「前髪切りすぎた」でデビューした三戸なつめ、求められる“不思議ちゃん”キャラに葛藤も…救いとなった俳優への道と10年目の野心
2023-08-12 eltha
読者モデル経て歌手、タレントと駆け抜けた10年「30代になって、いろんなしんどさから解放された感覚がある」
「30代になってやっとフラットになれたというか、いろんなしんどさから解放された感覚がありますね。20代の頃は『求められている自分』みたいな“型”に自分からハマり込んでいって、結果、自滅しまうこともたくさんありましたから」
デビュー以来のトレードマークとなっている短い前髪は、中1の頃にシンガーのYUKIに憧れて切りそろえたもの。そのキュートなビジュアルは同世代の女の子に多大な影響を与えた一方で、世間一般には“個性的でちょっと変わった女の子”“不思議ちゃん”というイメージを植え付けた。
20代中盤に差し掛かると、質問の趣向も変わってくる。
「『いくつまでに結婚したいですか?』と聞かれて『興味ないです』と答えるのもそっけないかなと、『そうですねえ、いい人がいたら』と答えてしまって。『ああ、今日も思ってること言えなかった』と落ち込んだり。そうやっているうちにどんどん『自分のままでいい』と思えなくなってしまったんです」
原点だった雑誌の相次ぐ休刊 無力感に苛まれ、自分を見失いかけたことも
「この曲のおかげでいろんなメディアに呼んでいただけるようになりました。一方で当時は紙の雑誌がどんどんウェブに移行していった時期でもあって、“実家”がなくなってしまうような寂しさがありましたね。1部でも売上に貢献したくて、テレビに出させていただくたびにレギュラーを務めていた雑誌の名前を連呼したりしてたんですが──」
「雑誌が休刊するたびに無力感でいっぱいになっていました。せっかくヤスタカさんにここまで引き上げてもらったのに、私には何も守れないんだって。そもそもヤスタカさんがいなかったら、ここまで仕事をいただけただろうか? ヤスタカさんのいない私の価値って? とまで考え込んでしまいました。それもやっぱり『自分のままでいい』を認められなかったことが大きかったです」
暗く長いトンネルを抜け出すきっかけとなったのが、本格的に取り組み始めた演技レッスンだった。人間の喜怒哀楽に向き合う作業は、“アイコン化された三戸なつめ”から自らを解き放ち、本来の自分を取り戻すセラピーのようでもあったと振り返る。
「自分は何に悲しみ、何に怒るのか。素直な感情に向き合ううちに『そうだ、私ってこういう人間だったんだ』『けっこう人間臭いな』と思い出すことができたんです。結局、三戸なつめという“型”に自分を押し込めていたのも自分だったことに気付くこともできて、演技には本当に救われました」