導入。英語をリピートしたり、ゲームをしながら学ぶ従来の内容に加えて、自分のことを英語できちんと伝えられるようになるためのカリキュラムに切り替えていった。

「ただ単に英語のフレーズを覚えるのではなく、クラスで協働学習をしたり、例えば“街を作ろう”などの具体的なタスクをみんなで協力してコミュニケーションを取りながら完成させ、プレゼンテーションをするようなレッスンです。英語だけでなく、思考力や判断力も育てていくことを見据えていました」

 導入当初は、親世代の経験してきた英語教育とあまりに違い、また新学習指導要領に移行する前だったため、保護者からは理解されない部分もあったと言う。しかし、導入して6年、今では「自分の子どもがこんなに積極的に話すようになると思わなかった」と評価する声が。結果的に、新学習指導要領が目指す方向性を先取りした形となった。

「保護者からは『受験に使えるように』『英検に合格したい』という要望も一定数残ってはいますが、『コミュニケーションが取れるようになって欲しい』という声が増えてきているのも近年の特徴だと思います」

 今回のモニター調査では、自分が経験した中学校、高校の英語教育について、「不満(※)」と答えた人が47.3%と約半数に上るという結果に。不満と回答した448名に不満点を聞いたところ、「学校だけでは十分な英語力が身につかなかった」(85.7%)、「“聞く”“話す”の練習・経験が不足していた」(56.0%)、「単語や文法中心の学習内容だった」(48.2%)と、自身の経験を振り返る声が多い。
「昔は単語を覚えるだけで使う場がなかったり、受験のための穴埋め問題や、英語を綺麗な日本語に訳さないと正解にならなかった時代でした。今は、“その言い方でもいいし、この言い方でもいいよね”という理解に。親御さんたちも時代の変化を感じていらっしゃいますし、“自分は嫌いだったけど、子どもには好きになって欲しい”、“完璧じゃなくてもいいから、恐れずに発言できるようになって欲しい”というご要望が増えてきていますね」

 親世代は、ペーパーテストのために覚える教科だった英語。しかし今の子どもたちは、クラスに日本人しかいなくても、授業で英語を使ってコミュニケーションをとったりと、使うことに抵抗がなくなってきている。楽しんでスタートできているのは、いい兆候と言えるだろう。

 今後、日本の英語教育の課題になるのは、スピーチやプレゼンテーションなどの「発言力」の強化と話す堀田さん。

「日本語と違い、英語圏ではコミュニケーションが取れないのは、発信する側の問題という考え方があります。言葉にしてきちんと言わないと伝わらないですし、書く場合も同様。プレゼンテーションで自分の気持ちや思いを伝える訓練をしておくことが重要になります」

 現在、世界の英語教育の主流も、ネイティブスピーカーになることではなく、色々な国の人たちが自分の英語でコミュニケ―ションをとることが大切という流れだという。小さいうちに英語を学習することのメリットはたくさんあるが、「早期に始めなければ習得は不可能」というわけではなさそうだ。

 いずれにしても大人になるにつれ重要性を痛感し、“もっと学んでおけばよかった”、“せめて子どもには英語を話せるようになって欲しい”と思うのは、多くの親たちの本音だろう。今、子どもたちを取り巻く英語の環境は大きく変わった。より身近になった英語を楽しく取り入れ、様々な選択肢の中から合ったものを選ぶことで、子どもたちの英語力は確実に伸びていくはずだ。

※5段階聴取したうち、「あまり満足していない」「満足していない」を合わせた割合

(取材・文/辻内史佳)
堀田和江さん

監修者 堀田和江さん

株式会社イーオン イーオン事業本部 教務部 語学教育研究グループ グループリーダー

キッズから一般向けのカリキュラム策定ならびに教材開発の責任者。スクールでの教師経験も活かし、教材開発歴20年。手掛けた教材はテキスト、ワークブック、デジタルコンテンツを含めて700種類以上。

【調査概要】
調査対象: OMR会員 20〜50代男女
サンプル数:回答者全体 1101名(本調査対象:高校生以下の子どもがいる人 947名)
調査期間: 2022年6月15日(水)〜20日(月)
調査手法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ

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